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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第四部 青年期 『2年生編』
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『2年生』『追想編』 『裏切り』1

 7月30日。

 放課後。


 「テーセラ! 手伝いありがとう! 助かるわ!」


 雲行きが怪しく、雨が降りだしそうな曇天の空。

 『剣術研究棟』のひとつ、道場のような造りになっている建物の中。

 試験結果の報告を伝えあったサティスは、いつもの通り部活に参加したのだが、試験の返却を終えて皆の顔に試験の疲れや気の緩みが見えた為、安全面の事を考えていつもより早く切り上げる事にした。


 全員を解散させた後、サティスは備品の整理や整備をしていた。

 サティス自身はもう少し体を動かしたかったが、備品の整理や整備も大切な仕事である、やらなければならないことであるため、いい気会と取り組んでいたのだ。

 夜の試験合格の祝勝会までの時間潰しも兼ねることが出来るためちょうど良かった。


 アミとミーゴ、バイレ、アモールやいつもの3人組、フロロースがセミージャに『魔術』を教えて貰っている間手が空いていると言うテーセラも手伝いに残っていた。


 今、『剣術研究棟』ではサティスとテーセラ、アモールが木剣の状態確認をしていた。

 他の面子は『剣術実験場』の整備や、廃棄物を廃棄場所に持っていく等で外に出ている。


 「いや、時間潰しだ」


 サティスからの礼の言葉に素っ気なく返すテーセラ。


 「アモールもありがとう!」


 部屋の隅で木剣を真剣な目で見ていたアモールが、サティスに礼を言われてすぐさま立ち上がる。

 そのままサティスの元へギャグのような速度で飛んで行く。


 「いえいえ! わが愛しの君の為ならばなんでもやらせて貰いますとも!」


 想定よりも早い速度で近づいた顔から離れるように身を引き、困ったような笑みで答える。


 「え、えぇ。 それは助かるわ。 でもその態度はなんとかならないのかしら」


 「はて? なんの事でしょうか?」


 「・・・いえ。 もう、良いわ。 諦めたわよ」


 サティスはアモールの態度にうんざりと言った様子で押し返すように突き放す。


 「あうち! 酷いです我が君!」


 思ったより突き放すのに力が必要だったことに若干驚くサティス。


 「あら? 力がついたわね? さっき、こっちに来る時の速度もなかなかのものだったわ」


 腕を組んで感心したように呟く。


 「それはもう、ひと月近く経ちますからね!」


 アモールは、ウノ、ドス、トレスが参加していた特別鍛練に、『体育祭』での活躍を認められて参加することを認められていた。

 参加し初めてからもう少しでひと月近くが経とうとしているのだ。


 「そうね。 『剣舞術』の腕も上がっているし、良いことだと思うわ! 私、頑張る人は好きよ!」


 アモールの実力が上がっていることに満足そうに頷いて笑うサティス。

 その笑顔にアモールは心を撃ち抜かれる。


 「あぁ、わが愛しの君! 私も愛しています!」


 両手をばっと広げて抱きつこうとするアモール。

 ひらりと避けるサティス。


 「なにするのよ! そんなこと許してないわよ!」


 怒られるが、それさえも嬉しそうなアモール。


 「あぁ、照れているのですね! 初心な我が愛しの君も愛おしい!」


 抱きつこうとした手で自分の体を抱き締めながらくねくねするアモール。

 折角の美男子が台無しである。


 さすがのサティスも引いていて、あまり見せないひきつった顔である。


 「テーセラからも、なにか言って貰えるかしら? 私の言葉がなにも響かないのよ」


 アモールに自分の言葉があまりにも伝わらないため、近くにいたテーセラに助けを求める。


 しかし。


 「・・・」


 下をうつ向いたままなんの反応も示さない。


 「テーセラ?」


 その様子にサティスは心配になる。

 思えば勉強会の頃から様子は変だった。


 手を伸ばす。

 しかし。


 「振れるな!」


 サティスはその手を振り払われてしまったのだった。

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