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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『5歳編』
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5歳 22

 雪合戦の後、俺たちアルコメンバーは、セドロとブリランテに『いいところに連れてってやる!』『やっと許可が取れたのよ!』と言われて、2人とともに山を越えていた。

 そこからさらに数10分ほど歩いた先。

 そこにそれはあった。


 『公衆浴場』。


 管理は隣村らしい。

 前世で見た温泉施設とほとんど同じ作りで驚いた。

 広い露天風呂。

 洗い場(シャワーは無かったが蛇口がある)が壁にいくつかあり、湯船は広い物が一つ。

 流石に温泉ではないが、ちゃんとしたお湯だ。

 葡萄の良い匂いがする

 勿論男女は別である。

 受付に座る、白い髪の『長耳族』のおばあちゃんにお金を渡して脱衣所へ、そこで、あっという間に服を脱ぎ捨てた俺たち男子組は、体を洗いに走った。

 驚きは終わらない。

 「『石鹸』だ」

 この世界に『石鹸』があるなんて。

 「あぁ、俺も見るのは初めてだ・・・ブリッサの母と祖母が売りに出している高級なものだったと思うが」

 ベンタロンがくいっと、眼鏡を直す癖をする。

 今はかけていなぜ。

 やりたくなるよな。

 早速それぞれ石鹸を使って体を清める。

 葡萄の香り。

 気持ち良し。

 洗い終えた男子メンツは早速湯につかる。

 「気持ちいぃ」

 デスペハードが気の抜けた声を出した。

 「初めてだが・・・これは・・・いいものだな」

 ベンタロンの表情も緩んでいる。

 しばらく無言で湯を楽しんだ後さっきの雪合戦の話で盛り上がる。

 興が乗った俺とデスペハードが、雪玉を当てるまでの流れを熱く語る様を、ベンタロンが頷きながら聞いてくれている。

 双子は途中で飽きたのか、風呂の中を泳いで遊んでいる。

 マナー違反だが、貸し切りだ。

 気にする必要はないだろう。

 ジュビアとベンディスカは、俺たちの話を聞きながら静かに湯に浸かっている。

 一通り話終えて、落ち着いた時。

 唐突に泳いでいた双子が動きを止めた。

 水しぶきを上げて立ち上がる。


 「そう言えば、デスペハードとベンタロンは」

 「彼女とどこまで行ったの?」


 ぶっこんで来るなぁ突然。

 まぁ、興味はあるから聞くんだけど。

 デスペハードがにやりと笑う。

 「知ってるか?女の身体は柔らかいんだぜ?」

 おぉ・・・。

 という事は行くところまで行ったんだな?

 「ハグとキスまでしかしてない癖によく言うよ」

 ベンディスカが突っ込んだ。

 「なんで知ってんだお前!?」

 デスペハードが驚いて立ち上がり、顔を赤くする。

 俺は別の意味で驚いていた。

 いつも、俺たちの事を見るだけで、基本的に会話には入ってくれない。

 そゆなベンディスカが会話に入ってくれたのだ。

 もっとたくさん話したいと思っていたから、これは良い機会だ。

 俺はベンディスカの隣に寄って声をかける。

 「てか、久しぶりにちゃんとした声聞いたわ」

 ベンディスカの隣に座るジュビアが片目を開けて俺を見る。

 「こいつは意外としゃべるぞ。それに良い奴だ」

 おいおいおい。

 何だその、俺は知っているぞみたいな話し方は!!

 ずるいぞ!

 「まじで?」

 聞いていたデスペハードが驚く。

 「あ、ごめん、こういう場ならゆっくり話せると思って」

 つか、何気にフードを被っていない姿を見るのは初めてだ。

 灰色の髪が肩下まである。

 華奢な体付きで酷く中性的。

 胸は、胸筋と言われればそう見えるし、膨らみがあると言われればそうとも見える。

 腰は細く、痩せ細っているようだし、くびれのようでもある。

 彼がおもむろにうざったい前髪を上に上げた。

 現れる男とも女ともとれる、中性的な顔。

 特にイケメンとかではないが、判断に困る顔だ。

 そして、おでこに小さいながらも確かにある角。

 初めてしっかりと顔を見た気がする。


 「あぁ、ちょっと『先祖返り』してるみたいなんだ・・・一応男の体だけど、体つきとか、顔つきが女の子にも見えちゃう」


 俺のまじまじと見る視線。

 それに気づいたのだろう。

 失礼だったな。

 「『先祖返り』?」

 俺は気になった単語を問う。

 「うん。『天魔族』の特徴は知っているかな?」

 「あぁ、確か、男とも女ともとれる見た目だったか?」

 「その通り、その特徴を中途半端に持っちゃってるんだ」

 ベンディスカが自分の角を撫でながら言う。

 「それを隠したくてフードをしてるんだ・・・あと、この角だね」

 そう言いながら笑う。

 「でも、こんな僕でも『プランター村』は受け入れてくれた。だから恩返しがしたくて『アルコ・イーリス』に入ったんだ。皆と、もっと仲良くなりたかったしね。ふふっ、沢山観察してたから、皆の事はよくわかるよ」

 ベンディスカがデスペハードを見る。

 「デスペハードは本当にカリマの事が大好きだよね。本音を出すのが苦手だから普段はあんまり見せないけど・・・あ、それが原因でカリマが気にしてたこともあったなぁ」

 と、突然言われたことに驚くデスペハードを見ながら長々と話し始める。

 「ベンディスカ、止まれ」

 ジュビアの制止に自分で自分の口に手を当てて話を止める。

 「ごめん。ありがとう」

 それだけ言うとまた黙ってしまった。

 「こいつ、話し始めたら止まらないんだ。話し始めるまでも長いが、話し始めてからも長い。良いところで止めてやらないと言わなくても良いことまで言い始める。困ったもんだ」

 ジュビアもそれだけ言うとふんっと笑ってまた黙ってしまった。

 いやいや。

 いやいやいやいや!

 「え?なに?じゃあ、これで会話はおしまい!?」

 「理解してやれ。こいつはそれが悩みなんだ」

 ジュビアは面倒くさそうしていた。

 再度ベンディスカを見る。

 珍しい角、中性的な顔と体つき。

 「あまり見ないでくれ」

 恥ずかしそうに隠すしぐさが女の子らしくて、ちょっと可愛かった。

 いや、落ち着け。

 あいつは男だ。

 勘違いするな。

 「話は戻るけど」

 「ベンタロンは?」

 双子が話を戻す。

 話を振られたベンタロンは眼鏡を上げる動作をする。

 癖はそう簡単に抜けないんだよな・・・。

 本人もうっかりやってしまったからか、行き場を無くした手を見つめていた。

 「あ、あぁ、俺は何もしてないよ。結婚するまでは手を出さない約束だからね」

 おぉ、真面目なベンタロンっぽいな。

 「なんだぁ」

 「つまんなぁい」

 双子は俺を向く。

 「フェリスは?サティスとなんかないの?」

 「・・・ラーファガは?」

 双子が妹の名前を出すときだけ憤怒の表情を浮かべていた。

 「どっちともなにもないよ。ラーファガは知り合ったばっかりだし。サティスはそういう風には見てない」

 俺は夜空を見上げる。

 正しくは見ないようにしているだが。

 前世と同じ失敗は繰り返したくないしな・・・。

 サティスはサティスだが、同じ事にならないとも限らないし、またあの思いをするのは嫌だしな。

 「うえぇ・・・つまんない」

 「つまんないよぉ・・・」

 と言いながらまた泳ぎだした双子。

 何を期待してるんだ・・・。

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