第八層 episode.3
episode.数字では自分が何層にいるか作者が管理できなくなってきたので何層➕episodeの形にしました。ご了承くださいませ。
私が彼と出会ったのは第十層にあるヒューマノイド研究所。そこではヒューマノイドを人類の管理下に置いておける範囲での強化人間化の研究を行っていた。彼はその素体として出会った。
「1001番、1002番、1003番…あれ、君ヒューマノイドじゃない。なんでここにいるの?」
真っ白な研究室をふたつに隔てる透明なガラス壁の向こう側に直立している男女合わせて20人の手枷と足枷をつけたヒューマノイドの経歴書を確認しながらゆっくりと顔と経歴書を見比べながら歩く。何枚か見ていると手書きで「ニンゲン」と書かれた書類が出てきた。
「あなたヒューマノイドじゃないじゃない。どうしてそちら側にいるのかしら?」
黒髪の彼は虚な目で答える。
「……ここにくれば強くしてくれるって聞いた」
「人間が戦う理由なんてないんじゃないの?性能面ではヒューマノイドに人間が勝てる要素なんてないのに」
「別に…」
「ふーん…まああなたがいいって言うなら遠慮なく強化人間手術の実験体として扱わせてもらうけど構わないわね?」
「あぁ」
「人間が強化人間手術を受けるのは前代未聞だし、一応規定もあるっちゃある。その規定では強化人間手術を人間が受ける際は同意書を書いてもらう必要があったけどちゃんと書いたかしら?」
「書いた」
「同意書に書いてあった通り、良くて廃人、最悪死に至るけどそれでもいいのね?」
「そう…なんでここにいるのか知らないけど、まあいいわ。早速だけど身体計測をするから被験体はそこに一列に並んで」
ジャラジャラと足枷を引き摺る音を立ててながら被験体たちは一列に並んだ。
結果、彼の肉体はヒューマノイドに負けず劣らずの戦闘能力を保有していることがわかった。
それから行われた戦闘技能テスト、身体能力テスト。どれも好成績を残し、ヒューマノイドを超える人間だと彼は証明した。
「ふむ、でも耐久性だけはヒューマノイドに劣っているわね。生身だもの、ヒューマノイドは規定内であればある程度遺伝子弄れるし、仕方ないわね。純粋な人間でここまで出来るなら大したものよ」
「……そうか」
「それじゃ、各員に個室があるから案内するわ」
ガラスの扉を開いてヒューマノイドを連れ出す。私がいた側にいたガスマスクとバイオスーツに身を包んだ兵士が銃口を彼らに向ける。反逆の抑制のためだが、やり過ぎだと私は思う。
バイオスーツも怖がりすぎ。アグレッサーと直接戦う彼らは未知のウイルスや細菌に汚染されているかもしれないと上層部からのお達しでこうなっている訳だけれど、そんなに臆病になっていては得られるものも得られない。
「さ、ここがあなたたちの今日からのお宿よ」
2m×2m程度の狭い部屋だ。ベッドと小さい机と椅子しか置いていない無機質な部屋だ。
ヒューマノイドとはいえどこんな狭い部屋に閉じ込めるのは少し抵抗感を覚える。
「それじゃ、各員部屋で待機。番号呼ばれた個体は部屋から出ること。いいわね?」
ヒューマノイドたちは各々返事をして部屋に入っていった。
人間の彼も素直に部屋に入っていった。
先ほどの書類には人間もヒューマノイドにも名前が載っていなかった。個体番号とここで使われる別の個体番号。それから身長、体重、性別、年齢、経歴、所属、それから特記事項が書いてあった。
人間なのに人間扱いされないなんて彼も不憫なことだ。一体何故ここにいるのか聞いてみたいが、答えてはくれなさそうだ。
それから、実験と手術の毎日が始まった。インプラントを埋め込んだり、感情の表現を抑える薬物を投与したり、神経を光ファイバーに変えたり、様々な手術を行なった。精神を病み、正気を失ったヒューマノイドや手術に失敗し四肢が動かなくなったヒューマノイドはどんどん廃棄されていった。
手術の最終段階に差し掛かって残ったのは僅か4人だった。1003番、1008番、1014番、1018番。
1003番は人間の彼である。15歳、男、心身共に軍人に相応しい人間だ。そのほかは3〜4歳のベテランだ。年齢は3、4歳だが、ヒューマノイドは運動能力の適齢期で生産されるため、6歳だと20歳程度の見た目になる。
全員をまたガラス壁の外側に連れて行き、今度は自分も一緒に入る。
「みんなよく生き残ったわね。今日も今日とて手術よ。あなたたちの左眼をコンピュータ内蔵センサーに変えるね。成功率はだいぶ高い方の手術だし、安心していいからね」
手術は基本的に一番成功率が低いものから始める。簡単なものから始めて最後に失敗するとそこまでのインプラントや手術の時間が無駄になるからだ。
「それじゃ、1003番からするからこっち来なさい。他のメンツはそこで待機で」
1003番を連れて手術室へと向かう。
手術は特に問題なく終わった。彼も麻酔の効果もあるが、一切動かずに手術を受けていた。
「じゃあ麻酔切れるまでちょっとお姉さんとお話ししない?」
「……何を?」
「あなたがここにいる理由とか、色々聞きたいことがあるのよねぇ。あ、別に検査でもなんでもないから。カウンセリングみたいなもの」
「…じゃあ答えない」
「じゃあ、検査にするわ」
「……わかった」
それから私は彼に個人的な質問をどんどんぶつけていった。
強化人間って聞くとアーマード・コアを思い出す人なんですよね。借金地獄で強化人間手術を受けさせられたのを思い出します。




