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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第四部 青年期 『2年生編』
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『体育祭2年生編』 『祭りの後』

 最終的には大いに盛り上がった打ち上げの片付けも終わり、解散となった。


 ひとり、またひとりと帰路について静かになっていく。


 喧騒の後の静けさ。

 明かりが消えた後の、月明かりのみが照らす『メディオ学院』。


 プーロと『またね』の挨拶を交わしに行ったフロロースを、『剣術実践場』の少し丘になった地点から見つめるテーセラ。


 彼の後ろ、その奥には軽く酔っているサティス達が楽しそうにしながら家に向かって行っていた。


 テーセラはサティスの声に、先ほど彼女の特別鍛練への参加を認められたアモールの事を思い出す。

 自分の活躍の結果を聞いたアモールが、サティスの言った冗談を聞いたアモールが本気で泣きそうになっていたのを思い出したのだ。

 その反応が、悪いとは思っているが正直面白かった。


 「・・・ははっ。 あれは最高でしたね」


 思い出し笑いをしながら眼下のフロロースの様子を伺う。

 プーロとの会話がまだ終わらないらしい。

 帰りはまだ遅くなりそうだった。


 テーセラは月を見上げる。


 『また明日会いましょう! 楽しかったわ!』


 そう言って、フェリス達とともに上機嫌で去っていったサティスも思い出す。


 「・・・また明日か」


 その言葉にテーセラは、嬉しいと思っていた。


 『魔族』なのに関係なく、ひとりの友人として関わってくれたのだ。

 もちろんそれは、サティスだけではなかった。

 サティスの友人。

 そして、ともに戦ったいままで関わりのなかった生徒達。 


 その皆が友達として関わってくれたのだ。


 (・・・もしかしたら、私が思っているよりも世界は『魔族』に優しいのかもしれない)


 そうひとり思いながらもう一度、遠くまで行ってしまったサティス達の後ろ姿を眺める。


 「・・・この楽しい日々がずっと続けばいいのに」


 そう独り言を呟いた時だった。


 「『・・・随分と楽しそうだな』」


 『魔語』を話す少女の声が響いた。


 今、テーセラの近くには誰もいない。


 テーセラは周囲を見渡す。


 「・・・ディオ」


 遠くに広がる、月明かりと建造物が作り上げる濃い影。

 そこに立つ何者かの影。


 それが誰かなのかは見えない。

 しかし、テーセラはその声に覚えがあった。


 「『目的は忘れたわけではないだろうな』」


 テーセラは頷く。

 

 「『忘れていないです。 でも、ディオ? それは本当に必要なことですか?』」


 「『『魔王様』の作戦だ。 間違いなく必要なことだ』」


 「『しかし! この学院は』」


 「『黙れ! 目的を忘れるなよ? 今、君が楽しいと思えているのは、この『学院』が特別なだけだ。 今まで見てきた事を忘れたわけではないだろう?』」


 テーセラは拳を握る。


 「『これは、何のための戦いだ?』」


 「『歴史を正して、『魔族』の事を世界中に認めて貰うための戦いです。 差別の無い世界でただ、幸せにいきるための戦い。 ・・・だけど、この学院で過ごしていたら、本当に戦いが必要なのか分からなくなりました』」


 「『・・・テーセラ。 ふざけるなよ? お前の名前は誰の名前だった?』」


 怒気の含まれた声にテーセラの体が固まる。


 「『あの白髪の女が殺した、私の大切な人の名だ! ふざけたことは考えるなよ?』」


 「『・・・それは』」


 「『忘れるな。 『魔族』が受けてきた差別を、屈辱を』」


 「『・・・くっ』」


 「『そろそろ、計画を実行に移すつもりだ。 覚悟は決めておけ』」


 その言葉を受けたテーセラが目を見開く。


 「『そんな! 待ってくれ!』」


 必死に止めようと叫んだ。

 しかし、影の姿は既に無くなっていた。


 「『お兄ちゃん? 大丈夫?』」


 プーロと挨拶を交わし終えたフロロースがテーセラに駆け寄って顔を覗き込んだ。


 「『・・・大丈夫です』」


 テーセラは、悔しそうな顔で声を絞り出すようにしてそう応えた。

 フロロースはそんなテーセラの様子を心配そうに見つめているのだった。

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