決意の物語1
「いってきまーす!」
「いってらっしゃーい」
ガタン!とドアがしまる。今日も元気に学校だ。真っ直ぐに進むと交差点に突き当たる。すると、そこに見慣れた影が
「おはよう!しぐれ」
「よう、ここで遭ったが百年目!覚悟しろ天草ァ!」
「いや待て待て!俺は天草四郎じゃねぇよ!ちょッ痛い痛い痛い痛い!」
こうやって髪の毛を引っ張られながら登校するのもいつしか習慣になってしまった。
髪の毛を引っ張り、天草四郎を敵対視しているこいつは徳田しぐれ。幼馴染みだ。
天草四郎を敵対視している理由は、基本授業中寝ているくせに何故か、社会の天草四郎の授業の時だけ起きており、その際に社会担当の先生の滑舌の悪さのせいで「徳川」を「徳田」と聞き間違え、天草四郎は徳田一家に反抗していると勘違いしてしまったというわけだ。この時にしぐれは、
「ははぁん!成る程そういうことか!天草は我々徳田家に下剋上をやろうとしてたわけだな!」
と謎の解釈を大声で言い、先生に
「おぉ、げきょくじょうにゃんてこてょば、よう知っとるにゃあ。りゃあなんでぃぇ、あみゃくしゃはげきょくじょうをしたって言えるきゃあせちゅめぇいちてみぃ。(おぉ、下剋上なんて言葉よく知っとるなぁ。じゃあ何故、天草は下剋上をしたって言えるか説明してみ)」
と説明を求められたため、しぐれは
「はん!愚問だな先生!そんな理由言うまでもないだろう!理由はな!天草は我らが先祖徳田年寄りに対し、弱い立場でありながら、反抗しているからだ!」
と反論。そして先生は
「ひゃははは!ときゅでぃあとしよぉりぃ?でぃあれぇでぃぁしょりゃ(あははは!徳田年寄り?誰だそれは)?」
と、大笑いする始末。勿論クラス内大爆笑であった。
ということがあったのに関わらずまだ、天草四郎を敵対視しているということは、余程メンタルが頑丈なのだろう。因みに江戸幕府が終わりを迎える大政奉還の授業には、怪我をしたということでその授業の日、しぐれは休んだ。誠に残念であると、クラスのみんなも社会担当の先生もぼやいていた。
で、もう一つの疑問。何故俺が天草四郎として敵対視されているのか?単純に仲が良いからというのもあるかもしれないが、最大の理由は俺の名字が天種だからだ。
種は芽生えると草になるという人間に通用するわけもない理論をぶちかまして俺を敵対視しており、俺の名前である禎流も、天草四郎時貞の「さだ」の部分が一緒だとして、俺のことを天草四郎と見ているわけだ。ふざけた野郎だ全く。
そうこうしている内に遅刻ギリギリで登校することができた。急いで教室に行き、先生にドヤられながら席につく。毎日同じことを繰り返しているが、どうも緊張感が払えない。何故かいつも後、何分で遅刻するのかと考えてしまうのだ。
「はぁ〜しぐれ君も禎流君もいつになったら余裕をもって学校につけるのかな?」
毎朝のようにこの言葉を投げられる
「ふん!我々に余裕はない!常に此処が命を落とすかもしれない戦場なのだ!」
といつものように同じようなことで反論するしぐれ。
「またそれ?もういいや。えぇと今日はみんな知ってると思うけど………」
といった感じで朝の会は始まる。今日は先生達の多くが出張で4時間授業だという。まぁ時間割で知ってはいたが先生の口から話されると妙な安心感がある。
「はい。というわけで朝の会終わるけど、何か質問ある人いる?」
「「ないです。」」
生徒一同特に何もないようだ。
「じゃあ、終わりま―す」
「起立、気を付け、礼!」
「「ありがとうございました。」」
毎日こんな感じで朝の会は終わり、少し休憩を挟んだあと1時間目が始まる。




