49話 自己紹介
ターサーは急いで馬を走らせていたが、その時間は爽快に感じていた、空は青く辺りは草原…。
道という道に馬を走らせていた。
そういった自然が「リリーはきっと大丈夫」そう言ってくれてる気がした。
ルリィ「…」
ルリィは目を瞑り微笑んでいた。
そんなルリィにターサーは馬を操りながら話を振る。
ターサー「中々良い帽子だな…」
ルリィの帽子は少し光を放つ。
ルリィ「えへっ…ありがとうございます…私の家族なんです…。」
ターサーはその言葉の意味に一瞬戸惑ったがなにも言わずに馬を操り続けた。
それからまた話を振る
ターサー「なんだか落ち着いているな…ルリィ」
ルリィ「…外の風景を見るのは久しぶりで…凄く落ち着くんです…あの町に行く道中の馬車くらいでした…あの日も…凄く綺麗な空で…。」
ターサー「スルビス…そうか…良い名前の町を見つけたな」
馬で揺れ、少しの風でルリィの帽子から覗かせている髪はなびいている。
ルリィ「えへへ…私のご主人様のハウィさん命名なんですよ?優しくて…本当に頼りになります…」
ターサー「それは少し話した俺でも分かったさ…良い人間だ…エプソンは優しくしてくれたか?」
ルリィ「はい、エプソンさんも優しい人です、ハウィさんの晩御飯を用意する際に何回か指を切ってしまった時があるんですけど…その時も対応してくれました…。」
ターサーはルリィには見えないが微笑み。
ターサー「そうか、俺もあいつには何度か助けられた」
ルリィも微笑みターサーに聞く。
ルリィ「ターサーさんは、エプソンさんと親しかったんですね…どんな関係だったんですか?」
ターサーは馬を走らせながら少し真面目な表情になる、心では考えていた。
ターサー「…(ルリィは…魔法使い…魔兵大戦の事を知ってる年齢かは知らないが…俺が軍人だった事は今話すべきじゃないか…この魔国の敵兵士だった訳だからな…)」
ターサー「行きつけのドクターだ…ちょっとした無法者の俺にも治療してくれてな…」
ルリィ「無法者…やっぱりこの装備は…そういうやつなんですか…?」
ターサー「…(装備の事はあまり知らない…か…)…あぁ…気にするな…狩りをして生きてるだけだ、人は襲ったりしない、俗に言う…盗賊とは違う」
ルリィは少し安心したように笑い。
ルリィ「そんな感じはしてました…(ちょっと怖い顔してますけど…きっと良い人…分かります…
ハウィさんの時も…エプソンさんの時も…この帽子が光って…教えてくれたんですもの…)」
ルリィは少しターサーに掴まる手を強くする。
ルリィ「…(この人ならきっと大丈夫です…
そうですよね…お母様…。)」
ルリィはそう被っている帽子に問いかけたのだった。
そうして走り続けて夕方…ジャッカルに到着する…。
ターサー「本当に早く着いたな…」
パカ…パカ…レンガで出来た道で馬を減速させる。
ルリィ「…この町に止まっていくんですか?」
ターサー「あぁ…お前を信じてるからな…言う通りなら2日の猶予がある…暗い道は基本的に明るい時間帯よりも危険だ…盗賊が倒した木があったり、単純に罠を仕掛けていたり…襲撃もあり得る…それで足止めを食らっては本末転倒だ…」
ルリィ「え…えぇ…(怖いですね…)」
ターサー「明日の六時に出る…ジャッカルから目的地の街までは…三時間もかからない…間に合うはずだ…」
ルリィはそれを聞いて少し食い気味のように素早くうなずく。
ルリィ「さ…賛成です!」
ターサー「…よし…じゃあ…宿を探すとしよう…」
ルリィ「はい!」
しかし、運命というのは妙な物である、ターサーは想像もしてなかったどころか、ここだけは…と避けていた宿に泊まることになる…
理由は単純にそこしか空いていなかったからだ。
ターサーはため息をしながら奇妙な宿の前に立っていた。
ルリィ「ここですか?なんだか…独特な外観ですね…。」
ターサー「あぁ…」
ターサーは宿の扉の前に立ってルリィの前に人差し指を立てながら言う。
ターサー「絶対に…店主の言葉に反応するな」
ルリィ「は…はい…」
そうして扉を開ける。
キィィ…少し木の軋む音がするドアの先あの男がいた。
店主「いらっしゃぁいませぇ!」
店主は坊主でM字に禿げていて、それでいてクルクルとした黒い髭。
ピンクの蝶ネクタイに黒ベスト。
変わっていない。
ターサー「っ…」
ターサーは少し唸り。
ターサー「二人だ…部屋は空いてるか?」
店主「たぁくさぁん空いてますよぉ!!」
ターサー「…(だろうな)…一部屋借りたい」
店主「かしこまりぃ!ましたぁ!!ところで、お客様は二度目のご来店ですねぇ…またうっつくしぃレイディに洗ってもらいますかぁ?」
ルリィ「洗っ…//!?タ…ターサーさん…//?」
ルリィは頬を赤らめてターサーの方を見る。
ターサー「ルリィ…?」
「さっき俺が言った言葉はなんだ」と言わんばかりの顔でルリィを見る。
ルリィ「っ…」
ルリィも小さく可愛らしい声で唸り頬を赤らめたまま俯く。
ターサー「で…部屋を借りたいと言ったが…」
店主「えぇ!えぇ!勿論ですとも!鍵はこちらですぅ!…さては…今回もお連れの女性とワンナイトと言ったところですかぁ~?」
店主はターサーの前、カウンターに204と書かれた鍵を置く
ルリィ「ワン…//ナイト…//」
顔を真っ赤にしたルリィからプシューと湯気があがり倒れてしまう。
店主「あれぇっ…」
ターサー「これは、俺が運ぶんだろうな」
ターサーはカウンターの鍵を取り、少し嫌な顔を店主に向けてルリィを担いで階段を上がっていく。
店主「あっ!お客様!お風呂は─…」
ターサー「いらん!」
…
ー204号室ー
相変わらず部屋は普通の宿だった、灰色のレンガの壁、木の床、白いベット二つ、木の四角いテーブルと椅子二つ、木のナイトスタンドにランタン。
特殊なのはお風呂と店主だけである
ターサーはルリィをそっとベットに寝かせる。
ルリィ「はっ!わ…!私はまだ!そんな!」
ルリィははっとしたように頬を少し赤らめて焦ったように言う。
ターサー「落ち着け…」
ルリィ「私はまだ手入らずでいるつもりなんですぅ!運命の相手が現れるまでは──!」
ターサー「ルリィ!そういう意味じゃない…」
ルリィ「っ…はぇ?」
ターサーはため息をついてルリィの隣のベットに座る。
ターサー「店主の言葉には反応するなと言ったはずだ…全部奴の勘違いだ…」
ルリィ「そ…そうなんですか?」
ルリィはホッとしたように胸を撫で下ろして。
その様子を見て
ターサー「ふっ…手入らず…」
ターサーはクスリと笑いながら呟く。
ルリィ「っ…!や…やめてください!」
ルリィは頬を赤らめて枕を投げるのであった。
ターサー「おぁっ…」
続く




