サティス 3
目の前に『魔獣』。
大きな牙。
凄い鼻息。
フェリスは反対方向に飛んで行った。
フェリスは凄いから、大丈夫。
フェリスに置いてかれように、頑張らないと!
たしか、あの大きな『魔獣』、『ミエド・ハバリー』って言っていたわね。
曲剣を構える。
ちょっと前の事を思い出す。
牙を折ってやったあの戦い。
でも、倒せるまではいかなかった。
速すぎて見えなかった、頭突きをくらってしまった。
深呼吸。
でも、なんでかしら?
負ける気がしない。
そういえば、あの日、お母様はどうやって倒したのだったかしら?
思い出して、ちょっと笑ってしまう。
「ふふっ・・・一撃だったわね」
手を上に持っていき、構える。
真似してみようかしら。
「『剣舞術』『修型』」
『ミエド・ハバリー』が足で地面を蹴り始める。
それは知っているわよ。
3回目で来るんでしょ?
1・・・。
2・・・。
3。
見えた!
ここ!
「『タンゴ』!!」
振り下ろす。
突っ込んでくる。
相手の息に合わせて思いっきり!
『ミエド・ハバリー』の頭の真ん中を切りつけた。
でも。
「・・・やっぱりお母様って凄いのね」
倒し切れていない。
動きを止める事しかできていなかった。
・・・それなら!
「いっぱい切ってやるわ!」
止まれば、反撃が来る。
だから、動きを止めない。
2回目。
3回目。
何度も切りつけ続ける。
そうだわ!
自慢の足も、切ってしまえば使い物にならないわよね!?
足を狙って、突進をできなくする。
膝をついたわ!
「はぁっ!!」
気合を入れなおして、『魔石』がある気がするお腹の右側を狙って2回切りつける。
「見えたわ!」
『魔石』が出てきたから、それを砕く勢いで切りつける。
あっ、壊しきれなかったわ!
それなら!
「もう1回!」
今度こそ砕けた。
「ビヒィイイイッ!」
大きな声を出して倒れた『ミエド・ハバリー』。
「ふふっ。倒せたわ!お母さまに自慢できるわね!フェリスも倒しただろうし、あとで沢山ほめてもらおう!」
嬉しくて飛び跳ねちゃう。
早く2人に会いたいわ!
「フェリスに会いに戻らなきゃ!」
ここまでの道を走って戻る。
ちょっと走ったら、さっきの道まで戻ってこれた。
「わぁ・・・何よこれ」
驚いた。
穴でボコボコ、剣で切ったみたいな大きな傷も沢山ついていた。
そして、ブリランテお母様がいない。
どこに行ったのかしら?
周りを見てみる。
あっち?
ん?
「あら?」
居そうな方を見ていたら、道の奥からこっちに来る2人が見えた。
あの、おっきい人とフードの人は・・・。
「ジュビアとベンディスカ?」
よね?
雰囲気が違うから自信が持てないわ。
なんだろう・・・。
とっても、怖い。
ガサッ!!
と、音がしてびっくりする。
剣を構えたら、音の鳴った近くの茂みからフェリスが出てきた。
「サティス!倒したのか!?」
「フェリス!え、えぇ!当然!倒したわよ!」
良かった、フェリスね。
安心だわ。
さっきの『魔獣』、倒したのよ!
凄いでしょ!
「さすがだな!」
「ふふんっ!」
フェリスに褒められた。
やった!
「それで、母さんはいないのか?・・・って、すごい状態だなこれは・・・ん?あれは、ジュビアとベンディスカか?」
フェリスも2人に気付いたみたい。
でも、2人の雰囲気は解らないみたい。
「おーい!ジュビア!ベンディスカ!」
フェリスが手を振ってる。
「あ、フェリス?あのね?」
なんか変な感じがすることを伝えなきゃ。
・・・え?
なに?
この嫌な感じ・・・。
ジュビアとベンディスカを見る。
濃紺と灰色のもやもやが体の回りについていた。
それが解るくらいに近くに2人が居た。
あれは、『魔術』?
それに、いつの間にこんなに近くに?
「2人とも!無事だったのか!?」
フェリスが2人に駆け寄っていく。
やっぱり、ジュビアとベンディスカの嫌な感じに気づいてないんだわ!
「あ!待ってフェリス!」
「え?」
ジュビアとベンディスカの目の前で、私に反応して振り返ったフェリス。
ベンディスカが突然剣を振り上げた。
「ごめん」
謝って、剣を振るベンディスカ。
「いっ!?」
なにが起こったのか分からなかった。
私の方を向いて、膝をついたフェリス。
ベンディスカの手には血が付いた直剣。
信じたくない。
でも、目の前で起こったことは確かに。
「なっ・・・なにしてるのよ!!」
ベンディスカがフェリスを切りつけたと言うこと。




