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第一層 episode.6

ショウマさんは疲れていたか朝なのにも関わらず眠ってしまった。やはり昨日の傷がまだ癒えていないのだろう。


「………どうして私なんかにあんな無茶を……?」


わからない。出来ることなら聞いてみたい。でもとりあえず今はこの人の回復が先だ。何か食べ物……ないかな?


「………どうしましょうか。とりあえず食べ物を探そう……ひゃっ!?」


ベッドから立ち上がろうとすると腕がなにかに引っ張られた。ベッドの上に身を投げ出す形となった。


「………ショウマさん?」


そこには私の腕をがっちりと掴んだ彼の姿があった。どうやら無意識のうちに掴んでいたようだ。


「あのっ!離して……離してください」


「ん……?どうした、エル……?」


「手、離してください」


「………」


俺はジッと自分の手がエルの手首を掴んでいるのを見る。なんだかエルの顔が赤い。なんで掴んでんだ俺……まあいいや。そう思いパッと手を離す。


「……悪い、でもどこに行こうとしてたんだ?まさか……一人で外に出ようとしてないよな?」


「……そうですけど」


私はバツの悪い顔をする。出来ればバレずに外に出たかった。絶対に止められると思ったらからだ。


「やめろ。外にはアグレッサーどもがいる。お前に死なれたら俺は上の階層に行けなくなる」


やっぱり止められてしまった。だけど怪我を治さないと………


「……じゃあ拳銃とナイフお借りしますね。これで自分の身は守れます」


「………気をつけろよ…何かあったらすぐに戻ってこい」


やはり一人で外に行かせるのは不安なのか心配の色が顔に出ていた。だけどショウマさんの傷を治すことは何よりも……私の事よりも大事な事です。

そんな事を思いつつ私はショウマさんの言う事に頷く。


「分かりました」


それから私はホテルの部屋を出た。物音一つしない静まり返ったホテルの廊下に出る。

自分の足音が廊下に響き渡るのを聴きつつ足早に外に出た。


「さて、これからどうしようかな……」


とりあえず最初は食べ物…水……あと生活用品があったら持ってこよう。それと薬だ。先日のショウマさんの怪我により使ってしまった止血剤を補充しときたい。まだまだ包帯と鎮痛剤はあるが焦っていたせいで大量に使ってしまったので少なくなってしまっていた。


「………」


思考にふけっているその時だった。


タタタタタタタ!


「っ!?」


銃声が聞こえた。そこまで遠くない。100m圏内であるのは確かだ。かなり連射性の高い銃を所持しているようで何発もの銃声が重なっているように聞こえた。


「………」


静かに拳銃に初弾をセットする。カチリと音がし、弾がセットされた事を知らせる。


「あっちから……聞こえたような……」


それから音がした方向に近づいてみる。だんだん近くなりつつある銃声に身を竦めながらビルとビルの路地裏を覗き込む。

多分ここから銃声がしたと思うのだけれど………見つけた。


「おらおらおら!かかってこいや!」


「グオオオォォォ!!!」


そこにはSMG(短機関銃)を持ち自分の身長の倍はありそうなツノの生えた化け物と戦闘している女性がいた。


「ちっ弾切れか……じゃあこれはどうだ!」


そう叫び彼女はグレネードをツノの生えた化け物に投擲した。それからしばらくしてインパクト。身を震わせるような悲鳴を上げ化け物はその巨体ごと吹っ飛び、息絶えてしまった。


「ふう……」


「………」


この女の人誰だろう……なんとなく男らしい感じはある。黒いタンクトップを着ていて、長い紅い髪には力強さを感じた。


「………弾がもったいねー」


「あの…!」


勇気を出して声をかけて見ることにしてみた。すると


「………」


カチャッ


無言で短機関銃を向けられた。黒光りしている短機関銃の銃口は今か今かと射撃するのを待っているかのようだった。


「待ってください!敵意は……!」


「知ってるか?下層で生き残ってる人間にはな……味方なんていないんだよ」


とっさに顔を引っ込める。その瞬間に地面から銃声とともに地面から土煙が上がった。右頬がピリピリする。どうやら銃弾が掠ったようだ。

逃げなければと思う前に体は動いていた。ただひたすらに走った。それから何も入っていないゴミ箱を見つけそこに隠れた。


「何処行った……あのチビ………チッ!なんか持ってると思ったんだけどなー」


怖い。自分はもしかしたらさっきの銃撃で殺されるところだったのだ。

そうだ………思い出した。この下層では味方なんていない。

そのことを知らないショウマさんだったから初めて会った時、撃たなかったが知っていたらあのとき私は………いや、やめよう。ショウマさんは私を撃ったりしない。


「クッソー逃げられたか……まあいいや。ガキ1人殺したところで何にも手に入らないだろ…」


「………」


息を潜め、隠れているとさっきまですぐそこでしていた足音が消えた。どうやらどこかへ行ってしまったらしい。それから少し蓋を開け、外を確認して見る。


「………いない…よかった」


安堵の声を漏らし、ゴミ箱から出る。そしてそこから離れようと足を踏み出した。


「みいつけた!」


「っ!?」


走って逃げようとしたら後ろ髪を思いきり掴まれた。


「痛っ!」


頭に激痛が走る。思わず立ち止まると背中に短機関銃を突きつけられた。硬い感触と金属の冷たさが背中越しに伝わってくる。


「………おい、なんか言えよ」


「痛い………」


「チッ!ぶっ殺してやりてえところだがお前なんか持ってねえのか?使えるものは置いていけ。そしたら命だけは助けてやるよ」


髪を強く引っ張られているせいでつま先立ちにの状態だ。早く離してほしい。頭が引っ張られて痛い。


「………離して」


「だから持ってるもん全部だせっつってんだよ」


「…分かった」


手に持っている拳銃とポケットに入ってるナイフを取り出そうとしたその瞬間髪を掴まれている感触が消え、解放された。


ターンッ!


「チッ!誰だ!出て来い!」


大きな舌打ちをし、私を突き飛ばした彼女は大声で叫んだ。


「この銃声は………!」


今までも何度か聞いた、連射も出来ないし、銃底が木でできてガタガタになっている随分と古びたボルトアクション式のライフルの銃声。


「よお……悪かったな遅くなって……」


そこにはたった1日と半分くらいしか一緒にいないけど何故だか安心できる声があった。


「ショウマ……さん!」


「さて、一体これがどういう状況なのか説明してもらおうか?」


「クッソ!」


俺が登場したことによりあっちの女も怯んだようだ。こっちはライフルがある。初弾もセット済み。

さあ、どうする?そして、エルをこんな目に合わせた代償はでかいぞ?



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