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50話 深める距離

ルリィとターサーはランタン一つの灯りと、別々のベット…ルリィは帽子を抱き締めながら天井を見上げていた。


ターサーは寝る時とはいえ気を緩めておらず手元に銃…黒いぴったりのTシャツにレンジャーグリーンのコンバットパンツは着用したままだった。


ルリィ「ターサーさん…」


ルリィが静寂の中優しい声でターサーに話しかける。


ターサーは目をゆっくり開いて返す。


ターサー「なんだ…」


ルリィ「私…たまに思うんです…誰かを取り戻せる魔法があったら良いな…って…」


ターサーはそれを聞いて少し間をおいて。


ターサー「俺も思うさ…実は…俺は軍人なんだ…ルリィ…PITの」


ルリィ「っ…?」


ターサー「軍人になってからすぐ…まぁ…俺"は"…だが…任務に駆り出されるようになった…その初任務が終わって床についたところから思っていた…誰かを取り戻せる方法があれば良い…死人を蘇らせる方法があれば良いってな…」


ルリィはそれを聞いて呟く。


ルリィ「…ターサーさんは…」


ターサー「魔兵大戦に出ていた…」


ターサーは食い気味にそう言った。


ターサー「魔法使いも沢山撃ち殺した…その時の俺は…昨日まで酒を交わして笑いあっていた仲間が…何人も殺されて…魔法使いを殺し返すのが当然だと思ってた…」


ターサーは続ける。


ターサー「はっきり言って…考えは変わらない…

今でも大切な仲間を傷つけられたり…殺害されそうになったり…殺められても…ためらいなく撃つ…どちらが正義かなんてどうでもいい…俺の"笑い合える仲間"が傷つけられてるのが問題なんだ」


ルリィはただ無言で聞いていた。


ターサー「その相手が誰にとって大切か…そんなことを考える暇なんてない…相手が傷つけた人間が俺にとって何か…が問題なんだ…俺は軍人だ…知らない人でさえ助ける…それが仕事だ…使命だ」


ターサーはそういってただ静かな部屋で天井を見つめ続ける。


ルリィ「…私…100年前程に母親を失くしたんです…」


ルリィは静かに続ける。


ルリィ「道はこっち…あなたは強い…大事な人…そう言われる人生を送ってきませんでした…

だから…大切な人を失う重み…幼い頃で最後ですけど…分かるんです…ターサーさん…私のお母様(魔法の帽子)はあなたを受け入れています…だから…ターサーさんを信じてついていきます…これが唯一のお母様の道案内ですから…」


ルリィの声は優しさがあったが、どこか強さがあった、彼女は幼い頃から今まで、長い間の孤独があったのだ、時にして100年…自身を受け入れてくれる人間を探し回った、そうして今がある。


そう考えたターサーは言う。


ターサー「やるべき事が一つ増えたな…」


ルリィ「…やるべき…事?」


ターサー「お前には…ボディーガードが必要そうだ…」


ターサーは少し笑うように言う。


ルリィ「…」


ルリィはクスリと笑い。


ルリィ「もしかしたら…私がターサーさんを守るかもしれませんよ?」


ターサー「はは…頼もしい女だな」


ルリィ「ふふ…」


ターサーは目を瞑り。


ターサー「おやすみ…ゆっくり休め」


ルリィ「…ターサーさんも…」


そうして静かな夜が過ぎ去っていく…。


コッケコッコー!


6時…。


ニワトリと朝の6時にくる鉄道が街中に現時刻は6時と伝える。


駅の時計も6時丁度を刺していた。


ピッピー…ピッピー…


ターサーの腕時計が音を鳴らす…。


ターサー「ん…」


ターサーは久しぶりのしっかりした睡眠でさっぱりした目覚めを感じる。


ルリィ「ん…んんぅ…なんの音ですかぁ…」


ルリィは眠そうな声を出しながら起き上がり目を擦っていた。


ターサー「あぁっと…これは…」


その時…


コンコン…部屋にノック音が響く…。


ターサー「…来た…」


ターサーはベットから立ち上がりベットの近くに置いていた黒のコンバットブーツを履く…。


ベットから立ち上がり首にかけた銀のネックレス…ドックタグの音を鳴らしながらドアに近寄る。


そしてドアを開ける。


店主「朝食をお持ちしました~」


朝もいつも通りのテンションで入ってくる。


トレイに乗った皿の上には…。


ソルトポークに目玉焼き、ビスケットにコーンブレッド。

そして飲み物として鉄瓶で煮出した、濃くて熱い黒いコーヒーが乗っている。


同じものをもう一人の女性従業員が持って部屋のテーブルに置いて行く。


店主「ではぁ…ごゆっくりぃ…」


癖のある言い方で店主は出て、それに連なり女性従業員も出ていく。


ターサー「…(前もそうだったが…悪くない朝食だ…)ルリィ…食うぞ…」


ルリィ「あ…はい!」


ジャッカルの有名な物の一つとして、このコーンブレッドがあった。


他の街のホテルでも定番のコーンブレッドだがジャッカルのホテル、酒場でのコーンブレッドは特に美味しいのだ。


それに繋がるのはバター。


バターチャーンでジャッカルの職人が作るバターはとにかく温度、時間、撹拌速度が徹底されているのだ、ジャッカルはバターの街とも言われている。


ルリィ「っ…このコーンブレッド…」


ルリィがゆっくりとコーンブレッドを割く…。


コーンブレッドから湯気が出る、ホカホカの証拠だ…。


ルリィ「コーンの甘みとバターの風味が豊かで…凄く美味しいです…それに香ばしい香り…」


ルリィは幸せそうに目を瞑りモグモグ食べていた。


この世界の小麦の一つ…シターゴル(Sitagol)は特にパンを香ばしくしてくれるのだ。


ターサー「あぁ…このホテルがジャッカルにあって良かったと思っている…。」


ターサーもコーンブレットを一口、そしてコーヒーこれがこの街では堪らないのだ…。


続く

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