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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『5歳編』
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5歳 21

 雪遊びと言えば何を想像するだろうか?

 前の世界では北の地で生まれ育った俺は、雪遊びがとても身近なものだった。

 雪合戦、かまくら、ソリ、スキー、その他色々。

 勿論危ない事はあるだろうが、死と隣り合わせでは無い。

 純粋に楽しめる。

 それが雪遊び。

 ・・・それがどうだ。

 今俺がやっている雪合戦。


 「そこっ!!」


 セドロの右腕から放たれる高速の雪玉。

 キュンッとおおよそ雪玉が飛んでくるときの音ではない音を立てながら、雪で出来た壁に隠れきれてなかった俺の左頬を雪玉が掠った。

 「いっ!」

 頬に傷ができたのだろうひりひりと痛んだ。


 こんな・・・。

 こんな危険な雪合戦が遊びであってたまるか!!


 『喫茶店トールトロス』『空き地』。

 快晴。

 真昼。

 昨日、どか降りした雪が積もり、キラキラと太陽を反射させている。

 事前に準備した、雪で出来た壁がいくつかある。

 そんな場所。

 そこで、俺たち『アルコ・イーリス』はセドロ考案の『雪合戦』を行っていた。


 空き地の奥の方で、セドロが腕を組んで仁王立ちしている。

 外套を着ているとは言え、中は動きやすい薄衣。

 前を開けているため、どう考えても寒いだろうと突っ込みたくなる。

 そんなセドロの隣では、雪壁に隠れた、外套とマフラー、手袋をしっかり着けて着込んでいるブリランテが大量の雪玉をコソコソと大量生産してセドロに投げ渡す。

 どうやってあんなに大量生産してるんだよ!

 

 「つぎっ!」


 バゴンッ!

 突っ込む暇も無い。

 気づけば右隣の雪壁がはじけていた。


 「きゃぁ!」


 その壁に隠れていたブリッサの姿が露わになる。


 「もう一発!!」


 続けざまに2撃目。

 「ブリッサ!」

 それは、ブリッサを庇ったベンタロンの脳天を捕らえる。

 「がはっ!」

 「ベンタロン!!」

 そのままベンタロンは意識を失い、戦闘不能。


 「いい気合いだ!だが、最後まで守れ!」


 「ひっ!」


 セドロの3撃目がブリッサのお団子に直撃。

 バランスを崩して倒れ、後頭部を強打。

 意識消失。

 戦闘不能。


 「次はどいつだ!!」


 セドロの楽しそうな声が響いていた。


 着こんでいる、お腹が大きくなってきているソシエゴと、彼女の母カッハ、先日『アルコ・イーリス』に仲間入りしたが、今回は危険なため見学のラーファガ。

 彼女たち3人が見守る中で、俺達アルコメンバ―は絶賛雪合戦中だ。

 セドロが言うには、これも特訓の内だと言うこと。

 ルールはいたって単純。


 セドロに一撃でも入れる事が出来たら勝ちだ。


 ブリランテはあくまでセドロのサポート。

 ブリランテは雪玉をつくって渡すのみだが、ブリランテに当てると、セドロは自分で作らなくてはならなくなる。

 先にブリランテに当てれば少し楽になる。

 と言う、実に彼女らしい単純明快かつ、ゲーム感覚で楽しめるルール。

 それゆえに難しい。

 俺たちは未だに誰1人としてセドロに一撃を入れていないのだ。

 その為、今回はアルコメンバーで協力して倒す事にしたのだが、セドロは容赦しない。

 今だって2人戦闘不能にされた。

 更に、ベンディスカとジュビアは時間を稼ぐために先陣を切ったのだが、あっという間にやられてしまっている。

 倒れたブリッサとベンタロンを壁から出てきたブリランテが、ソシエゴ達の元へ抱えていく。

 ソシエゴ達の横で意識を失っているベンディスカとジュビアの隣で横にするのだろう。

 チャンスだ。

 俺はブリッサ達とは反対隣の壁に隠れて『錬金魔術』で雪玉を作っていたデスペハードに合図する。

 デスペハードは頷いて雪玉を俺に投げ渡してくれた。

 よく狙って・・・。

 「ふんっ!」

 投げる。

 綺麗にブリランテへと向かう。

 前世で子どもの頃から、大人になっても仕事で雪遊びをしまくったのだ。

 自信がある。

 が。

 ひょいっと後ろに目でもあるのかと疑いたくなる正確さで後ろから後頭部に迫る雪玉を、軽く首を倒して躱した。

 「まじかよ!」

 「次は、ビエントとアイレだ!」

 俺の悪態に被せる形でセドロが横に積まれた雪玉を1つずつ手にとって投げ始めた。

 今度は双子が集中狙いされる。

 俺は再度デスペハードと隣のカリマに声を掛ける。

 「くそ!どうする!!セドロは本気だぞ!!」

 「分かってる!双子が狙われている今しかチャンスはねぇ!」

 デスペハードが雪玉を『錬金魔術』でさらに『錬成』し、全員に配りながら叫ぶ。

 隣では寒がりなのか、俺とデスペハードよりも着込んで、もこもこのカリマが静かに気配を消そうとしていた。

 そうか、気配を消して近づく気だな?

 カリマの『気配魔術』の『練度』が上がり、『気配遮断』の出来が良くなった。

 以前よりもサティスやセドロに通用するようになったらしい。

 やるなカリマ!

 それなら、俺達がやる事は一つだな!

 「サティス!双子と協力して師匠の気をひくぞ!」

 右隣の半袖短パンのサティスに声を掛ける。

 ・・・寒く無いのか?

 「わかったわ!いくわよー!」

 「せーの!」

 俺の合図で左右から同時に雪壁から飛び出る。

 そのままセドロに向かう。


 「良いね!それを待ってたんだ!!」

 

 セドロの獰猛な笑みに2人で立ち向かう。

 気がこっちに向いたと同時、双子が一緒に雪玉を放つ。

 「ちゃんと警戒はしてるぞ!」

 それをいともたやすく躱し、いつの間にか壁の後ろに戻っていたブリランテから雪玉を貰う。

 「せい!」

 体を回しながら剛速球。

 ビエントに命中。

 「もう一発!」

 連投された雪玉は撃たれたビエントに気を取られたアイレに命中。

 双子、意識不明。

 戦闘不能。

 その隙に俺とサティスは懐に潜り込む。

 「あまい!」

 上からセドロの一撃が迫る。

 俺はそれを『剣舞術』の応用でいなしてかわす。

 その隙にサティスが雪玉ごと突っ込む。

 『クラコヴィアク』の動きだ。

 「考えたな!」

 セドロはそれを『シチリアーナ』の動きでいなして出来た隙に雪玉を投げ込む。

 「あぶっ」

 サティスの顔面にヒット。

 意識混濁。

 俺はもみ合う2人の真下、潜り込むように体を滑り込ませて、そこからセドロの顎に向けて雪玉を投げ入れる。

 セドロは頭を後ろに倒して回避するが、狙いはそれ!

 「いけ!」

 俺は叫ぶ。

 サティスが意識を何とか持たせて、セドロの後ろに回り込んで両手を掴む。

 俺も体制そのままに両足を掴む。

 セドロは頭を後ろに傾けたまま。

 両手両足は拘束。

 そこに雪玉を持ったカリマの右手の刺突が迫る。

 「あてろ!カリマ!」

 セドロの脳天に向かう刺突の先の雪玉。


 「そう来たか!!」


 獰猛な笑みで、サティスごと体を前に戻して回避。

 しかし、長い髪があだとなる。

 カリマの雪玉がセドロの髪を捕らえた。

 体に当てる事は出来なかったが、一撃は一撃だ。

 体を前に倒した勢いで飛んでいったサティスが雪に埋まる。

 髪に雪玉を当て、勢いを殺しきれなかったカリマが転がりながらサティスの隣まで行って、顔面を雪に埋める形で停止。

 ガバッと2人同時に顔を上げて振り返る。

 俺は後転を3回程繰り返してセドロから距離をとって体を跳ねさせる形で立ち上がる。

 デスペハードも壁から上半身を出している。

 俺たち4人が見つめる先。

 下を見るセドロ。


 「くぅ~!やられた!」


 バッと顔を上げて嬉しそうに微笑んだ。


 「お前らの勝ちだ!」


 「「「「いよっしゃぁああ!!」」」」


 俺、サティス、カリマ、デスペハードは同時にガッツポーズをして喜んだ。

 10対1ではあったがあのセドロに一撃入れたのだ!

 これは嬉しい!

 他の3人も同じようで、めちゃくちゃ喜んでいた。

 延びていた全員も意識を取り戻した後、結果を伝えたら喜んでいた。

 しばらく全員でこの喜びを噛みしめたのだった。

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