SOS、シェルターへの避難作戦①
「どうしよう……私たち、これから何をすればいいの?」
サリスが不安そうに尋ねた。彼女は生まれてこの方、一度も本物の戦闘を経験したことがない。
「今は自分たちの安全を確保することが最優先です。初対面ではありますが、私は見捨てたりしません……えっと、人間じゃなくてエルフでしたね。とにかく、しばらくは私があなたたちを守ります」
ササス・サスサは落ち着いた口調で言った。
「ありがとうございます。ところで、お名前は?」
沢恩が尋ねる。
「私の名前は……ササス・サスサです」
「うわ、長っ! 俺は沢恩。」
「私はサリス!」
「その前に、目がライトみたいに光る魔法を消してくれ、サリス。」
「はーい、沢恩!」
そのやり取りの最中にも、鳥魔獣の群れは道路を次々と破壊し、アスファルトをめくり上げていた。
「こうなったら……もう一回飛ぶしかない!」
サリスが拳を握る。
「いやいやいや、飛ばなくていいです!」
ササス・サスサが慌てて両手を振る。
「俺も反対。」
沢恩はすでに逃げる準備を始めていた。
その時だった。
街中に警報が鳴り響く。
まるで地面の底から響いてくるような低い警報音が、都市全体を震わせた。
『緊急放送、緊急放送。ただいま発生している現象は、専門家の分析により魔王侵攻の前兆であると判断されました。市民の皆様は長期避難に備えてください。私たちは再び魔王との戦いに臨みます。繰り返します。市民の皆様は速やかに地下シェルターへ避難してください。』
「一番近いシェルターは……」
沢恩が記憶を探る。
「CAO-03入口!」
ササス・サスサが即座に叫び、二人を先導して走り出した。
「こっちだ! 早く!」
暴乱現象制圧局の隊員たちが銃を抱え、三人へ向かって大きく手を振る。
しかし、その直後。
猛攻獣の群れと獠牙獣の群れが、同時に大通りへなだれ込んできた。
「ほんっと、休む暇もない!」
ササス・サスサは舌打ちしながら走る。
「サリス! 飛ぶな! 鳥魔獣に狙われるぞ!」
沢恩が叫ぶ。
「わかった!」
サリスはすぐ地面へ降り、そのまま全力疾走に切り替えた。
四方八方から悲鳴が聞こえる。
「助けて!」
「誰か!」
制圧局の三人の隊員は立ち止まり、苦しそうな表情を浮かべた。
「……ササス・サスサさん。」
かつての同僚がためらいながら声を掛ける。
「まだ、助けを待っている人が大勢います。でも……俺たちだけじゃ、とても手が足りない。」
言葉を最後まで口にすることなく、その隊員は拳銃と予備マガジンをササス・サスサへ差し出した。
ササス・サスサは静かに受け取り、小さくうなずく。
「任せて。」
そして振り返る。
「二人とも、ついてきて!」
三人は崩れ始めた街へ向かって再び駆け出した




