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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第115話】大樹の村の地下遺跡 ?階

【第115話】大樹の村の地下遺跡 ?階


フォン――

魔法陣が起動する音が響き、まばゆい光に包まれる。


「うわっ!?」

「ひっ!?」


「主殿!!」


視界が真っ白に染まる瞬間、ナヴィの声が聞こえた。しかしその直後、足元の感触が消える。


落ちる感覚。


いや、違う。


降ってくるような……。


バシャァァッ!!


上から大量の水が降り注ぐのと同時に、俺とレイはまとめて地面へ叩きつけられた。


「ぶはっ!?」

「げほっ!」


どうやら転移トラップは、俺たちだけでなく周囲の水ごと巻き込んだらしい。

転移された挙句、上から降ってきた水をかぶるという最悪のオマケ付きトラップだった。


「いたた……レイくん、大丈夫?」


「は、はい……なんとか」


ずぶ濡れのまま立ち上がる。

全身びしょ濡れで冷たい。とにかく冷たい。


予備の服はリズベルに渡してしまったことを思い出す。こんなことならもっと家から服を持ってくるべきだった……。

ひとまず指輪からタオルを取り出し、レイへ手渡す。


「とりあえず拭こう。風邪ひきそうだ。……まあ、あんまり意味ないかもしれないけど」


「すみません、ありがとうございます」


服までびしょ濡れの状態で多少拭いたところで大差ないかもしれないが…髪や顔が濡れている不快感は幾分マシになるだろう。


自分も顔や髪を軽く拭きながら、周囲を見渡した。

さきほどまでいた階層とは明らかに雰囲気が違う。


壁面は崩れておらず、床も割と整っている。

さっきまでいた場所と比べると、かなり保存状態がいい。


それに――。


「なんですかね、この模様」


タオルで髪を拭くレイが呟いた。

視線の先には、壁一面に細かな紋様のようなものが刻まれている。


彼は紋様と言ったが、俺にはそれが文字らしきものに見えた。


おそらく《言語理解》のスキルが反応しているんだろう。

しかし、このスキルは主に会話に対する効力が大きいため、文字に対しては断片的にしか情報を拾えない。


侵入、隔離、保護。


単語だけが頭に浮かぶ。


「この遺跡が作られた時代の文字とかじゃないかな、たぶん」


ノイラなら何か知っているだろうか。もしくは、目を輝かせながら隅々まで調べるかもしれない。


なんてことを考えつつ、あたりを見渡す。周囲に魔物の気配はなく、静まり返っている。


「とりあえず……通信、試してみるか」


指輪から魔道具を取り出す。

遺跡突入前にクレイから渡されたものだ。


魔力を込めると、淡く光が点滅する。相手を呼び出している状態だ。


1分ほど呼び出してみたが、何も起こらない。

……やはり距離が遠いのだろうか。


そう思った瞬間。

ブゥン、と低い振動音が響いた。繋がったのだろう。


「あー、もしもし。聞こえますか?」


『ああ、聞こえている。繋がって良かった』


クレイの落ち着いた声が聞こえてホッとする。


「レイくんも一緒にいるかい?」


「はい。二人とも無事です」


『それは何よりだ。こちらも無事だよ』


一拍置いて、少し苦笑混じりに続けた。


『消えた君たちを探しに、ナヴィさんがまた水へ飛び込んでいること以外はね』


おそらく俺たちの踏んだ転移トラップを探してくれているのだろう。

……ということは、ナヴィもびしょ濡れだろうなぁ。


「ナヴィには俺たちが無事だって伝えておいてください」


『わかった。彼女も安心するだろう』


後ろでリズベルが何か大きな声で呼びかけている。たぶん、連絡が繋がったことをナヴィに伝えてくれているんだろう。

通信を通して、少しだけ安心が広がる。


魔道具の反応を照合すると、どうやら俺たちは元の場所よりかなり下層にいるらしい。

縦方向に三、四階ほど落ちている可能性がある。


『距離があるから詳細な探知は難しいが、ノイラが反応を追っている。階層の特定まではもう少しかかる』


「わかりました。」


『探知できている情報としては、そちらの階層にもアンデット系がいるそうだ。……長時間の通信は魔力を消耗するから、探知が終わるまで一度通信を切るよ。慎重にね』


返事をした後、通信が切れて静寂が戻る。


レイが小さく息を吐いた。


「……一人じゃなくて、よかったです」


「巻き込んじゃってごめん」


「あ、いえ……自分こそ、すみません」


しかし、まさか荷物係2人が遭難してしまうとは……困ったなぁ。


壁の紋様は奥へと続いている。

通路の先へ、規則的に。


この紋様の先に何かあるのだろうか。もしかして遺物……とか?


「とりあえず行ってみようか」


「はい」


特に道標もなければ頼りにするものもないため、一先ず上層への階段を探して、紋様の続く方向を目印に進んでいく。



……しかし、水に濡れたままというのもあるが、この階層は上層に比べてかなり冷え込んでいる気がする。

地下に行くほど寒いのだろうか、もしかして。


体を動かせば幾分マシになってきたかもしれないが、風邪を引く前に戻りたい。

ヒールで体調は治せても、失った体力までは戻らないからだ。


レイの体調を気にかけつつ、暫く進んでいく。

やがて、小さな円形の部屋へと辿り着いた。


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