43.カイセル
「まずはさっきもしたが俺はカイセル・イスカルド、ライドルの兄だ」
「それなら、俺らもしとくか。俺はユウだ」
「私はユーナスです」
「スピネルなのじゃ」
「おう。それで何故王族の俺がこんな所で店をしているかと言うとな。俺は縛られるのが嫌いなんだ。それに俺は王の器じゃない頭もそんなに良くないしな。昔俺が王家を出る前だなライドルに俺の代わりに国王になってくれないかと頼んだら快く引き受けてくれてな。その後前国王、まぁ俺の父親だな。に話をしに行ったんだ。ライドルも連れて。俺は王家を出て旅をしたいと。色々な国を見て周りたいから王家を出たい!と言ったんだ。最初は反対されるかと思ったんだが少し考えた後に了承してくれたんだ。ただまぁ、旅が終わったらこの国に帰って来いとは言われたがな。それで、キリがいい所でこの国に帰ってきてこうやって店を出してる訳だ」
「なるほど。なんて言うか自由人だな」
「まぁな。言ったろ?俺は縛られるのが嫌いだって」
カイセルはイスカルド王国に帰ってきた時は王家に顔をだして店を出すと言ったらしい。店が開店した時から王家や宰相が度々訪れるようになっていった。因みにカイセルは元冒険者でランクは金まで行ったらしい。
カイセルの話が終わり今度は優とセレナの出会いの話になりまたもやセレナが興奮して優との出会いを熱く語りだしユーリもセレナの話に頷いていた。
カイセルはニヤニヤ顔でずっと話を聞いていてたまに笑ったりもしていた。
話が終わる頃になると夕方になっていたので王宮に戻ることにした。
「セレナ、ユーナ達と先に戻ってくれ。まだカイセルさんと話したいことがあるから」
「それなら待っておきますが」
「いや、大丈夫だ。長くなるかもしれないからな」
「分かりました」
「ユウ遅くならないようにね」
「わかった」
セレナ達が店を出て王宮の方へ戻ったのを確認した。
店の中は誰もいないな。
優は音遮断を使い店の中から外に音が漏れないようにした。
「カイセルさん」
「おう。なんだ?」
「あんた、転生者だな?」
「ほほう。何故そう思った?」
「いや、普通にステータス見ただけだが?」
「そりゃそうか。あぁ、俺は転生者だ。お前と同じ日本からやってきた。は違うか、日本で死んでこの世界に転生してきた」
「俺のこと気付いていたか」
「まぁな」
カイセルは転生する前日本にいた時病気のせいでずっと入院生活だったらしい。
外に出ることも出来なくて寝たきり。その生活が30年以上続いて、ついに容態が酷くなり死んだそうだ。
そしてカイセルは気づくと真っ白い空間にいて、そこにはアスナルと名乗る女神がいてカイセルのあまりにも不遇な人生にアスナルがこの世界に転生させてくれたそうだ。
アスナルねぇ。そう言えばこの世界の名前もアスナルだったな。たしか称号にアスナルの加護もついてたな。
転生してもらう時に色々と特典を貰えたらしい。そして転生先は人間ではあるがどの家庭に産まれるかはランダムでいざ産まれてみたらイスカルド王国の王族だったという訳だ。
「なるほど。それで特典ってのはなんだ?」
「あぁ、丈夫な身体と何個かスキルをもらったな。スキルは確か、身体強化と成長促進と看破だったかな」
「看破ってのはなんだ?」
「そうだな、簡単に説明すると鑑定ってスキルの上位互換らしい」
「そうか。カイセルさんが転生者ってことはライドルさん達は知ってるのか?」
「あぁ。ただ、セレナ達は知らないがな。知っているのは俺の両親とライドルだけだな」
「へぇ。あ、でなんで俺が日本人だって分かったんだ?」
「それはな、看破ってスキルと後はお前みたいな容姿はこの世界じゃなかなか見ないしな。あとは、アスナル様から聞いてた」
「なるほど。ちょっと待ってくれ」
『ミル、アスナルってのはどんなやつなんだ?』
『久々の登場ですね!そうですね、今優さん達がいる世界の神になります。階級は上級神です。そもそもアスナルにティディール王国が何やらよからぬ事を考えて異世界召喚するって教えて貰って優さんを呼んだのですから』
『なるほど。そうだ今度合わせてくれ』
『分かりました』
『じゃーな』
『はい』
今度は優が何故この世界に来たのかを話した。最初神界にいた事は話さないでおこうかと思っていたが結局全てを話した。
「お前も大変だな」
「まぁな。それにしても驚かないんだな」
「あぁ。実際俺は神に会ってるしな」
「そうか。それじゃ俺は戻るよ。この腕輪に念話を付与しといたから何かあったらこれを使って念話してくれ」
「あぁ、わかった。じゃーな」
「おっと、そう言えばなんでここに入った時に俺が何か用事があると思ったんだ?」
「その事か。俺も一応気配察知と魔力感知を持っていてな、それでお前らが店に入った時中に入らずに外の物陰に隠れているやつがいてな、お前を見ると何か面倒くさそうな顔してたからな多分付けられているだろうなと思ってな」
「なるほど。長年の経験みたいなやつか?」
「多分な」
「そうか。じゃ俺は戻るよ」
そして優はカイセルの店を出て王宮に戻った。
城門につきどうやって中に入るか考えてなかったが優を見た門番が話しかけてきてギルドカードを見せてくれと言われ見せるとすんなりと中に入れてもらった。
何故すんなりと中に入れてくれるか聞くと、前日にも優を見ていてギルドカードを確認したら優本人だったので中に入れてくれたらしい。
優は王宮に入り借りていた客室に戻り夕食をもって来てもらい何故かセレナとユーリも一緒に食べることになった。
「ユウさん王都を案内出来なくてすみません」
「ん?いや、大丈夫だぞ。明日ユーナ達と回ってくるからな。それに冒険者ギルドにも行くのを忘れてたしな」
「冒険者ギルドですか?」
「あぁ。マーセルさんの護衛依頼の達成報告をするのをすっかり忘れてた」
「なるほど。そういう事ですか。では私たちは帰りますね」
「おう」
セレナとユーリは帰って行った。




