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後継のギガダスト  作者: 産土
死酸島ニューゲーム編

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7/20

 



 その異変は、厚く仕上げた機体の装甲越しでもペスティサイダーに届いた。


 重量のある物体がダパァァァンと飛び込む着水音。

 激しくゴボゴボと黄煙を孕んだ泡を立てて沈む音。


 それらが朝日に照らされた浜辺に喧しく響き、アシッドブレイク4号の全高を軽々と超えて立ち登る幾つもの海水の柱が空中に虹を描く。


「ん、な…んだぁ?」


 装甲越しの断続的なくぐもった重い水音は、浜を揺らす地響きも混ざるようになっていたが、ペスティサイダーの寝ぼけた頭では、それがなんなのか理解できない。


「……起きろ、アシッドブレイク」


 初期起動が済んでいるアシッドブレイク4号が全身を震わせる。


 機体の疑似生命と接続され、手抜きのシュミラクラ塵面の両目が輝かせて呼吸を開始。

 二重視界を素早く機体視界に焦点を合わせたペスティサイダーの耳にはアシッドブレイクが感じている外の音も景色も明確に伝わる。


 ペスティサイダーの耳を打つのは、まるでギガダストの集団が争うような激しい地響きと破砕音。

 そして、眼前を高速で横切るギガダストらしき大きな黒い人型の影だった。


「プレイヤー!?」


 その姿にペスティサイダーの意識が一気に覚醒した。


 正面に絞られていた機体視界が草食獣並みの広い視野角になる。


 その僅かな間にも先ほどとは別の黒いギガダストが上空から飛来してくるのを察知した彼は、機体両腕に内蔵したドングリバルカンを向けた。


 準備運動無しの急激な動作は重い機体に負担がかかり、座席下部に配置した動力袋が発熱しながら激しく脈動し、その上に座るペスティサイダーに振動と熱を送り、空調の甘い操縦室の温度が急上昇させた。


 彼は射撃を開始しようとするができない。


 一瞬焦るも、すぐに戦闘行為禁止のセーフティエリアにいることを思い出し、アシッドブレイクの両腕を下ろした。


 ペスティサイダーは機体の広がった視野角が拾い上げる周囲の光景を改めて見たことで、今の状況がギガダスト同士の戦いや襲撃とは別物だと気づく。


 だったら何なのかと問われても答えが出ない状況に思わず装甲を開きアシッドブレイクから顔を出した。


 彼はどうみても機体の制御ができていないギガダストが黄煙を噴出しながら浜の砂を巻き上げながら墜落し、バウンドしながら壊れていく姿を幾つも見送った。


「どういう状況?」


 何かの瓦礫が、海に、砂浜に、まだ近づくことも難しい森に絨毯爆撃のように降り注ぐ。


 その大きさは小石サイズから一軒家サイズまで幅広い。


 その合間を縫うように黒いギガダストたちも上空からやってきては、まともに着地もできずに砂浜に叩きつけられていく。


「島の形が変わりそうだ」


 埋立地が出来そうなほど飛来する瓦礫とギガダスト。

 そのギガダストのデザインには統一感が有り、ペスティサイダーには見覚えがある気がしたが、錐揉み回転しながら恐ろしい勢いで落着粉砕されるため判断が難しい。


 その勢いは海面に落下した物も破壊されるほどだ。


 相当な速度と高さを感じた。おまけに死酸島エリアに侵入した瓦礫は黄色い煙を大量に生み出す。


 煙はセーフティエリアには入ってこないが、外は煙に埋め尽くされようとしていた。


「何が何だかサッパリだが、一つだけわかることがある、コイツら無人だ」


 有人ギガダストがこの勢いでセーフティエリアに突っ込んできた時はコマ落としのように誰も居ない場所に直立姿勢でエリア内に出現する。

 明らかに接触コースなのにペスティサイダーとアシッドブレイクをすり抜け、明後日の方向に吹き飛んでいく黒いギガダストは、別空間であるセーフティエリアに入れない無人の状態だと理解できた。


「これだけの数が揃って恐らくは同じデザイン…NPC産の店売りギガダストか?」


 そこに気がつくと頭にピンっと来るものがあった。


 破断して転がる手足だけでもペスティサイダーの嗜好に合致する重厚そうなデザイン。

 特に腕部らしき形状は、ガングエイコンにも採用しているト型機巧腕と呼ばれる非常に好ましい外見に思える。


 ペスティサイダーの脳裏で記憶のピースが組み上がっていく。


 店売りギガダストでそのようなデザインで有名なのは、大陸西の溶岩と鍛冶の都市エストメルド製ギガダストのゴーレムシリーズだ。


 鈍重だが溶岩の炎熱と圧力に耐える達磨と硬式潜水服を合体させたようなズングリシルエットの装甲外皮、マグマを回収するために前腕がシリンダーになっているト型機巧腕が特徴の機体群である。


「…炎熱と圧力に強い頑丈な機体か…行けるか?」


 瓦礫もギガダストも死酸に侵されて黄煙を噴き出すが、ペスティサイダーにはエストメルド製と思われる黒いギガダストはその煙が少ないように見える。


「この煙は味方かもしれない、行くか」


 再び操縦席に身を沈めたペスティサイダーはアシッドブレイクをセーフティエリアの外へと走らせた。


アシッドブレイクをガングエイコンと書きまちがえている箇所があったので修整しました。


コメント、ブクマなど評価色々、募集中です。


次回更新は明日18:00の予定です。

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