第46話・DISCOVERY!異世界でパーティ解雇されそうです!?
改めて冷静になると……臭っ! マジで臭っ!
鼻もげるって、これ。
って、この匂いとルーグさん達のいたずらに意識がいってたけど……。
華蓮がこの実を潰したんだよな、指で。
そう、指で。
「か、華蓮……?」
華蓮を見ると、潰したポーズのまま固まっていた。
俺の呼び掛けにも答えず、意識を失っているかのようだ。
「ちょ……おいっ! 華蓮っ!」
──実は本当に毒があったんじゃ?
そう思うくらい反応のない華蓮の両肩を、俺は慌てて揺さぶった。
「おい! 華蓮!」
「はっ」
何度目かの揺さぶりに、ようやく反応した華蓮。
よ、よ、よ、良かった……!
「え? なに?」
「何じゃねーよ、お前! 全然反応しねーから心配するだろっ!」
皆が心配そうに見守る中、すっとぼけたことを言う華蓮。
まぁ、無事ならいいんだけどさ……。
あー、マジ焦った。
「ほら、指洗ってこいよ。ここは俺が拭いとくから」
未だに指に付いた汁を眺める華蓮を促し、俺はキッチンへ向かう。
すると突然、華蓮が親指をぺろりと舐めた。
「み゛っ!」
顔をぐしゃりと歪める華蓮。
当たり前だろーがあああ!
「おまっ、何してんだよっ!?」
「ど、毒じゃないが、この悪臭の中でそれを舐めるか……?」
「カレンさん……?」
「美味しい匂いもしてないのにー……!」
「カ、カレン…… 水飲むか?」
ほら見ろ、皆もドン引いてるじゃねーか!
あのレインさんですら狼狽えてるぞ!
「だ、大丈夫……」
表情を歪ませたままの華蓮が、大丈夫のポーズを取る。
全然大丈夫そうじゃねーって……。
そして華蓮は、俺に汁が付いたままの人差し指を差し出した。
そのまま更にとんでもないことを言い出す。
「兄さんも舐めて」
「はい?」
ナニイッテルノカ、ボクゼンゼンワカンナイ。
「ほら、早く! 洗いたいんだから!」
「待て待て待て! お前な! 自分だけ嫌な思いするの嫌だからって俺にまでそんな……!」
「いいから!」
な、何なんだよぉ……。
俺が何したってんだ、ちくしょー。
差し出された指を、恐る恐る舐める。
匂いが近い近い臭い近い!!
ぺろ。
「ギッ!!」
俺も華蓮と同じく顔を歪ませ、叫びにならない声を上げる。
苦い苦い渋い臭い苦い臭い渋い!
臭い臭い渋い苦い……渋……?
「……ね、分かった?」
華蓮が俺の顔をじっと見つめる。
俺は華蓮の言わんとすることが理解でき、こくんと頷いた。
「……醤油……だよな?」
「そう……!」
「醤油……」
「そう、醤油よ、兄さん!」
「醤油……醤油……」
「しっかりして兄さん!」
「醤油!!?」
そう、醤油!!
この悪臭と味のどこかに、醤油を感じさせる何かがあった。
いや、味も匂いも醤油とは似ても似つかないんだけどね。
でもこう、なんかふわっと!
「うおおおおっ!!?」
「ねっ、ねっ!?」
「やったああああっ!?」
俺達は手を取り合い、その場でピョンピョンと飛び跳ねる。
本当は出汁と味噌も欲しいとこだけど!
でも最初にゲット出来たのが醤油だなんて!
諦めてたあれもそれもこれも!
色々作れるし、食べられる!
これが喜ばれずにいられるかあああ!!
そんな俺達をポカーンと見つめるみんなから声が掛かる。
「ねーねー!ショーユってなにー?」
「多分……ソータさん達の故郷の何かでしょうか?」
「こんなもんを食材にしてんのか……?」
「やっぱり異世界人ってやばいんだな……」
コラそこ聞こえてるぞ!
まぁ今は何を言われても気にしないけど!
ごほん、と咳払いをしルーグさんが口を開く。
「あー、盛り上がってるとこ悪いが……そろそろ説明しちゃくれねーか?」
「す、すんません、嬉しくてつい!」
「故郷の思い出のものなら仕方がないですよ。ですが……」
「まさかこれが食材だなんて言わねーよな……?」
そのまさかなんです。
とは言いにくい空気。
まぁ、この悪臭放つ実を食うなんて信じられない気持ちは分かる。
俺も珍味系のくさやとか苦手だし……。
そもそも俺だって、この実をそのまま食材にする気なんて一切ない。
そんな勇気もない。
「もちろんそのままじゃ使わないっすよ!」
「……ってことは、使うのには間違いないと」
「ええー……ボク美味しいのが食べたいー!」
「わ、わたくしも珍味は苦手でして……」
「やっぱりこいつらパーティ入れたの間違いなんじゃねーか、ルーグ」
「うーむ……」
ああっ、信用がなくなりかけてるううう!?
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