表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たち双子は世界を救わない。~自由気ままな異世界グルメスローライフ~  作者: 京野きょう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/51

第48話・HARVEST!異世界で初めての冒険にしゅっぱーつ!

 俺達は冒険に出ていた。

 そう、目的はクロミの実、ただ一つ。


 醤油を日常的に使いたい──

 てなわけで、クロミの実の大量ゲットを目指していざ冒険!


 目的地は街から少し離れただけの近くの森。

 魔物らしい魔物も出ず、駆け出し冒険者にうってつけの場所らしい。


 それは冒険なのか?ってツッコミならノーサンキューだぜ?


 そんな訳で案内役を買って出てくれたフィンさん、そんなフィンさんに無理矢理引っ張られたレインさん、俺と華蓮の四人で森へと向かったのだった。


「ったく、なんで俺まで……」

「イイじゃんー! 採取も楽しーよー?」

「せっかくのオフだったのによ……」

「ま、まぁまぁ! 昼飯は美味いの用意してますから!」

「やったー! ね、レインー来てよかったでしょー?」

「レインさんはハンバーガーお好きでしたよね? 新作なので楽しみにしてて下さい!」

「お、おう……」


 ぶつくさと文句を垂れていたレインさんも、華蓮のハンバーガー発言に押されてか黙ってしまった。

 レインさんって身体も細身だし、食も細そうなのに意外と食べるんだよな……。

 その辺は華蓮と通ずるものがある。気がする。


 さーて、採取採取!


「うおお、なんか見たことないのがいっぱいある!」

「この辺は薬草が多いよー!」

「この森には毒性のあるものは少ないが……分からないものには触れるなよ」

「うっす!」

「本当は全部持ち帰って解析したいけど、キリがないわね……」

「マジでそれな!」


 異世界にある物が、全て現代食材に変換出来る訳ではない──

 と気付いたのは、以前いくつかの食材を試した時だった。

 現代と同じような野菜はスキルを使っても特に変わりなかったし、薬草なんかは変換出来るものと出来ないものがあった。


 スキルを使うのもそれなりに体力を消耗するし、むやみやたらに使うのはやめよう。

 俺と華蓮はそう約束していた。


 とは言え──

 醤油の原料となるクロミの実を知った今、そんなこと言ってられねぇ!

 華蓮に関しては、体力の続く限り醤油に変換する! と息巻いていた。

 俺はというと、一度解析しちゃえばそれ以降する必要がないらしく……。

 必要スキルではあるけど……なんていうか、あまり使い所がないスキルに少しがっかりしている。

 まぁ料理をするために体力温存しておける、と考えよう。うん。


 か、悲しくなんかないんだからねっ!


「ソータ、カレーン! ほら、あったよー!」

「おっ!」


 森に入って十五分もしないうち、クロミの実はあっさりと見つかった。

 低い草木にたくさんの実が付いていて、見た目はまるで野いちごがなっているようだった。


「野いちごみたいね……」

「こうして見ると美味そうだよなぁ……」

「クロミの実を知らないガキは、森に入っておやつ代わりにって一度は口にするんだ」

「そーそー! 割れるまでは匂いもしないしねー!」

「私も知らなかったら食べちゃうかも……」

「俺も……ってか、レインさんも食っちゃったんすか?」

「……うるさい」


 ひと舐めしただけであの渋さ。

 口の中で破裂したらそれこそ毒なんじゃ……?


「お、大人は止めたり教えたりしてくれないんすか……?」

「……好奇心が強いガキが、目の前に美味しそうな実があって食うのを止めると思うか?」

「……思わないっすね」

「そういうことだ」


 うん、俺と華蓮なら絶対食ってるわ。


「よ、よーし! 早速採取しますか! 華蓮、瓶出してくれ!」

「分かった」


 華蓮はアイテムボックスから大きめのガラス瓶を取り出した。


「では取ったらこちらに入れて下さい。……出来るだけ割らないように」

「割れたら大変だもんー! 気を付けなきゃねー!」

「収穫したら昼飯にしますか!」

「さっさと終わらせるぞ」


 数分後、ガラス瓶の半分くらいに実が集まった。

 割れないようゆっくりやったけど、四人でやると早いなー。


「……てか根こそぎ取っちゃったけど、いいんすかね……」

「クロミの実を欲しがるやつなんていないし、問題ないだろ」

「それにどこでも生えてるしー! もっと森の奥に行けばいくらでもあるよー?」

「なら良かった……! クロミの実は定期的に欲しいっすからね!」

「兄さん、ガラス瓶もう一つあるけど……」

「こんだけあればもういいだろ……さて、昼飯にしますか!」

「やったーあ!」


 俺はアイテムボックスから、朝作っておいたハンバーガーを取り出す。


「さー、どぞ! テリヤキバーガーっす!」

「テリヤキー?」

「あの醤油から作ったソースなんす!」

「お、美味しいのー……?」

「大丈夫なのかよ……」

「味見もしてるっす!」

「私はハンバーガーの中で、テリヤキソースが一番好きです」


 少しテンションの下がった二人に、自信満々に答える俺と華蓮。

 魔獣肉パティ、輪切りのトマトと玉ねぎにレタスをサンド。

 そこにテリヤキソースをたっぷりと塗った、特製テリヤキバーガー。

 ……マヨネーズはないから少し寂しいけど。


 ビジュアルに関しては文句なしの出来栄えだ。


「いただきまーす」


 ばくっ。


 華蓮がいち早くかぶりつく。

 もぐもぐと満面の笑みで食べてるのを見て、フィンさんとレインさんもそれに続く。


「な、なにこれえ……!」

「……!」


 二人は目を見開き、顔を見合わせると勢いよく食べ進める。

 よっしゃ、気に入ってもらえたみたいだ。

 やっぱり醤油は正義だな!


「ね、美味しいでしょう?」

「ごくん……うんっ! 美味しいー!」

「……美味い」

「でしょ! でも醤油の凄さはこんなもんじゃないっすからね!」


 ……ちょっと大袈裟に言い過ぎたかもしんない。

 いや、俺は醤油の凄さを伝えたかっただけなんだ。


「食い終わったら、もう一つのガラス瓶を満タンにするまで収穫するぞ」


 まさかのレインさんがこんなこと言い出すなんて。

 ……実は華蓮に負けず劣らず、食いしん坊なんすか?

読んで頂きありがとうございます!

応援して頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ