28/42
東京 7
いとは大丈夫だろうか。身代わりは気づかれるだろうか。
父は、私が消えてどこかの誰かとすり替わっていることに気づいたとしても何もしないだろうと私は踏んでいた。
母の自殺は父にとっては社会的になかなかの痛手で、父が殺したという噂は今でも消えてないくらいだったのだから更に娘が失踪したなど、縁談がここまで進んでる今となって表沙汰にして得することはなにもない。勿論私を心配して探すことなどありえない。
兄は父の言いなりだ。他の親戚にしても気づくことはまずないだろう。
もともと私は当分の間誰にも会ってないに等しいのだから。
ただ、たきさんは気づくかもしれないし、不安なのはたきさんがどうするかだ。
いとの親族にはお見舞金としてかなりのお金を用意していとに預けてある。
それをどうしようといとが自由にすればいい。
それ以上のことは考えても仕方ないことだ。
もし万が一知られたら、いとには全てを告白してかまわないと言ってあるし、
わたしの告白文も渡してあるからいとには迷惑がかからないと思いたい。
いや、迷惑がかからないわけはないのだけどそれでもいとが罪になることだけはないように準備はしていたつもりなのだ。




