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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『5歳編』
39/885

5歳 5

 森の直前。

 後ろで轟音が響いた。

 振り返る。

 そこでは何度も回転しながら美しく舞い踊り、直線的に猪を吹き飛ばしていくブリランテの姿が見えた。

 「すげぇ・・・」

 母の優雅なダンスに目が奪われる。

 あれが集団戦最強技『ワルツ』。

 美しい回転は攻守を共にこなし、敵を一撃で葬り去っていく。

 なるほど、あの回転。まさしくワルツだ。

 俺もいつか使えるようになりたい・・・。

 俺は頬を叩く。

 なりたいじゃない、なるんだろ!

 俺は振り向き、森の中に入る。

 普段は危険だからと止められているが今日は違う。

 どこも危険なのだ。

 足を止める。

 視線の先。

 猪、熊、羊。

 三種類の『魔獣』。

 なかなかの量が我が物顔で歩き回っていた。

 短剣を構える。

 一人一人相手していたら切りがない・・・。

 通り抜けようにも数が多すぎて、戦闘は避けられないだろう。

 そう考えていた時だった。

 「ふむ。力を貸そう」

 隣に現れたのは槍を持つ眼鏡サラサラヘアーの美男子ベンタロン。

 今年に入ってから父から『突槍術』も習い始め、現在『剣舞術』と『突槍術』の二刀流で戦っている。

 これが厄介で、倒すのに苦労するのだ。

 父親仕込みの『突槍術』が特にやっかいで、そこそこの威力で突いてくる。

 さらに、槍の長さがある分、距離が出来てしまいこちらの攻撃が届きづらい。

 しかも、その攻撃をかいくぐると今度はベンタロンお得意の『守』派の『剣舞術』がカウンターを放つ。

 現在ランキング4位の実力は伊達ではない。

 そんな彼が手伝ってくれるらしい。

 心強い。

 「めっちゃ助かる!」

 「ふん」

 眼鏡くいっ。

 照れるとやる癖だ。

 最近ブリッサ相手によくやっている。

 あと数か月後には半成人だ。

 背も伸びてお兄さんと言った感じになっている。

 彼の父にどんどん似てきている。

 「ちょっと私もいるわよ!」

 ブリッサがベンタロンの影から顔を出した。

 「あ、ブリッサ」

 「なによその、いたんだ・・・・。みたいな反応は!!腹立つわね!!」

 ぷんぷんと怒り出すブリッサ。

 今日は桃色の髪をツインテールにしている。

 髪型が良く変わる子だ。

 大好きなベンタロンのためか、自身の気分のためかは分からないがどの髪型もよく似合っている。

 こちらも後半年もすれば半成人になる。

 背が伸びて、ベンタロン同様すっかりお姉さんだ。

 スタイルも良く、あの母あってこの子ありである。

 まだ伸び代があるときたもんだから、末恐ろしい限りである。

 「ごめん!助かるよ!」

 彼女の隣で静かに俺を睨むベンタロンが怖くて必死に取り繕う。

 ブリッサは、対人戦があまり得意ではなく、順位も最下位だ。

 だが、誰にでもいい点がある。

 彼女は技の美しさなら誰にも負けない。

 『攻』『守』ともに器用に舞い、一つ一つの美しさはアルコメンバーの中で随一だ。

 戦うための技術ではなく、人に見せるための技術と言うのだろうか?

 世界が違えばトップアイドルだったかもしれない。

 そして、『攻』『守』ともにこなせる彼女はアルコメンバーの中で現在唯一、集団戦用型を使用できる。

 今回に限っては強い助っ人だ。

 余談だが、2人はとうとう付き合いだした。

 ソシエゴが立役者だったらしいが、詳しくは知らない。

 だが、付き合った瞬間は知っている。

 

 ジュビアとベンディスカの2人相手に『決闘』を申し込んで打ち負かしたのだ。

 

 あの時のベンタロンの気迫は凄いものだった。

 ジュビアとベンディスカも、あまりの気迫に押されてしまい、思うように戦えていなかった。

 それだけ、ブリッサが好きだったという事だろう。

 そんな、周知のカップルとなった2人が助けてくれる。

 心強い事この上ない。

 「そう言えば他のアルコメンバーは?」

 俺はジュビアとベンディスカで思い出した、他のメンツの事を聞いてみる。

 「ジュビアとベンディスカは村の中で、『魔獣』との再戦だって盛り上がっていた」

 ベンタロンが槍を振り回して構える。

 「ビエントとアイレは妹を守るために家に帰ったよ。多分、あの辺に出ていた『魔獣』を倒してるんじゃないかな?」

 ブリッサが腰から剣を抜いて構える。

 そうか、それぞれ戦ってるんだな・・・。

 「そうか、じゃあ、俺達も負けてらんないな」

 「あぁ、その通り」

 ベンタロンとブリッサが頷いて、『魔獣』を鋭く見据える。

 「じゃあ、まずは私から!」

 最初に動いたのはブリッサ。

 タタタンッと足踏み。

 リズムそのままに飛び跳ね始める。

 「それじゃ、行って、くるね」

 リズムに乗りながら話して、タンッと消えた。

 タタタンッのリズムはそのまま素早くステップ。

 山の中を大きく動き回る。

 

 「『剣舞術』『ポルカ』」


 声が響くと同時、リズムに乗せて獣の叫び声が始めた。

 やっぱり『ポルカ』は強い。

 集団戦に置いては使えると便利だなと思う。

 俺はどうしても『攻』派の鍛錬が足りないので上手く使えない。

 俺とベンタロンもそれに続く。


 「『突槍術』『直槍』」


 ベンタロンが使用したのは、『突槍術』。

 読んで字が如く、槍で繰り出す突き技。

 今回使用したのは『クラコビィアク』によく似た直線的に進む突き技である。

 『クラコビィアク』との違いは、やはり得物の違いによるリーチと範囲だろう。

 『クラコビィアク』は当たれば高威力だが、やはり範囲が狭くリーチも短い。

 対する『直槍』は、威力が劣るが、範囲が広くリーチも長い。

 集団戦でも大きく活躍してくれる。

 使い勝手のよい技である。

 勢いよく俺の前を真っ直ぐ進んで獣を貫いていくベンタロン。

 その背中がとても頼りに思える。

 「俺に続け!サティスの所に行くんだろう!?」

 振り返らずに叫ぶベンタロン。

 直線状の『魔獣』はベンタロンが排除。

 取りこぼしや、周囲の『魔獣』はブリッサが仕留める。

 2人の見事な連携で難なく進むことが出来る。

 「あぁ!頼んだ!」

 俺はそんな2人を頼ってサティスの元へと急いだ。


 やがて、しばらく進んで敵も減って来たので途中でベンタロンとブリッサと別れた。

 『魔獣』を切り伏せながら足を止めずに突き進む。


 そして俺はとうとうたどり着く。


 憧れの恐竜。

 『ブラキオサウルス』。

 この世界で言う『ドラゴン』。


 その足元に。

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