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3話目です。
「あ、隙間に落ちた…」
打倒、死酸咆哮ズテンフェオン。
明確な目標…クエストをデトネイに提示されたペスティサイダーは、現実に帰れない、衣服を作るなどの些細な問題を忘れ、初めて後継のギガダストにログインした時のような現実からの開放感に踊りだしそうな気分で、島に潜むUKM討伐のための最低条件である。
環境ギミックの死酸を突破するために動き出す。
まずペスティサイダーが着手したのは、素材化が終了したヘビィゴーレムに突き刺さる形で一緒に回収したエストメルドのウェルカム大看板の解体だ。
ゴーレムシリーズの装甲外皮と同じ素材の大看板には危うく殺されかけた彼だったが、大量の素材となる大看板は非常にありがたいオマケだった。
解体道具は【巨人の手】のお陰で強靭で器用なギガダストの手刀および彫刻刀のように鋭くなる指先だ。
ガリガリと指先で大まかに線を刻み、手刀を叩きつけ切断していく。
「あーむ」
彼は分割した大看板をインベントリに収納した後、わざと小さく割断した飴玉サイズの黒い端材をインベントリ経由して手に取って口に放り込み、そのまま黒い端材を口内でねぶり始める。
「もごもごもごもごもごもごもごもごもご」
口内で分泌した橙色の樹液を黒い端材にまぶして丹念に舌の上で転がしていく。
エストメルド周辺の溶岩地帯で回収できる頑丈な素材、通常はこれをどんなに頑張ってねぶろうとも、唾液と樹液の混合液がまぶされた端材になるだけだが。
彼が持つ【泡沫】ソイルがあると劇的に変化する。
「んー届かなぁーい…ねぇー」
「もご?」
「ぷっなぁーにその顔ぉ」
ペスティサイダーの頬は発泡構造が形成されて膨張した黒い端材でパンパンに膨らんでいた。
【泡沫】はバブルフォーム…泡の塊や発泡構造素材を扱う難易度が低下するソイルだ。
対象が液体ならペスティサイダーが息を吹きかけるだけで発泡構造が作られてブクブクと何倍にも膨らませることができ、岩や金属などの頑丈な固形物相手でも適当な液体をまぶしながら口内などで丹念にねぶりあげることで、多少時間は必要だが石鹸のように泡立ててバブルフォームにできる。
これは戦闘では敵に投射するか口から噴射して敵を固めて拘束したり、クラフトだと少ない素材を膨張させて大きな素材に変えたり接着剤にも利用できる。
「もももご?」
「ひひひ、何言ってるのかわかんなぁい、そこの隙間にさぁ……が落ちたから取ってくれなぁい?」
「もごご」
口内で端材をねぶる音のせいで、デトネイが何を落としたのか、聞き逃したペスティサイダーだったがに断る理由はな無いので適当に返事をし、デトネイが指さした隙間に視線を向ける。
アシッドブレイクの操縦槽の内装は隙間が多かった。
簡素な足場と手すりが設置されているが、その下には操縦槽の下部に設置された動力袋がひしめき合って呼吸をするように伸縮を繰り返している。
隙間の奥は重なり合うテトラポッドのように複雑で深かった。
死酸のせいでギガダストが使い捨て状態だったのと、装甲外皮が内槽骨格の六割を覆うなら骨格やプレイヤーが剥き出しでも、防御力と内部の気密性を保ってくれるというゲームの建造システムの影響もあり、内装のクオリティは非常に低い状態だった。
本来はこだわるべき場所なのだが、操縦槽の内装は多くのプレイヤーが後回しにしがちで、そのせいで戦闘中に操縦槽の隙間から内槽骨格に落ち、激しく動くギガダストの部品にズタズタに引き裂かれることが多々あった。
子どもが野外に勝手に作った秘密基地よりはマシといった具合だ。
危険な分、居住性で負けている。
ゲームに慣れてきた頃によく起こる自身も何度か体験した事故を思い出してチラリとデトネイを見るペスティサイダー。
もっとちゃんと仕上げないといけないと、おざなりになっていた内装を改めることを密かに誓う。
(ところで何を落としたんだ?)
ペスティサイダーはデトネイの指差した先、足場として敷かれた板と板の間の隙間の奥にアシッドブレイク建造に使った覚えのない赤銅色の輝きを見つけた。
これかと思い、指を触手に変化させてそれを絡め取り引きずり出す。
「ぶっ!」
隙間から出てきたのは、動力袋が発する熱で人肌程度に温められた。
赤銅色に輝くビキニアーマーの下部分だった。
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次回更新は明日18:00の予定です。




