表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たち双子は世界を救わない。~自由気ままな異世界グルメスローライフ~  作者: 京野きょう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/51

第41話・ PLAN!異世界の新メニュー戦略会議

 貴族や王族のお抱え料理人?

 店を持つ?

 誰が?

 俺が?


「へっ!? お、俺がっすか!?」


 数秒の思考を終え、思わず間の抜けた声が出た。


「お前以外、誰がいるんだ」

「いやでも……俺はそんな大層なこと……」


 俺は頭を掻きながら、もごもごと語気が落ちる。

 大層なことをしているつもりはない。

 が、この世界ではそうではないんだろう。

 分かってはいるけど、急にそんなスポットライトを浴びるのは困る。

 なんか怖いし。


「もちろん今すぐっていう話ではないぞ」

「あっ、そうなんすね……」


 俺はほっと胸を撫で下ろした。

 話が大きくなりすぎると、心の準備ってもんが追い付かない。

 何しろ俺は小心者だからだ。

 えばることじゃないけどさ。

 こえーもんはこえーんだ、悪いか!


「だがこの料理が作れるソータなら、欲しい貴族やらはいくらでもいるはずだ」

「それは光栄っすけど……」

「店舗を持つことに関しても問題ないかと。トマトソースを広めた実績もありますし」

「はぁ……」


 だから規模感がこえーんだって!

 まだ知人に振る舞う程度しかしてないんだってば!


 俺の慌てふためく様子を傍観していた華蓮が口を開いた。


「私はお店を持つのは良いと思うけど」

「ま、マジで言ってんの?」

「大マジよ?」

「いやでもさぁ……」


 いつかは……とは思ってたけど、さすがに早すぎるんじゃねーかと思うんだけど。


「兄さん」

「な、なんだよ」

「私達の職業は?」

「は? 料理人と錬金術師だろ?」

「そうね。じゃあ私達は、その職を活かしてお金を稼いでるかしら」

「……いやでも、トマトソース……」

「私達、今無職に近いと思うの」

「……!」


 華蓮が真面目な顔でキッパリと言い放つ。

 こ、こいつ……遂に言いやがった……!


 と言いつつ、実は俺もそう思ってた。


 最近の俺達はというと……。

 最初にもらった支度金を切り崩しながら、初心者向けの薬草採取依頼で小銭を稼ぐ日々。


 錬金術は調味料へ、その調味料は朝昼晩の俺達の腹の中へ。


 うん、稼いでないんだよな。


「兄さんが貴族お抱えの料理人になるのは私も反対。でもそろそろ料理人として、お金を稼ぐのは良いと思う」

「まぁ確かに……?」

「今回のトマトソースで少しは稼げたし……何より料理のうではギルドマスター達のお墨付きよ?」

「華蓮……」

「はっはっ! しっかりした妹だな、ソータ!」


 華蓮の言う通り、トマトソースや今回の依頼で、料理がお金になることは分かった。

 それにそろそろ本腰入れて考えないと、金がヤバくなるのは確かだ。


「でも料理で稼ぐってのもどうやって?」

「その辺は後で相談に乗ってやる。その前にギルド食堂のメニューを決めてもいいか?」

「すみません、つい……」

「いや、やる気があるのは良いことだからな」


 そう言ってにやりと笑うマスターと、それに頷く副マスター。

 優しい。

 せっかく俺達を頼ってくれたんだから、俺もそれに応えなきゃな。


「んーと……メインとなるのはハンバーグなんで、トマトソースを掛けたり煮込んだり、パンに挟んだり……日替わりにするとかどうっすかね」

「日替わり?」

「そっす。俺達の世界では日替わりランチってのがあって……」

「ほう?」

「例えば……営業前に同じメニューをまとめて仕込めば作業も楽になるし、食材もまとめて仕入れれば安く提供出来るんす」

「なるほど……仕込みの手間も減り、材料費も抑えられる、と……。大事ですね」


 頷きながらメモを取る副マスター。


「ハンバーガーは持ち帰りにするのもありっすね!」

「それもお前達の世界では普通なのか?」

「そっすね。持ち帰って家で食ったり、外で食ったり。もちろん店で食うこともありますけど」

「……なるほど。冒険者達には、手軽な携帯食で良いかもしれませんね」


 副マスターがメモを見返し、マスターも腕を組んだまま、二人は考え込むように黙り込んだ。


「ただ……魔獣肉が高価なのは知ってるか?」

「あ、はい。高級品の部類とは聞いたっす」

「それを手軽に……というのもなぁ」


 頭をポリポリと掻きながら唸るマスター。


「このハンバーグはどんな肉でも作れるっすよ?」

「……そうなのか?」

「兄さん、豚も鶏も買ってあるから作ってあげましょうよ」

「……お前、食いたいだけだよな?」

「いいえ、これはギルド食堂のためなのよ」


 うそくさっ!

 けどまぁ、作り方も見せておこうと思ってたしいいか!


 というわけで、豚も鶏も魔獣肉もミンチにして、それぞれハンバーグを作ってみせることにした。


「──こんな感じで出来上がりっす。ミンチにすることで切れ端とか余った肉でも有効活用出来るんで……」

「……ソータ」

「素晴らしい発想ですね……」


 何やら感動してくれてるっぽい?

 よ、良かった。

 魔獣肉をパッと見でぐちゃぐちゃに叩いてるのを見て、二人の顔は一気に険しくなっていた。

 その時の空気といったらもう。

 俺の命がヤバいかもと思ってたのに……。


 穏やかな空気になったなか、華蓮が新しいフォークを準備し始める。


「とりあえず食べてから考えましょう!」


 空気読めえええ!

読んで頂きありがとうございます!

応援して頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ