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俺たち双子は世界を救わない。~自由気ままな異世界グルメスローライフ~  作者: 京野きょう


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第52話・NEXT!異世界なのにまだやってませんでした

「う~……まだだりぃ……」


 スキルを使って倒れてから約二日後──


 俺は重い身体を起こして、一階のダイニングへと向かう。


「おふぁよ……」

「あら、もういいの?」

「んー……まだダリぃけど、起き上がれる程度には何とか」


 そう。

 俺は《自動調理》を使った瞬間に倒れ、まともに起き上がれなくなっていた。

 華蓮がスキルを使って怠そうにしていたのを見たことはあったけど、ここまでとは思わなかった。

 てかマジで!!

 最悪死んだんじゃね? って思うくらいには覚悟したわ!!


「はい、お粥」

「さんきゅー。あーうめー……!」


 とろとろに煮込まれたお粥が身体に染み渡る。

 米がいつでも食えるようになって、マジで良かった……!


「ほぼ二日、まともに食べてなかったものね……」

「さすがに食欲は湧かなかったからなぁ。華蓮はメシ大丈夫だった?」

「別に料理が出来ないわけじゃないもの。数日くらいどうってことないわよ」

「そりゃそーだな」


 華蓮も料理が出来ないわけじゃない。

 ただなんてゆーか、大雑把。

 みじん切りと粗切りの違いは理解してるくせに、自分で作るとなるとどうでもいいらしい。

 俺には細かく指定してきたりするけど。

 カップ麺の三分が待てずに二分で食うし。


 几帳面な性格してるくせに、料理に限ってはなぜか発揮されないらしい。

 多分、意識が食欲に全部持ってかれてるせいだな、うん。


「にしても──」


 お粥を食い終わった俺は、背伸びをして固まった身体をほぐしながら欠伸をする。


「まさかこんなんなるとは思わなかったよなぁ……」

「私がキツいって言ってた意味、分かったでしょ?」

「めちゃくちゃ分かりました、さーせん」

「緊急時以外は、全調理はしない方が良さそうね」

「いや、緊急時でもやんねーよ? 俺が緊急になっちゃうよ?」

「でも食材を切る程度なら大丈夫そうだし……良いスキルで良かったわね!」

「無視かよ」


 まぁ確かに、千切りとかミンチとかめっちゃ楽になりそうだから良かったけどさ!

 魔獣肉の薄切りでも結構疲れるんだぜ?

 俺自身のレベルのせいなのか、魔獣肉というレア食材だったからなのか、あるいは両方か、そもそもレベルとか何も関係なかったりとか……?


 正直まだ全然分からん。

 ……分からんが!

 このスキルが便利すぎるのは変わらん!

 だって醤油も手に入ったし、これで牛丼だって食えるんだぜ!

 味濃いめでちょっと甘めで……。

 今日の夕飯は牛丼にしよう。そーしよう。


 そんなことを考えていたら、ふと思い出したことがある。


「そーいやさ。前にレインさんが言ってたよな。『スタミナポーション飲めばいい』ってさ」

「そういえば言ってたわね」

「常用する金はないってことで使ったことはなかったけど、さすがに今回は薬代わりに飲めばよかったんじゃね……?」

「……そうかも?」

「……忘れてた?」

「……兄さんも?」

「ま、まぁ! 次に同じようなことがあったら、真っ先に飲ませるようにしようぜ、お互いにさ!」

「……そうね」


 俺がぶっ倒れたってのに、華蓮も忘れてたのかよ!って気持ちもなくはない……が、それは俺も同じで忘れてた。

 それにこれまで金がヤバくなるという理由で、スタミナポーションの存在を見ないフリして華蓮に我慢させてた自覚は俺にもある。

 ……むしろ自覚してた分、俺のがタチ悪い?

 い、いやまぁ、華蓮も頑なに使わなかったしな!


 でもやっぱり、必要な時にはちゃんと使わないとダメだよな。


「なぁ……」

「なに?」

「そもそも華蓮さ、錬金術師なんだからポーション作れんじゃねーの?」

「そうなの?」

「まぁゲームとかだとそーゆーもんなんだよ」

「ふぅん……?」


 俺の中の知識だけで言えば、錬金術師は調合するもので、とりあえず調合するとしたらポーション。

 そして色々調合して最終的には賢者の石や金を……って、錬金術師めちゃくちゃ凄くね?

 華蓮が極めれば億万長者じゃね?

 って妄想はまぁ、置いといて。


 ゲームをしたことがない華蓮には、錬金術師に関してはピンと来てないらしい。


「だからさ、そろそろポーション作ってみねぇ?」

「……そうね」

「回復薬(ヒールポーション)はミンミン草、活力薬(スタミナポーション)はバジリカ草。幸いどっちも近くの森で採れるもんだしさ」

「確かに」

「ルーグさん達の冒険にも役立ててもらえるし、余りゃ売ってもいいわけじゃん?」

「ルーグさん達の力にもなれて、金策にも……」

「そうそう。ポーション多用する危険性とかはまたレインさん達に聞くとして、俺らも手軽に使えればさ」

「……食事の質もさらに上がるわね?」

「そ、そうそう」


 こ、こいつ目の色変わったぞ。

 やっぱり今の華蓮の原動力は『飯』なんだな……。

 いや元々、食が大好きなやつだったけど。

 異世界に来てから拍車がかかってる気がする。

 まぁ無理もないけどさ。


「よし、早速今日からやってみましょう!」

「お、おう……!」


 正直まだ本調子じゃないし、この後また一眠りしたかったけど……無理みたいだなぁ……。

読んで頂きありがとうございます!

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