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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『5歳編』
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セドロ 2

 日没まであと少し。

 『アルコ・イーリス』の中で捕まっていないのは後デスペハードとカリマ、フェリス。

 他の子は全員捕まって、鍛錬をつけて時間を過ごした後、いつもの時間くらいには帰している。

 最初の麓にはもう誰もいない。

 だから、娘の様子を見に来ていた。


 「『クラコヴィアク』!!」


 サティスが、デスペハードとカリマの2人に突っ込む。

 狙いは、剣が折れているデスペハード。


 「『錬金魔術』『簡易錬金』『土から鉄』」


 折れた剣を放り投げ、地に両手をつけるデスペハード。

 カリマも『気配魔術』を使用したらしい。

 一瞬見失う。

 デスペハードの目前に現れる鉄の延べ棒。

 「『簡易れ」

 次の『魔術』を使用しようとしたが間に合わない。


 「『剣舞術』『クラコヴィアク』!!」


 サティスの刺突。

 「くっ!」

 デスペハードは延べ棒を手に取って対応する。

 砕け散る延べ棒。

 しかし、デスペハードはサティスの勢いを利用することに成功し、後ろに飛んで距離をとる。

 「『剣舞術』『メヌエット』!」

 サティスに出来た、刺突を食らわせた後の体制を戻すまでの隙。

 サティスの背後。

 つまり、サティスの死角からカリマが細かいステップを踏みながらしつこい切りつけを狙う。

 「やるわね!」

 サティスは、カリマの声に気づいてすぐさま、体を回転させて無理矢理後ろを向く。

 そのまま器用に体を動かして躱し、躱しきれない攻撃は模造剣で対応する。

 「でも、ジュビアほどの威力も速度も体力もないわ!」

 言いながら綺麗に捌ききって、息継ぎの隙に蹴りを入れて軽く蹴飛ばすサティス。

 「ぐぅ」

 「『剣舞術』『クラコヴィアク』!」

 蹴とばしたサティスの背後に迫るのは、カリマに対応していた隙に作ったであろう、鉄の直剣を持って刺突するデスペハード。

 「遅いわ!『剣舞術』『シチリアーナ』!」

 苦手な『守』派の技。

 それでも、フェリスとの鍛錬でコツをつかんでいるのだろう。

 しっかりと綺麗にデスペハードの刺突を上にはじいた。

 上がった両手。

 がら空きの腹。

 そこへサティスが、デスペハードの勢いを利用した一撃を食らわせようとする。

 「『剣舞術』『クラコヴィアク』!」

 だがしかし、そこに打ち込むのは飛ばされていたカリマ。

 デスペハードの腹に横切りで一撃入れようとしていたサティスは、背後から迫る、『気配魔術』で存在感を薄くしているカリマに、声が聞こえるまで気づいていなかったらしい。

 「くっ!」

 気づいたサティスは、歯を食いしばり、再度、無理に体を回して攻撃から守りに変更。

 「『剣舞術』『アルマンド』・・・くっ」

 2度の無理な体制。

 苦手な『守』派。

 それらが重なって、酷い舞い方につながる。

 カリマの刺突に剣を合わせることは出来たが、いなしきれず、予定とは逆の方向に回転しながらその場に倒れこんだ。

 「『剣舞術』『エスタンピ』!」

 デスペハードが足を踏み鳴らして飛び上がり、倒れこんだサティスへと縦切りを食らわせる。

 「くぅっ!」

 倒れこんだ状態から出せる『剣舞術』は存在しない。

 『剣舞術』の弱点だ。

 自分の曲がった剣先の模造剣を使って縦切りに対応するが、『剣舞術』の威力を殺しきれずに自身の剣ごと腹に押し込まれた。

 「いっ!」

 痛みに歯を食いしばるサティス。

 好機と踏んだデスペハードとカリマが目を合わせて互いに合図を送る。

 勝負を決めるつもりなのだろう。

 「「『剣舞術』『サルタレロ』!」」

 激しく跳ねながら切り込む舞い。

 2人の切り込みを体を転がす事でなんとか回避。

 転がりながら距離をとり、なんとか体制を片膝立ちまで立て直す。

 そのまま、サティスは体を揺らしてリズムをとり始めた。

 「やっぱり2対1は大変だわ!息があってればなおさらね!」

 カリマとデスペハードの終わっていない切り込みが目前に迫る。

 「『剣舞術』『ブランル』」

 笑うサティス。

 私に似て、ブリランテにちょっと獰猛だと言われたあの笑顔。

 2人はその顔に一瞬怯んだが、勢いは死んでいない。

 だが、その一瞬がサティスの体制を整わせてしまう。

 2人の激しい切り込みを笑顔でゆらゆらと体を揺らして躱しつつ立ち上がっていくサティス。

 当たらない攻撃、余裕の表情のサティス、その二つの要因によって2人の勢いが死んでいく。

 「『剣舞術』」

 言いながら、2人の攻撃を軽くかわし、一歩前に進むサティス。

 「くそ!」

 デスペハードの悪態。

 さらに一歩近づく。

 後退していく2人。

 「あたんない!」

 カリマの悪態。

 攻撃が当たらないと踏んで次の行動に移ろうとしたのだろう。

 2人そろって攻撃をやめようとした。

 その隙。


 「『チャールダッシュ』」


 サティスの素早い攻撃がデスペハードの胸とカリマの腹に入った。

 「ぐぅ!」

 「いっつぅ!」


 しっかりと『守』派の型も物にしはじめている・・・。

 娘は本当にすごい。

 才能の塊だ。

 いずれ、私では至らせる事ができなかった『進化』をさせる事が出来るかもしれない。

 娘に『進化』の事を水浴びの時に教えたら、『出来るようになったら一番に見せてあげる!』と可愛い笑顔で言ってくれたのを思い出す。

 私に一番を使ってくれたのが嬉しかった。

 私がちゃんと母として認められているような気持ちになった。

 最近は素直に甘えてくれるようになった。

 ここ数日間であったおねしょや夜泣きには困ってはいるが・・・。

 フェリスは赤ちゃん返り?とか言って、昔の甘えを今取り返しているから、受け止めてあげていればそのうち収まると言っていた。

 あいつには前世というものがあるから、その時学んだのだろう。

 今は、それを信じて受け止めている。

 フェリスといえば、以前は変な行動、今思えば前世の名残だったのだろう。

 それが見られることが多かったが、最近はあまり見なくなった。

 多分、私達のために『フェリス』でいようとしてくれているのだろう。

 ブリランテがそう言っていた。

 フェリスと言う人格を大切にしてくれているのだ。

 私は、気を使いすぎな気もするが。

 ただ、ここ数日間は、サティスの事で悩んでいると2人きりになった時に色々と教えてくれていた。

 フェリスとサティスで出来ることが違うのは個人差だと教えてくれたのはちょっとだけ安心できた。 

 サティスにだって、時間はかかるかもしれないが色々なことが出来るようになるのだ。

 フェリスが私に前世の知識を教えてくれるのは、私を母として、師匠として認めてくれているという事なのかもしれない。

 そう思うと嬉しくなる。

 まさかこの歳になって、誰かに認められてうれしいなんて思えるとは思っていなかった。

 認めるのは私だと思っていたが、子供だって認めてくれるのだ。

 今、ブリランテとサティス、フェリスと4人で家族として過ごせているのが本当に幸せだ。

 フェリスはもしかしたら、別の世界から幸せを持って来てくれたのかもしれない。

 後はブリランテがフェリスと距離感を掴んでくれれば、もっと楽しい日々になるに違いない。

 そう、距離感。

 私はブリランテの事を心配している。

 彼女は、息子との接し方に迷いを持っているからだ。

 『フェリス』として接するべきか、前世の事も踏まえて接するべきか。

 フェリスは『フェリス』として生きようとしているが、ブリランテは、前世の人格を無い物として接するのは前世の彼を否定しているようで気持ちが進まないらしい。

 フェリスの気持ちを汲み取るべきだろうけど、ブリランテ自身が踏み切れないでいるのだ。

 難儀だ・・。

 ブリランテは優しすぎるゆえに、悩みすぎる奴だ。

 そういう所も好きなんだが。

 今回に限ってはその性格があだになっている。

 と、考えすぎだな。

 私の悪い癖だ。

 サティスとカリマ、デスペハードはどうなった?

 意識を目の前に戻すと、一撃を貰った2人が勢いを利用して転がり、距離をとった所だった。

 そんなに時間は立っていなかったらしい。

 「もう日が落ちちゃうわね・・・」

 大分暗くなってきた空を見上げてサティスが呟いた。

 「ふぅ・・・よし」

 言って2人を見る。

 獰猛な笑み。

 両手を上にあげて上段構え。


 「上手く受けてね・・・」


 呟いて息を吸う。


 「『剣舞術』『修型』『タンゴ』」


 サティスは『修型』を使用するつもりだ。

 もしもの時は私が出ていく。

 その覚悟。

 カリマとデスペハードはうまく受けられるか。

 見ものだ。

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