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その六十三

 二千六百二十四

 思想。学者はその中身を見ます。その論理を視ます。そしてそれがどんな人間の口から発されたのかを、その説かれている思想の中身と切り離して考察します。そしてその中身に於いて、独断や論理の飛躍が有るか無いか調べます。私は思想は面白いとは思いますが、結局その中身よりもそれをどんな人間が説いたのか、その思想を説いた人間が如何なる人間で、如何なる一生を送ったのかを視ます。そちらの方が私にとって、ずっと重要だからです。

 いつだって私は思想ではなく、魂の芯から充実している人間に拠ってこそ生きる力を貰う事が出来ると思っているのです。


 二千六百二十五

 自分自身が高く評価され世に認められ、そして何事か打ち込んだその分野で著名となって自分の人生を切り拓く事と、自分の大切な人が幸せでいてくれる事。一般の次元で謂う常識に於いては、両者は必ずしも相互に背反しません。けれど若しも両立しないとして、どちらを選ぶのか。

 『その問いに現実味が無い』、『意味が解らない』と言う人とは、恐らく私は交流する事が出来ないでしょう。両者は相互に背反しないと私は謂いましたが、本当に真剣に自分の大切な人を大切にしようと願う人であれば、この二つの事は自分の脳裡胸中に浮かんだ瞬間から、直ちに矛盾相剋する筈なのです。これを感じ取る事が出来ない人は、私よりも神経が粗雑です。


 二千六百二十七

 相手は機械でもなく物質でもなく、論理でもなく制度でもない。人間だ。

 その時に私は一番心が前に乗り出す。腰が浮き、前のめりになり、片膝が立ち、目が開かれて瞬きが少なくなる。其処(そこ)に緊張した一瞬を期待する欲求が強くなる。

 話している相手は他人だ。しかし私は其処(そこ)に自分とは違う人間が居るとは思わない。私が相対(あいたい)しているのは、もう一人の私ではないのか。別の時に別の場所に生まれた、もう一人の自分ではないのか。


 二千六百二十八

 今まで全然知りませんでしたが、自動車の高級車というのは三千万も五千万もするのですね。一億五千万という値段のものもありました。地面から果てしなく石油が湧いて来る国の、しかも富を独占している為政者が買うのでしょうか。いや、そういう人は多分車どころではなく、一億だとかいうのではなく、大きな旅客船も、島も、小さな国なら国を丸ごと買うのでしょう。

 私なら、そんなお金があっても多分困るだけです。有意義な遣い道を考えて、夜も眠れずに(やつ)れ苦しむでしょう。だから、そんな悩みと一生無縁で居られる事を歓ぶべきです。私が気にしなければならない事は、気にしたいと願っている事は、確かに他にあるのですから。


 ブログは毎日更新しています。

https://gaho.hatenadiary.com/

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