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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『5歳編』
53/938

セドロ 3

 「『剣舞術』『修型』『タンゴ』」


 上段構え、『修型』を使うサティス。

 私は体に力を込める。

 あの2人が上手く受け止められないようなら助けないと大怪我をしてしまう。

 と心配していたが杞憂だったらしい。

 「デスペハード!時間、どれくらい必要!?」

 「15秒は欲しい!」

 「サティス相手に無茶言うわね!」

 「頼む!」

 怯むどころか、迎え撃つつもりらしい。

 カリマは駆け出した。

 「そっちからくるなんて・・・舐め過ぎよ!」

 サティスがそれに対応すべく、最初の一撃目を振り下ろそうとする。

 それにタイミングを合わせてカリマが口を開いた。


 「『気配魔術』『気配増強』『気配増殖』」


 カリマの『魔術』の使用。

 カリマが一瞬、数人に増えて見え、さらに、カリマ以外の気配も一瞬だけ消えた。

 サティスが驚いた顔をする。

 「なっ!?カリマが沢山!?」

 「私、お母さん似で、気配を消すよりも、増す方が得意なのよ!」

 「初耳よ!」

 「手の内は隠すものなの!」

 「くぅっ!」

 サティスにはおそらくカリマが数10人に見えているのだろう、見当違いの方向に『タンゴ』の剣劇を浴びせている。

 そして、おそらく、カリマの増した気配によって『錬金魔術』を使用しているデスペハードを見失っている。

 「『錬金魔術』『簡易錬金』『連続錬金』『30』『土から鉄』」

 両手を地につきながら『魔術』の発動。

 サティスを囲うように、おそらく30個の鉄の延べ棒を作る。

 デスペハードの鼻から血が出る。

 体力を使い過ぎたのだろう。

 『魔術』を使用する為には『体力』が必要だ。

 持ちうる『体力』以上の『魔術』を使用すると、あのように体に支障がでる。

 『体力』を限界まで使えば、鼻血の次に嘔吐、毛の脱色に進んで、最後は死ぬ。

 まぁ、嘔吐までならすぐに治るから問題ない。

 嘔吐まで進んでさらに使用しようとするなら止めよう。

 そう思いながらサティスの方を見る。

 周囲の延べ棒には気づいていないらしい。

 「はぁっ、はぁっ、カリマ!待たせた!」

 あわや、サティスの一撃が本物のカリマに迫ったその時だっあ。

 声がかかったカリマがすぐさまに反応して後ろに転がって回避しつつその場から後退。

 カリマが後退したことで、『気配魔術』が切れたのだろう、サティスが周囲を見渡す。

 「なっ何よこれ!」

 「『気配魔術』『気配消失』」

 焦ったサティスの視界からカリマが消えると同時。


 「『簡易錬成』『連続錬成』『模造直剣』『15』『模造直槍』『15』!」


 パンッと両手を合わせる合図とともに、延べ棒が一気に、切っ先をサティスに向けた直剣と直槍の模造剣へと姿を変えた。

 デスペハードも母親譲りで量産が得意らしい。

 迫る切っ先。

 だが、サティスの『タンゴ』は終わっていない。

 「やるわ・・・ねっ!」

 回転しながら切っ先を壊すサティス。

 脆いのも母親譲りか。

 未熟な分、ブエンよりさらに脆い。

 「ぐっおえっ」

 デスペハードは耐えきれずに嘔吐。

 「はぁっ!」

 すべての切っ先を破壊し終えて『タンゴ』を終わらせるサティス。

 だがサティス、それは油断だ。

 サティスの死角、後ろの足元。

 いつの間にか高く飛び上がって、サティスの背後に回っていたカリマ。

 彼女が膝を深く曲げて深く深く潜り込んでいた。

 カリマは鼻血を拭う。

 いまだ気づかないサティス。

 「『剣舞術』」

 カリマの声にはっとするサティス。

 だが、遅い。


 「『ブレー』!」


 足首の後ろ。

 弱点。

 両足首のそこにカリマの横切りが見事に当たった。

 「あっ!」

 足から力が抜けて膝をついたサティス。

 

 2人の成長に感動する。


 デスペハードは、『剣舞術』で鍛えた体力を基盤に『錬金魔術』を身につけた。

 カリマは『気配魔術』と『剣舞術』の両立がとても上手く、一段と強くなった。

 ジュビアは、最初の頃は考えられないほど努力家になり、今では『強化魔術』で強化した『筋力』を使用して放つ『剣舞術』で、サティスとの戦いを楽しめるまでになった。

 ベンタロンは、『突槍術』と『剣舞術』を上手く両立させて、フェリスとジュビアの2人と渡り合っている。

 ブリッサは、どの型も美しく、唯一全体攻撃の修型『ワルツ』を使えるようになった。

 ビエントは、『攻』派の型を修め、サティス程の『練度』はないが、『タンゴ』を使えるようになった。

 アイレは、『守』派の型を修め、コルザ程の『練度』はないが、『ボレロ』を使えるようになった。

 ベンディスカは、目立ちこそしないが堅実に成長し、『強化魔術』で強化される『俊敏性』を戦いだけではなく、村のためにも使って沢山動いてくれている。

 フェリスは、サティスと共に『無敵』を目指して『攻』『守』共に成長させている。

 サティスは、フェリスと共に無敵を目指して『タンゴ』を使いこなし、『ワルツ』と『ボレロ』に手を出し始めた。


 思えば、よく成長したものだ。

 私なんかをよく信じてついてきてくれたものだ。

 これからも、日々研鑽を積みながら皆の夢や目標を達成できる手助けをしていきたい。

 そう、切に思う。

 

 「逃げるわよ!」

 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 「だらしないわね!」

 「や、やり過ぎた・・・」


 サティスから走って離れ、デスペハードに手を差し出すカリマ。

 それをデスペハードが掴む。

 立ち上がらせようとしたカリマがデスペハードを持ち上げられずに足を滑らせて座り込んでしまった。

 2人とも体力の限界だったらしい。

 サティスが痛む足に力を入れて立ち上がった。

 「2人とも・・・すっごく強かったわ、とっても楽しかった」

 2人に迫る。

 2人は体力の限界で立ち上がれない。

 「でも、最後は私の勝ちね!」

 ガバッと笑顔で2人に抱き着くサティス。


 「捕まえたわ!」


 「くそぉ・・・おえっ」

 えずくデスペハード。

 「ふふっ・・・やっぱりあんたたちの体力はどうかしてるわ」

 力なく笑って諦めたカリマ。


 後はフェリスのみ。

 

 ・・・だが。


 「日暮れだな」


 日が落ちた。

 私は立ち上がって3人の元に出ていき、結果を伝えに行くことにした。

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