霧の沼沢④
申し訳ございませんが、気力の限界でこの章を書き終えることができませんでした。明日には必ず補完させていただきます。ところで、これが私のXアカウントです:https://x.com/lyhu348214
森の奥。
「オゥ! オゥ!」
旧石器時代以前を生きた、初代魔王。
その古き魔王は一本の大木の下で、獲物を狙うように上を見上げていた。
対する子どもは、高い枝の上に立ち、たいまつを振りかざして威嚇する。
「向こう行け! 行け! これは絶対に渡さない!」
魔王に連れ去られたあとも、その子は必死に抵抗し、ここから逃げ出しただけでなく、自分の石まで奪い返していた。
「オゥ! オゥ!」
魔王は苛立ち、水を高く跳ね上げて火を消そうとする。
子どもは十分に太い枝の上を走り回り、水をかわし続けた。
「ミシッ。」
乾いた音が響く。
子どもは足元を見る。
枝には少しずつ亀裂が走っていた。
――折れる。
「……よし!」
そう決めると、子どもはたいまつを魔王へ向かって投げつけた。
魔王が体についた火を消している隙に、子どもは一気に森の奥へ駆け出していく。
――森。
「そんな……! 声がどんどん遠ざかってる!」
崢拓が焦りながら走る。
「ここ、幻覚か何かがあるのかもしれない。」
サリスが答えた。
「見ろ、あそこ!」
先頭を走っていた沢恩が急に立ち止まる。
「小屋……?」
サリスとササス・サスサが同時に声を上げた。
「あの子の家かもしれない。もう戻ってる可能性もある。」
沢恩が推測する。
「とにかく中を見てみよう。」
ササス・サスサが言った。
「ギィ……ギィ……」
古びた木の扉が軋みながら開く。
正面の窓の向こうには、新しく作られた墓が一つあった。
「これは……あの子の家族、なのか?」
崢拓は目を見開く。
「……かわいそうな家族だな。」
沢恩は墓へ静かに一礼すると、家の中を調べ始めた。
「……あの子はいない。」
沢恩の視線は、埃をかぶった一冊の本へ向けられた。
――森の奥。
「よかったぁ。あいつを撒けた。」
子どもは胸をなで下ろす。
「でも……困ったなぁ。お兄ちゃんたちとお姉ちゃんたち、見失っちゃった……。」
不安そうに辺りを歩き回る。
――森の奥。
「オゥ? オゥ?」
魔王は気づけば、また先ほどと同じ場所へ戻ってきていた。
首をかしげながら周囲を見渡す。
――小屋の中。
「『迷宮の沼沢』……」
沢恩は本を読み始めた。
『人類誕生以前より呪われし地。』
『この地は迷宮のごとく、空間そのものが乱れている。』
『かつて外から訪れた旅人は、道に迷い、この地で餓死した。』
『数歩進むだけで、目の前に続くはずの道は消え、全く別の場所へ繋がる。』
『後に一人の勇者が魔石を祭壇へ捧げ、その魔力によって呪いは鎮められた。』
『しかし、魔石が取り除かれれば、呪いは再び蘇る。』
『ゆえに、この地に住む者は代々その魔石を守り続けてきた。』
「……あの子がなくしたのって、この魔石のことだったんだ。」
サリスが心配そうにつぶやく。
「この子は土地の人間だ。今はたぶん無事だろう。でも……どうやって見つければいい?」
崢拓が尋ねる。
「とにかく探そう。」
沢恩は短く答えた。




