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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第四部 青年期 『2年生編』
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『2年生』『想起編』 『深紅絶命』

 土砂降りの中。

 俺は『剣術研究棟』に向かっていた。


 生徒会の仕事を終えて部活に顔を出した後、今晩の祝勝会のためにサティスと早めに帰ろうと思い探していたところ、ゴミ捨て中だったウノとドスとトレスを見つけ、サティスの居場所を聞いたらそこだと聞いたのだ。


 今日は朝から雲行きが怪しかったがここまでの土砂降りになるとは。


 こんな天気の日はサティスの元気が恋しくなる。

 早くサティスに会いたい。

 彼女の笑顔を見たい。


 俺は走って向かう。

 

 と、見えてきた。

 

 「ん?」


 何やら雰囲気がおかしいことに気付く。


 出入り口でバイレがずぶ濡れのまま座り込んでいたのだ。


 「どうしたんだ?」


 俺はバイレに近づいてそう問いかけると、バイレが酷い顔を向けてきた。

 涙と恐怖から震えていたのだ。


 「あ、さ、サティスが」


 バイレは震えながら、口を押さえつつ指を指す。


 その姿に猛烈な嫌な予感がした。

 俺はその指先をゆっくりと追いかける。


 まず目に入ったのは血だまり。


 そして次にアミの後ろ姿。

 

 最後にアミが必死で声をかけている血にまみれた女性。


 この感覚が血の気が引いたと言うのだろう。

 手先から冷たくなり、心臓が縮こまる嫌な感覚。


 違ってあって欲しかった。

 だが、間違いなく。


 その女性は。


 「・・・サティス?」


 俺は生唾を飲んだ。

 そのまま感覚がなくなって、ふわふわとした両足の感覚のままで血だまりを進んでいく。


 ばっとアミがこちらを振り返った。

 必死にサティスの腹を押さえて震えて、涙を流しながら俺に助けを求めるように声をかけてきた。


 「さ、サティスが死んじゃう。 わ、私、か、体の壊し方はわかるのに。 な、治し方がわかんないよ。 ねぇ、わかんないよぉ!!」


 パニックに陥っているのだろう、過呼吸ぎみで必死にサティスの腹から出続ける血を止めようと必死に言い続けるアミ。


 俺は膝から崩れ落ちる。


 酷い出血量だ。

 普通ならまず・・・。


 そこまで考えて俺は思わずサティスを揺さぶった。


 「サティス! しっかりしろサティス!!」


 揺さぶるとサティスが虚ろな目を開けた。


 「・・・フェリスの声が聞こえるわ」


 か細く、今にも消えてしまいそうな儚い声。


 「どこなの。 フェリス。 ねぇ、隣にいる?」


 右手を力無く動かしてなにかを探すサティス。

 床の上をすべり動くだけなところを見るにもはや、腕を持ち上げる力も無いのだろう。


 俺はその右手を握って持ち上げる。


 「サティス! しっかりしろ! ちゃんとここにいる! だから死ぬな!!」


 思わず出た死と言う言葉に俺は打ちのめされる。


 サティスが死ぬ?

 こんな、なんでもない。

 いつもの1日の中で?


 俺は、サティスを失うのか?


 こんな呆気なく?

 突然?


 サティスが積み上げてきた今まででの『努力』は?

 ここまで頑張ってきた意味は?


 「・・・ごめんなさい。 『2人で無敵』になれなくて。 フェリス、ねぇ、フェリス」


 俺の名前を必死に呼ぶサティス。

 俺は耳を近づける。


 「あぁ。 フェリス、そこにいるのね。 フェリス」


 「サティス。 死ぬな。 頼む、死なないでくれ。 俺は、サティスに伝えなきゃならないことが」


 やっと決心ついたんだ。

 こんなあっさり死ぬなんて止めてくれ。


 もっと一緒にいてくれ。


 夢だって叶っていない。


 俺は、サティスが居なくなったこの世界で生きる事なんて出来ない。


 俺は、どうしたら良いんだ。


 「フェリスはすごいわ。 フェリスは大丈夫。 フェリス・・・愛してるわ」


 俺の心を見透かしたような言葉を最後に、サティスの手から力が抜けた。


 ぞっとした。

 血ですべって床に落ちるサティスの腕。


 最後の呼吸。


 動きが完全に止まる。

 目から完全に光が失われる。


 隣のアミが泣き叫んでいたが、声が聞こえない。

 なにも聞こえない。



 サティスが・・・死んだ?



 俺は今後二度と彼女の声を聞けないし、彼女の匂いや体温を感じることが出来ない。

 そして、大好きな彼女の笑顔も二度と見れない。


 いつも隣にいたサティスはこれから先、そこに居ないのだ。

 彼女が、この世から去ったと言うのはそう言うこと。


 もう、彼女は隣にいないのだ。



 「う、あぁ。 うわぁあああ!!!」



 それを自覚して苦しくなった。

 彼女がもういないと言う事実が俺の心を壊す。


 俺は床を何度も殴り付ける。

 殴り付ける度にサティスの血が飛び散っていた。

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