第49話・SKILL!異世界で新しい調理スキルを覚えてました!?
「たっだいまー……って疲れた……」
「ソータ、疲れたのー?」
「兄さん、だらしないわよ」
「戦闘もほぼなかっただろーが」
家に戻るなり、椅子に腰掛けると同時に項垂れる俺。
そんな俺を軽蔑するかのような表情で見るパーティメンバー。
普段から筋トレしてるような奴らに言われてもなぁ……。
ほぼ丸一日採取してたんだから、疲れるのは当たり前じゃね?
お前らの体力と一緒にすんなよ。
と言える雰囲気なんかある訳もなく。
「ま、まぁ! クロミの実はたっぷり採れたし、夕飯は期待してもらっていいから!」
「はい、こっちは夕飯用に変換しておいた醤油」
「お、おお、さんきゅー……」
休むことも許されず、間髪入れず醤油を渡された。
ゆ、夕方に差し掛かってるとはいえ、少しくらい休んだっていいじゃんか!
と言いつつ華蓮は作業の続きを始めてる。
俺より動き回ってたくせに……!
フィンさんとレインさんは家だとやるべきことはない。
だからゆっくりしてもらって構わないんだけど……。
俺と華蓮がそれぞれの作業に取り掛かると、それを興味津々と眺めていた。
華蓮はクロミの実を醤油へ変換する続き。
俺はもちろん夕飯作り。
見てて楽しいかは分からないけど、フィンさんは俺の方、レインさんは華蓮の作業に釘付けだ。
うっし、腹も減ったし! サクッと作りますかね!
「ねーねー! 今日は何作るのー?」
「へっへっへっ、何を作るかはもう決めてるんすよ!」
「なになにー? 楽しみー!」
「生姜焼きっす!」
まず野菜庫からキャベツを取り出し千切りにして、水を張ったボウルに浸す。
次は玉ねぎを1cm幅のくし切りにして置いておく。
お次は生姜。
生姜はおろしたいけど、おろし金がない!……から、超みじん切りにする。
え? 別に細切りでもいいだろって?
ノンノン。
俺は生姜の味は好きだけど、噛むと辛い生姜が苦手なんだよ!
紅生姜とか、ガリとか!
そんな訳で気にならない程度まで細かくするのだ。
最後にアイテムボックスから魔獣肉を取り出し、2mmくらいの厚さにカットをする。
……カットする……。
これを薄く切る……?
ぐぎき……む、無理ゲーじゃね……?
肉屋さんとかならともかく、ただの料理好きの素人が塊肉を薄切りにするって……。
え、待って、もしかして詰んだ?
作業が止まる俺を見て、フィンさんが不安そうに声を掛ける。
「ソータ、どしたのー?」
「えーと、この肉を薄切りにしたいんすけど、難しくてどーしよーかなーと……」
「薄切りじゃなきゃダメなのー?」
「ダメなんすよ、生姜焼きにするなら……!」
「お肉屋さんなら出来そうだけど、もう閉まってるかもー」
「ですよね……どうすっかな……」
俺とフィンさんのやり取りを見た華蓮がこっちに来る。
「薄切りじゃない生姜焼きなんて生姜焼きじゃないわ……。許せても5mmかしら……」
「おま……塊肉から5mmも相当しんどいからな……?」
「兄さんのスキルでお肉が簡単にカット出来るようなのってないの?」
「何だよそのご都合主義スキルは」
「そのご都合主義に助けられてきてるのよ、私達は」
「身も蓋もないこと言いやがって……ステータスオープン!」
こんなことで押し問答してても時間の無駄ってことで、ギルドタグを握り呪文を唱える。
【名前】ソータ・ミヤシロ
【職業】異世界の料理人
【Lv.】6
【冒険者ランク】D
【固有スキル】《言語理解》《アイテムボックス・小》
【職業スキル】《自動調理Lv.15》《素材解析》
……あれ?
「なぁおい華蓮……俺の冒険者ランクがDになってる」
「え? 今更?」
「え?」
「ちょっと前にギルドマスターからの依頼をこなしたの覚えてる?」
「食堂のメニューだろ?」
「その依頼を受けたとき……私が交渉してたの覚えてる?」
「──あっ!」
そーいやしてたわ、華蓮が。
詳しくは38話を読んで欲しいが、俺が噛んでて恥ずかしいから読まなくていい。
「ま、まぁランクは置いといて! 調理Lv.15になってる……ん、自動調理?」
「自動調理?」
「ちょいまち……」
《自動調理》をタップすると──
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《自動調理》
自分が知っている調理工程をイメージすることで、自動で調理を行える。
消費する体力は調理内容によって異なる。
─────────────────
「──だってさ」
「ということは、薄切りに出来るっていうこと?」
俺が内容を読み上げると、華蓮がキラキラとした目で曲解し出す。
いや、間違ってるとは思えないけどもさ!?




