その六十九
二千八百九十九
自分を守るという名目の為に、人は汚い事をしたりします。大金持ちが更に大きな利益を得ようとする貪欲よりはましなのでしょうが、それでも、人の弱さに由来するものであっても私は赦す気になれません。
其処を運命が視ているとは思わないのでしょうか。それが決定的にその人の一生に影響するのです。そういう重大な点を、過ぎて仕舞えばやれ安心と思う、してもしなくても結果同じだと思う、どうしてそんな気になる事が出来るのでしょうか。見えていないという事は本当に恐ろしい事だと思います。
二千九百
若しも魚釣りが目的で水に釣り糸を垂れているなら、いつまで経っても魚が釣れなければ苛立つし、実際困りもするでしょう。しかしその行動が魚を得る事を全く目的としていないならば、丸一日成果が無くても何も焦る事はないでしょう。
「何故、あんな風に泰然としていられるのか。自分には到底真似が出来ない」
あなたが他人を見てそう感じる時、多分その人は斯んな風に前提からしてあなたと違うという事ではないでしょうか。私は其処が大事だと思うのです。だからいつもその『前提の違い』を重視するのです。
二千九百一
尊いものには順番があります。正確にどれがどれの次かは解りませんが、それでも最も尊いと思うものが他のものとは別次元に在る事だけは明瞭に分かると思うのです。その最も尊いものが、自分の目指し、恃むに値し、そして自分が生きて行く時に道を間違えない様に導いてくれるものです。
人はこれを自分の実感として胸に抱き、奉じなければなりません。誰かに教えてもらう訳には行かないのです。何と難しい事か。しかし正にその故に、何と生きる喜びに溢れている事か。
二千九百二
お茶碗に御飯一膳、それと一品か精々二品のおかず。私はそういう食事を頂く時、いつも心が静かになります。この食事を味わって頂く事が出来ない様な人間は、屹度その人生がろくな結果にならないだろうと何故か衷心から思います。
私は自分が生きるに当たり、私の日常のこのレベルの出来事にまでもちゃんと到達している原理を欲します。
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