表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法×テクノロジー!?未来異世界コンチェルト(銃が普及した未来異世界。それでも魔法は廃れず、勇者は今日も魔王討伐へ向かう。)  作者: 紫沐時


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/51

Memory ~存在した証~②

「どうしたの、サリス?」


「私たち……どうやってKaelnonを見つければいいんだろう。」


サリスは少し不安そうに言った。


「顔も分からないのに。」


「大丈夫。」


沢恩は小さく呟く。


「きっと見つかる。」


四人は当てもなく森の中を歩き続けた。


「!」


突然、数体の虎型魔獣が姿を現す。


四人は息の合った連携で迎え撃ち、魔獣は次々と倒れていった。


「見て、あそこ。」


サリスが指差す。


そこには赤と金の落ち葉に覆われた、小さな墓碑がぽつんと建っていた。


「……名前のないお墓。」


サリスは小さな声で呟く。


四人はその墓を静かに見つめた。


小さな石碑は何も語らず、大地に立っている。


落ち葉は朽ちて土となり、その土からまた新しい木々が芽吹く。


「もしここが北方大陸だったら……」


サリスは果てしなく続く黄金の森を見渡した。


人の住まなくなった木造の家々。


黄金の葉で埋め尽くされた景色。


「きっと『黄金の故郷』って呼ばれていたんだろうね。」


そう言って、静かに目を伏せる。


「……あの子は、どこにいるんだろう。」


サリスはぽつりと呟いた。


その言葉に込められた本当の意味を理解していたのは、おそらく沢恩だけだった。


さらに奥へ進む。


やがて森は途切れ、一つの円形の湖へと辿り着く。


周囲の木々もまるで湖を囲むように円を描き、黄金色の琥珀が静かに輝いていた。


湖の中央。


一人の少年が裸足で水面に立っていた。


人の気配に気づいた少年はゆっくりと顔を上げる。


澄みきった蒼い瞳が四人を見つめた。


「……」


誰もが思わず息を呑む。


顔立ち。


雰囲気。


そのどこかが、不思議なほどサリスによく似ていた。


全員が直感する。


──この子が、Kaelnonだ。


「……君たちは、誰?」


少年は静かに尋ねた。


「君を迎えに来た。」


沢恩が答える。


「帰ろう、Kaelnon。」


「僕を……迎えに?」


Kaelnonは首を傾げる。


その表情には、わずかな戸惑いが浮かんでいた。


「ああ。」


「お父さんが待ってる。」


「……」


Kaelnonは何も答えなかった。


ただ静かに背を向け、俯く。


その瞬間だった。


木々が大きく揺れた。


黄金の葉が一斉に舞い上がる。


無数の落ち葉が空を埋め尽くし、乱れ舞う。


そして風が止む頃には――


湖の水面は黄金の葉で覆われ、


Kaelnonの姿も消えていた。


「えっ……?」


サリスは慌てて辺りを見回す。


「どこ!? あの子、どこへ行ったの!?」


沢恩も同じように湖の中央を見る。


そこには一輪の花だけが咲いていた。


その花もまた、静かに消えていく。


「……虹花。」


沢恩は小さく呟く。


子どもの頃に読んだ、有名な童話。


夢の中で出会った虹花は、一人の忘れられない人へと姿を変える。


しかし目が覚めれば、


夢も。


花も。


最初から存在しなかった。


沢恩は今、その花を確かに見た。


そして、その花が消える瞬間も。


胸の奥に、言葉にならない感情が静かに広がっていく。


「……不思議な子だね。」


ササス・サスサがぽつりと漏らした。


「一度、来た道を戻って探してみよう。」


崢拓は親指を立てて皆を励ます。


「きっとまだ近くにいる。」


四人は気持ちを切り替え、再びKaelnonを探し始めた。


「本当に変わった子だった。」


ササス・サスサが独り言のように呟く。


「まるで……本当は存在しちゃいけない子みたい。」


少し間を置いて、彼女は続けた。


「それに、あの子を見てるとサリスを思い出すんだよね。」


車を運転しながら何気なくそう言う。


沢恩とサリスは何も答えず、


ただ静かに俯いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ