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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第四部 青年期 『2年生編』
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『2年生』『想起編』 『襲撃』 1

 「あ! スィダ! エンシアさん!」


 『メディオ学院』廊下。

 シオンが、前を歩くスィダとエンシアの後ろ姿を見つけて声をかけた。


 呼ばれて振り返るスィダとエンシア。


 「あら、シオン! 重そうな荷物を抱えてなにしてるんですの?」


 スィダはシオンが両手に抱えている箱を見て問う。


 「『帰還魔術』の研究用にピエドゥラさんと協力して作った『魔石』達です!」


 言いながら箱の中身をスィダとエンシアに見せつける。

 中には藍色の『魔石』が大量に入っていた。


 「あら、すごい量ですわね」

 「本当ですわ。 これだけの量、作るの大変だったのではなくて?」


 その量に驚くスィダ。

 エンシアは、『魔石』についても少し学んでいる為、どれだけ『魔素』を使ったのかを想像して少し引いていた。


 「いえいえ! 時間かけてゆっくりと作ったので問題なかったですよ!」


 「そうだったのですわね。 それで? それだけの荷物を抱えてどうするのかしら?」


 「あ、これはですね、さっきまで外で実験しようと準備していたのですが、雲行きが怪しくなってきたので回収してきたところです!」


 言いながらシオンが窓に目を向けると、外では大雨が降り始めていた。


 「ふふっ。 私にしては素晴らしい判断でした!」


 嬉しそうに笑うシオンと、それを微笑ましそうに見つめるスィダ。

 エンシアも笑顔である。


 そんな3人を、すぐ側の廊下の角から様子見する影。

 

 (今なら2人纏めてやれる。 テーセラからの報告はまだか?)


 予定ではそろそろテーセラがサティスの息の根を止めている頃だ。

 成功したらすぐに報告に来るように伝えてある。


 しかし、報告はまだ無い。


 (なにをしているんだ)


 影が苛つきを露にする。


 と、その時だった。

 影の全身に突き刺さるような不快感が襲いかかった。


 まるで、丸裸にされたような、監視されているような。

 自分を値踏みするような、そんな嫌な視線。


 影にとっては、あまり思い出したくない感覚だった。

 自分の正体を無理矢理暴かれるような感覚。

 

 (・・・嘘だ。 あいつは確実に死んだはず!?)


 影が驚くのも無理はない。

 なぜなら、この感覚を味あわせてくる女は自分が滅多刺しにして、『トゥーリア・アサーナトス』によって命を散らしている。


 万が一を考えた事もあったが、様々な証拠が確実に死んだ事を決定付けていた。


 だから、この感覚を味あわせてくる者などもういない。

 いないはずなのだ。


 しかし。


 「・・・まさか」


 息を飲んだ。


 「あの男。 まさか、すでに使えていたのか?」


 ありえる可能性はただひとつ。

 この学院に通っている、殲滅対象の1人。

 あの女の息子。


 『フェリス・サード・エレヒール』。


 彼が本当の力を隠していた可能性。

 すでに、母と同等の事ができるとしたら。


 いや、万が一それ以上だとしたら。


 あの日、あの女を殺せたのはあの女の疲れが溜まっていた機会を狙った事、精神的に疲労させた事、親友の最期がすぐ側にあった事などの好条件が揃っていたからだ。


 もし、あの女以上の実力を持っていたとしたら。


 そこまで考えた影の耳に爆発音が響く。


 影は思わず窓に駆け寄る。

 雨降りの中、遠く、寮が連立する辺りで煙が上がっていた。


 「・・・まずい」


 事の重大さを察して助けに向かおうとしたところで。


 「あれ? あなたは確かフェリスくんの後輩でしたよね?」


 荷物を抱えたシオンに話しかけられた。


 影は横を見る。


 シオンの隣にはスィダとエンシアもいた。


 3人とも窓を見ていた。


 「どうしたんでしょうね? あっちは寮ですよね?」

 「心配ですわ。 見に行きますわよ!」

 「そうですわね。 行きましょう」


 なんて話をしている3人。

 不覚にも、思ったより近くにいた3人の隣で状況を確認してしまったのだ。


 「あ、えと。 し、心配ですね」


 なんとかそれだけを絞り度し、その場を全速力で離れる。


 これではもう闇討ちはできない。

 真正面からやりあって殺せたとしても、『メディオ学院』全てを敵に回す事になる。

 そうなったら『魔族領』に帰ることはできなくなるだろう。


 それでは駄目なのだ。


 「くそ!」


 影は悪態をつきながら寮まで急いだ。

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