表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法×テクノロジー!?未来異世界コンチェルト(銃が普及した未来異世界。それでも魔法は廃れず、勇者は今日も魔王討伐へ向かう。)  作者: 紫沐時


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/51

Memory ~存在した証~⑥

沢恩が意識を取り戻した時、


彼は勇者たち三人と並んで歩いていた。


勇者はまるで昔からの仲間であるかのように、


自然に沢恩の名前を呼んでいる。


「……!?」


沢恩は胸がざわついた。


まるで、


本当に一度経験した出来事のようだった。


「どうしたの?」


隣を歩くサリスが少し不機嫌そうに聞く。


「……サリス?」


沢恩は戸惑う。


「なに?」


「私が幽霊にでも見える?」


サリスは少しむっとした。


「いや……その。」


沢恩は彼女を見つめる。


「なんか今よりずっと大人っぽい顔をしてたような……。」


「はぁ!?」


サリスは眉を吊り上げる。


「それどういう意味!?」


「まあまあ。」


勇者が苦笑しながら間に入る。


「また二人でケンカするなって。」


「ふん!」


サリスはぷいっと顔を背けた。


その瞬間――


「死なないで……


お願いだから……


死なないで……」


どこからともなく声が聞こえた。


沢恩は薄く目を開ける。


涙を流すサリスが、


目の前に立っていた。


巨大獣と戦った時に見た幻覚と、


まったく同じ光景。


そして、


その声は少しずつ遠ざかっていく。


もう一度目を開く。


今度は、


十年後のサリスのような女性が、


涙を浮かべながらこちらを見つめていた。


その瞬間。


無数の映像が脳裏へ流れ込む。


仲間たち。


鳥の魔獣。


あの狼。


巨大獣。


巨大獣を止めるために命を落とした魔法使い。


そして、


数え切れない黒い影。


突然、


誰かが沢恩の手を掴んだ。


「沢恩!」


「大丈夫!?」


サリスが心配そうに覗き込む。


「……え?」


沢恩は混乱したままだった。


「元に戻ったのか……?


しかも全然怖くない。」


「元に戻ったって何?」


サリスは首を傾げる。


「それに私は沢恩に怖く当たったことなんて一度もないよ?」


彼女には何のことかまったく分からない。


その時だった。


空中へ、


あの青いシルエットが現れる。


次の瞬間。


巨大な火竜が空を駆け抜けた。


燃え盛る炎がシルエットを飲み込んでいく。


「火竜……魔法。」


沢恩は呟く。


「それが火竜魔法なんだ。」


「へぇ……。」


サリスは空を見上げる。


沢恩はまた勇者の姿を見た。


勇者は笑っていた。


まるで、


「また助けてやったぞ。」


そう言っているようだった。


その笑顔は、


幼い頃に見たものとまったく同じだった。


「!」


サリスの瞳が強く光る。


彼女は沢恩の手を掴む。


「走るよ!」


二人は一気に駆け出した。


世界が音を立てて崩れていく。


砕ける。


裂ける。


消えていく。


その間も、


幻覚の中で聞いたサリスのあの一言だけが、


悪意のように何度も何度も沢恩の頭へ響き続けていた。


「きゃっ!」


二人は勢いよく転び、


現実世界へ投げ出される。


「沢恩!」


「サリス!」


ササス・サスサが慌てて駆け寄る。


「二人とも大丈夫!?」


「うん……


大丈夫。」


沢恩は答える。


しばらく休息を取ったあと、


ようやく彼は平静を取り戻した。


四人は再び依頼人のもとへ向かう。


道中、


誰一人として口を開かなかった。


それぞれが、


胸の中で見たものを整理していた。


誰も、


自分が幻覚で何を見たのかを語ろうとはしなかった。


……


「事情は分かりました。」


ササス・サスサが静かに口を開く。


「あなたの息子さんは、


あなた自身に会いに来てほしいと言っています。」


「……ああ。」


老人は涙を流しながら何度も頷く。


「行く。


もちろん行くとも……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ