first mission②
「早いな……」
沢恩は小さな建物を見つめながら呟いた。
「なにあれ?」
サリスが首を傾げる。
「勇者ギルドだよ。住民たちが自発的に資金を出し合って建てた、勇者に依頼をするための場所だ」
沢恩は昔の記憶を辿るように説明した。
「行ってみようよ!」
サリスは元気よく声を上げた。
「確かに……情報や報酬を得るなら、一番一般的な方法だな」
沢恩は顎に手を当てながら考えた。
「失礼します」
沢恩が中へ入る。
「頼む!」
入った瞬間、中年の屈強な男性が必死な表情で駆け寄ってきた。
「えぇ!? おじさん、どうしたんですか?」
沢恩は驚いて後ずさる。
「郊外の物資輸送ルートに、今まで確認されたことのない魔獣が潜んでいるんだ! 何度も捜索したが見つからない……このままじゃいつ襲撃されてもおかしくない! だが、軍も危険すぎて大規模な出動ができないんだ! 頼む、どうか助けてくれ!」
男は頭を下げた。
「……分かりました。任せてください」
沢恩は真剣な表情で答えた。
――郊外・ジャサル地区。
「わぁ……森がすごく広いね」
沢恩は周囲を見渡した。
「私のところでは森なんて普通にあるよ!」
なぜか誇らしげに胸を張るサリス。
「それじゃあ、分かれて探そう」
ササス・サスサが提案する。
三人はそれぞれ頷いた。
「そっちはどう?」
サリスの声がスマホから聞こえる。
位置を確認するため、三人はビデオ通話を繋いでいた。
「何も見えないな……」
ササス・サスサは木の枝から枝へ軽やかに移動している。
「こっちも探してる」
沢恩が答える。
「沢恩、遅すぎじゃない? 私たちはこんなに速く移動してるのに」
サリスがからかうように言った。
「……サリスは飛べるし、ササス・サスサさんは木の上を自由に動ける。でも俺は、ただの人間だからな」
沢恩は少し呆れた声で返した。
夕暮れが訪れる。
しかし、結局何も見つからず、三人は一度休むため宿へ戻った。
「緑魔法?」
サリスは自分の部屋で、初心者向けの魔法書を読んでいた。
「植物を操る魔法……?」
彼女は真剣にページをめくる。
これは最も簡単な魔法。
しかし、簡単だからといって役に立たないわけではない。
「よし、やってみようかな」
植物魔法はサリスにとって覚えること自体は難しくなかった。
「アラソシータ、メサソラオ、シソリセキソリアヌス」
呪文を唱え、サリスは手を伸ばす。
目の前の植木鉢を見つめ、頭の中から何かが手のひらへ流れていくように想像する。
すると――
手のひらが、ほんのり熱くなった。
目を開く。
そこには緑色の光が浮かんでいた。
「成功したぁ!」
サリスは嬉しそうに叫んだ。
――
「ふぁ……ふぁ……」
サリスはまだ眠っていた。
翌朝。
「ん……?」
突然、違和感を覚える。
「……え?」
目を開けると、サリスの身体は空中に浮いていた。
「えぇ!?」
次の瞬間。
ドサッ!
「痛い!」
自然に落下したサリスは、床に転がった。
「もう……」
彼女は慌てて起き上がる。
その頃、沢恩とササス・サスサはすでに準備を終えていた。
三人は再び依頼へ向かおうとする。
「少し待ってください」
宿の主人が三人を呼び止めた。
「あなたたちが、この町で今唯一の勇者パーティーですよね?」
主人は小さなお守りを差し出した。
「これは……私たちからの気持ちです。どうか受け取ってください」
「ありがとう」
沢恩は受け取ったお守りを銃に取り付けた。
「これって、ゲームみたいに戦闘力が上がったりする?」
サリスが期待した目で聞く。
「しない」
「えぇ……」




