その五十三
二千百九十六
「今迄自分の楽しみであったものが、もう全然楽しいとは思わなくなって仕舞った」
そういう事は、年齢が進むにつれて次第に多くなって行くものであると予想します。しかしそれも自然な事ではないでしょうか。自分にとって本当に必要な事が何か分かって来るのですから。その風雪に耐え得る望みを、私はもちたいのです。絶対に崩れない望みを。それが私の重い指針です。
二千百九十七
過去の自分、自分の想い出を愉しむ事が出来る為には条件があります。それは今の自分が決定的な後悔に追われていないという事です。無神経や臆病の中に生きて来た人間に達成出来る事ではありません。
難しいですね。実に難しい事です。しかし人間に出来ない事ではありません。それを想って、今日も私はいつもの日常を生きるのです。
二千百九十八
その真偽を見抜く為に考え込ませる様なものではなく、いきなり何も彼も突き破って、突出して見えているものに出逢いたいです。生きる以上、前者の方が圧倒的に多いのは仕方がありません。そして人間はそれに対処する事が出来なければなりません。しかし後者の如き体験も人生の中にはあるのです。私は数少ないそれに自分が出逢った時に、ちゃんとそれに気付く自分で居たいのです。
二千百九十九
感謝する事が出来ないと、自分の心が帰る場所を失います。自分が他者に感謝する心術を内に積み重ねて初めて出来る魂の故郷というものが、感謝する事をせずに生きていると構築されないからです。
恐ろしくも厳粛な事ではありませんか。私は自分が善意を尽くすに値する人間を、いつも懸命に探しているつもりです。
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