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魔法×テクノロジー!?未来異世界コンチェルト(銃が普及した未来異世界。それでも魔法は廃れず、勇者は今日も魔王討伐へ向かう。)  作者: 紫沐時


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巨獣との決戦②

「ブゥン!」


巨大な転移音が沢恩の思考を遮った。


現れたのは、自分たちを救ってくれたあの魔法使いだった。


全身は傷だらけで、力尽きたようにその場へ座り込んでいる。


髪は黒い。しかし、蒼い瞳と西方風の装いを見たサリスはすぐに気づいた。


――この人も、自分と同じ北方大陸の人だ。


「私たちの時間は……ごほっ、ごほっ……もう、多くありません……」


魔法使いは苦しそうに息をつきながら、それでも言葉を紡ぐ。


「わ、私は……グラ……グラセス……ごほっ……。む、昔は……ごほ、ごほっ……勇者パーティーの……魔……法使い……でした……。私は……あの巨獣を……倒せませんでした……。寿命と、自分自身の魔力を代償にして……十六時間だけ封印しました。でも……これでは、根本的な解決にはなりません……!」


グラセスは、自分の知っていることを一切隠さず話した。


「大丈夫ですか?」


沢恩は話を整理しながらも、心配そうに声を掛ける。


「グラセスお姉さん、大丈夫ですか!? 今すぐ治癒魔法を――」


「だ、ダメ……!」


グラセスは弱々しくサリスを制した。


「やめなさい……。治癒魔法の本質は……相手の傷を、自分の身体を材料にして修復すること……」


彼女は静かにサリスへ言い聞かせる。


場の空気が重く静まり返る。


「……結局、自分たちを救えるのは、自分たちだけってことだね。」


ササス・サスサはライフルを握りながら、小さく呟いた。


グラセスは極めてゆっくりとした自然治癒魔法を発動し、敷物の上へ横になる。


「……あなた、エルフね?」


「はい。」


ササス・サスサは頷く。


「懐かしいですね……。昔は、たくさんのエルフに会いました。」


グラセスは少しだけ微笑んだ。


「えっ!? エルフだったの!?」


崢拓が再び驚く。


「え? 今さら気づいたの?」


ササス・サスサは楽しそうに笑う。


「エルフ耳に超長寿命の特殊な人類なんだろ!?」


「超長寿命っていうのは昔の話だよ。」


彼女は苦笑した。


「昔は人間の平均寿命が四十歳くらいで、エルフは九十五歳くらいだったからね。それで神話みたいに語られてただけ。


今は人間が八十五歳くらいまで生きる時代だから、エルフも別に長寿ってほどじゃないんだ。」


「ふーん……」


沢恩は少し考え込む。


そしてサリスの肩を軽くつついた。


「ねぇねぇ。この前見かけた、あのすっごいブサイクで背の高い人さ……


もしかして、あれってトロルだったりする?」


「…………」


沈黙。


崢拓は黙って何かを書き始めた。


ササス・サスサとグラセスは口元を押さえ、そっと顔を横へ向ける。


サリスは両手で顔を覆った。


「え? みんなどうしたの?」


沢恩だけが状況を理解できず首を傾げる。



しばらくして。


グラセスの傷はある程度まで回復していた。


もう横になることはせず、静かに身体を起こして座る。


「グラセスお姉さん!」


サリスは一歩前へ出た。


「私に教えてください! みんなを救えるくらい強い魔法を!」


「……え?」


グラセスは一瞬だけ目を丸くする。


だが、すぐ真剣な表情へ戻った。


「……本気ですか?」


「はい!」


サリスは力強く頷いた。



その頃――近くの空き地。


「Practice Mode」


リングが訓練モードへ切り替わる。


沢恩は何度も銃を構え、魔法弾を撃ち続けていた。


「はぁ……撃ち切った。」


崢拓は肩を叩きながら歩いてくる。


「どうしたの? なんか元気ないね。」


ササス・サスサが優しく尋ねる。


「いや……なんか、自分でもよく分からないんだけどさ。」


沢恩は浮かない顔で答えた。


まだ、あの失われた記憶が頭から離れない。


「そういえば、お兄さんのことって、まだ何も聞いてなかったよね。」


ササス・サスサは笑顔で崢拓を見る。


「えっと……それは俺自身の話だから。」


崢拓は少し目を逸らした。


「なんで俺にはあんなに当たり強かったのに、ササス・サスサさんにはそんなに優しいんだよ。」


沢恩が冗談っぽく言う。


「いや、その……最初はお互い知らなかったし……。今はちゃんと沢恩にも敬意を持ってるよ。」


崢拓は照れくさそうに答えた。


「まぁまぁ、話してみなよ。」


ササス・サスサは豪快に笑う。


崢拓は少しだけ空を見上げ、ゆっくり話し始めた。


「俺さ、この世界へ来るまで……魔法なんて絶対に存在しないと思ってた。」


「俺の生まれた場所は、科学しかない世界だった。


しかも、この国よりもっと発展してる。


誰も魔法の話なんてしないし、外の世界のニュースも入ってこない。


だから、魔法なんてただのおとぎ話だと思ってた。」


「じゃあ、なんでここへ来たんだ?」


沢恩が尋ねる。


崢拓は静かに答える。


「科学はすごく発展してた。


でも、人は全然幸せじゃなかった。」


「ネオンで輝く街。


ホログラム。


派手な照明。


見た目だけは綺麗だった。」


「でも、普通の人は生活するだけで精一杯だった。


給料は安い。


街全体が、作られた幻みたいだった。」


彼は拳を握る。


「犯罪も、喧嘩も、混乱も絶えなかった。」


「そんな毎日に耐えられなかった。


だから、自分の運命を変えたくて……ここへ来たんだ。」


「…………」


その言葉を聞き、沢恩とササス・サスサは何も返せなかった。

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