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その九十

 三千四百八十

 生活の質素は、まともに生きる為にどうしても必要です。何も若い時の私の様に極端に貧相な服装を纏うなんて事はしなくてもいいですが、それなりにくたびれるまで衣服や靴は用いましょう。そして食事は品数多からず、野菜を主体にしてしみじみと味わって食べる事が出来るものを。これは収入の多寡財産の規模に関係がありません。自分の精神の状態を健康に保つ為には、収支の状況に関係無くこれを守る必要があるのではないでしょうか。

 金持ちはこれを守るのが難しいのです。分かるでしょう。これさえも、私は恵であると思っています。


 三千四百八十一

 愉しまんとする旅に雨は良からず。然れども心慰めんとて往(い)く旅に、雨何等の支障(さしさわり)無し。却って相応(ふさわ)し。寧ろ有難し。自ずから余分を削ぎ、勝手に心を一つに集め、而(しか)して旅の甲斐を吾に連れ来るに非ずや。

 新しきを識(し)らんとせず、逆に古きを更にとき解(ほぐ)さんとす。旅の斯かる真価無くして、抑(そも)それは何ぞや。旅にこの面目無くして、何に至らんとするものなりや。吾の行路に唯一つの徒労莫(な)し。聖意吾が頭上に絶ゆる事無ければなり。


 三千四百八十二

 若しも『生きなければならない』だけだったら、それは耐え難い苦痛でしょう。しかしそれが『生きたい』と一緒に在ったら、その生きなければならない義務の観念は、いきなり全力で、生きたいという自分の願いを後押しし始めるのです。恰(あたか)も急勾配の登攀に苦しむ機関車を補機が力強く援ける様に。

 私は斯(こ)ういう事に気が付いていたい。それは実に大切な事に繋がっていると信じるからです。そういう事に気付かずに居て、どうして自分の一生を真実に充実して生きて行く事が出来るでしょう。

 ブログは毎日更新しています。

https://gaho.hatenadiary.com/

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