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パーティシペイター  作者: 後出しジャンケン
1章
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5/13

決意の物語4

3時間目 体育


「「いっち、にー、さん、しー、ごー、ろく、しち、はち」」


体育は準備体操から始まる。勿論ちゃんとやらなければ1からやり直しだ。そうなるのが面倒さく、皆に迷惑を本格的にかけるからか、流石のしぐれも準備体操はきちんとやっている。そして、準備体操が終わると


先生が、


「今日もサッカーやるぞぉ。チームごとに並べぇ。」


と言っているなかしぐれは身長の高いやつの後ろに隠れて軽く寝ているようだ。皆がチームごとに並び始めるとしぐれも起きて並び始める。こいつは何故か体育の時間はやや真面目なのだ。チームごとに並ぶと先生は


「う〜ん…禎流と大智が一緒のチームってのがなぁ…。サッカー経験者だろお前ら。また前みたいなことにはしたくねぇなぁ」


前みたいなこととは、俺と大智で他のチームをフルボッコにしてしまったことだろう。それ故にその時間からサッカーの授業は先生からも面白くない、と思われてしまったのだ。それを感じとったのか大智は


「じゃあ、僕が他のチームに行きますよ。」


流石大智だ。偉いな。そうして大智は他のチームに行き、ボールの蹴り合いを終え、ゲームが始まるのだった。


「挨拶ぅ!」


「「よろしくお願いします!」」


先生の合図と共にゲームが始まる。チームはAとBの7人ずつに分かれており、俺はA、大智はBにはいっている。Aの方が運動神経がいいやつが多く、Bの方は運動神経がめっちゃいいやつが1人いるだけで、他はそこまでといった感じだ。


しかし、チームAにはしぐれがいるという致命的な欠点がある。

あいつは何をしでかすか分からないうえに自分からボールを取りにいくようなこともしない。さらには自分から率先してキーパーをしたがるのに来たボールを無視するのだ。本人はルールは分かっていると言ってはいるが実のところ本当に分かっているのか、分かったうえでふざけてるのかは不明である。


ゲーム開始時ボールはチームAが取れた。俺にかかれば、多少運動神経がいい奴等ぐらいならボールを取られずにゴールにシュートできる。ただ大智と運動神経がめっちゃいいやつ原熊永理久(はらくまえりく)にはボールが取られないという保証はない。特に大智はやばい。


そのため大智を警戒しながら相手のゴールを目指しているのだが、中々大智が見当たらない。大智が攻撃してこず、楽々とシュートが入る距離までくると、永理久が急に攻撃を仕掛けてきた。ずっと俺の右足ばかりを狙ってくる永理久。そのせいで中々シュートするチャンスが作れない。


さらには運動神経がそこそこいいチームBの奴らに囲まれ最終的には永理久にボールを取られてしまった。すぐに思考を切り替え永理久からボールを取ろうとしたが既に永理久のもとにボールは無くチームAのゴールの近くにいる大智のもとへ渡っていた。成る程、大智はそうやって待機していたのか。このピンチを救えるのは最早キーパーのしぐれしかいない。


「しぐれ!なんとしても死守しろ!」


そう呼び掛けたが、まさかのしぐれはゴール前で寝ていた。しかし大智は気付かずにシュートしてしまい、大智の蹴ったボールはちょうどしぐれの顔面にぶち当たる軌道を描いている。大智も蹴った後に事態を察し、慌てて自分の蹴ったボールを止めようと走り出したが勿論間に合う訳もなく、そのまま……


バコン!


しぐれにヘッドショットを決められた。


「おい!どうした!?」


鳴り響く先生の声。体育の時間は男子と女子で分かれて行動しており先生はちょうど女子の方を見ていたため何があったのか分からず、人が倒れている様子を見てやってきたのだろう。


「僕がやりました。」


正直すぎる大智。


「いや、やったって何を!?」


先生の疑問。


「僕がしぐれを殺したんです。」


大智の変な思い込みで先生は困惑したような顔をみせている。そんなことよりも、しぐれを早く起こさないと大智が責任を取って警察に自首しかねない。それぐらい大智は責任感が強いのだ。それをクラス内全員知っている為何が何でもしぐれを叩き起こさなければならないのである。


「脈はあるぞ!」


クラスの中の誰かがしぐれの生存を確認する。しかし、しぐれを蹴ってもしぐれの隣で大声を上げてもしぐれは起きようとしない。これはマジで気を失っているようだ。先生も大急ぎでしぐれを保健室に連れて行こうとしている。


だが、俺は知っている。そんなことをしなくてもしぐれを起こす方法があることを。俺はしぐれの隣へ行き


「しぐれ、お前は大智に攻撃されたんだぞ。」


と一言。すると、しぐれは目を開眼させ、すぐに意識を取り戻した。そして


「大智!お前は何も悪くないからな!気にすんなよ!絶対に!」


と大声で叫んだ。俺の一言のおかげだろう。俺が放った一言はおそらくしぐれだけでなく、大智と同じクラスの者なら、誰でも意識を復活させることができる。


それぐらい皆は大智のことを骨の髄まで意識しているのだ。大智は過去にしぐれがやったことを自分の責任不足として、先生に自首したこともあるため、しぐれはもう二度とそんなことをさせないように誰よりも大智のことを心掛けている。だから、しぐれには暴力や大声よりもこの言葉のほう効くのだ。そしてしぐれは


「我は大丈夫だ…。早くゲームを続けようじゃないか。」


と格好をつけるような事を言う。まぁ実際は大智に気を遣わせないためだろう。しかし、ここで先生のストップが


「いや、お前頭にボールが当たってんだからまずは保健室にいかないとだろ。」


「寝てたんだ。寝てる時は頭への被ダメが軽減されるんだぜ。最近大学で言ってたぞ。だから我は大丈夫なのだ。」


「嘘つけ。いいから行くぞ。」


するとしぐれは急に小声で


「後から行く。別に頭が痛いわけじゃないから、どうせキーパーだしゲームくらいは続行させれるんだ。もし、無理だったら自分で先生に言うよ。先生だって生徒の意志を尊重しなきゃならないだろう。」


「そこまで言うならやるだけやってみろ。ただ絶対に無理をしてはいかんぞ。」


「任せとけ。」


先生とのやり取りを終えたあとゲームを続行すべくキーパーの位置についた。すると大智がしぐれのとこに来て


「大変申し訳ない。ちゃんと僕が出来てたらこんなことにはならなかった。もし何かあったら言ってくれ。絶対に責任は取る。」


これに対ししぐれは焦りを感じたのか


「いやいやお前は本当に何も責任取ることないから!もとはといえば審判とボールを取られた天草が悪いんだ。あいつらがちゃんとやっとけば我もお前もこうならずに済んだんだ。だから責任を取るのはお前じゃなくてあいつらの方だぜ。」


唐突に悪者にされる俺と審判、智気。これはただの言いがかりなので反論せざるを得ない。


「俺と智気よりお前が寝てるのが一番の原因だろうが!そもそもなんで体育中に寝ようって思えんだ!」


これに便乗し


「そうだ!お前の睡眠が一番の原因だ!中立の俺が言うんだ!間違いない!」


「お前はそこまでいくと、中立という立場の悪用だぞ。片方に味方してんじゃねぇか!」


「片方に味方したからって、中立を崩したわけじゃないぜ。しぐれ。俺はな中立の立場として考えた結果お前を悪いと考えたわけだ。たとえ俺と禎流が悪いとしても、俺たちの能力の問題だからこの時点ではどうすることもできない。しかしお前はなんだ?お前は起きていればただそれだけでこの事故を防ぐことができたんだ。さらに言えば授業中に寝るということ自体がモラルやマナーとして大きな間違いだぜ。」


するとしぐれは急に自分には関係ないというような顔をして


「お前らさ、なんかわけわかんないこと言ってるけどサッカー続けたくないんか?」


「「お前が言うなや!!」」


俺と智気は呆れながらも反論するしかなかった。理由は分からない。ただ、反論するしかなかったのだった。


そして何もなかったようにサッカーは再開される。とはいえ残り半分くらいしか授業時間もなく、思う存分サッカーができるわけではない。


まぁ、やらないよりはましだが。

ゲームが始まるとボールは今回チームBに渡った。勿論大智が攻めて来るわけだがどうも勢いがない。取りにいけそうなので取りに行くと割と呆気なくボールを取ることができた。そのまま相手のゴールを目指すと変わらず、永理久が邪魔をしてくる。こいつは変わらず元気だ。


しかし俺とて同じ相手に二度も取られるほど弱くない。また大智のことを念頭に入れなくて良い為、目の前の状況に集中できる。そうしている内に相手のゴールにボールをシュートできる寸前になって背後からボールを取られた。


何が起きたのか分からず後ろをみると、まさかの大智が動いていた。あいつは切り替えが遅い男だ。本来なら明日くらいに切り替えてる筈なのだが今回はどういうわけかもう切り替えている。何が原因なのかと周囲を見回しているとゴール前でしぐれが得意そうな顔をしている。おそらくあいつが原因だ。あいつが何らかの発破をかけ大智を切り替えさせたのだ。証拠はないがあいつならしそうな気がする。

チームAのやつらは一生懸命に大智のボールを取ろうとするが中々上手くいってない。俺も合流して取ろうとしたがそれより早く大智はボールを蹴りゴールにシュートを決めた。

これでBは2点決めていることになる。残り時間も約5分せめて1点は取りたい。ここは守りは2人くらいであとは攻める役にまわらなければ点を取れる可能性が低い。このことをチームAに伝え、俺達は攻めるほうに意識をむける。初動はパスをまわしながら相手チームのゴールの方へ攻める。その際俺は永理久と大智の妨害を徹底する。とはいえ、1人で2人も相手できるわけないため、最低でも大智を動かすことだけは避けたい。この状態を維持しながら攻めていると、遂にチームAから相手のゴールへシュートする奴が現れた。


が、相手の運がいいのか、そのシュートはキーパーによって防がれ、キーパーの靴に当たったボールは跳ね返った。この機を見て永理久は動くがボールが跳ね返った先にはチームAのメンバーがおり、そのメンバーによりシュートが決められた。


どうにか1点を取ったところで、笛がなりゲーム終了の合図がなされた。その後は挨拶を終えて授業も終了となり、しぐれはトイレに行くと言ってその場から去った。

感のいい奴らならしぐれがこの時にとった行動の真意が理解できるだろう。そう、あいつは今から保健室に行くのだ。確信している。というか、先生には後で行くって言ってたな。そして、教室に戻り次の授業が何かを確認しているとしぐれは氷を頭に抱えて帰ってきた。


自分でせっかく保健室という単語を隠したのにこれではバレバレだ。流石に大智も察したようですぐに大丈夫かと声をかけにいっている。感のいい俺達は、ため息をつき駄目だこりゃと言わざるを得なかった。そうこうしながら、本日最後の授業への準備を始めるのだった。

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