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第一層 episode.4

「………取り敢えず、上に続いているあの塔を目指すぞ。あそこで上の階層に行けるんだろ?」


「そうですね。行きましょう」


それから1時間ほど都市を道路沿いに歩き続けた。もう日は随分と暮れてしまっている。緑にビルや家が呑み込まれているのを見ながら歩いているとノスタルジックな気分になった。


「………駅だ」


「そうですね……」


駅の中に夕陽が差し込み、屋根の部分に取り付けてある看板は片方が外れて取れかかっている。その中には自動改札機があり、それも少しずつ植物と同化しつつあった。


「………中に何かあるかも…」


「行ってみますか?」


「そうするか」


それから中に入った。中は思ったよりも荒れていなく、そのまま廃墟になったという感じだった。日が暮れたからか中は結構暗い。そしてここは電気系統が全て停止しているらしい。

おそらく光っている看板だったのだろうが今はもう光っていたことがわからないほど割れたり、傷が付いていたりした。


「………特に何も…ここは?」


なんか壁が全てガラスでできていて壁に入り込んでいる部屋を見つけた。全部ガラスは割れてしまって地面に散乱している。

散乱しているガラス片の中に看板が落ちている。


「えーと……7?」


「7ってなんだ?」


「………さあ…何かしらの数字かとは思いますが……」


「例えば?」


「………作られた数とか……」


「………なんじゃそら」


「知りませんよ。取り敢えず中に入って何かないか探してみましょう」


「そうだな…食べ物かなんかないかな……」


それから二手に分かれて駅の中を探索することにした。

中は結構ぐちゃぐちゃで探しにくかった。棚が倒れて入っていたであろうものがバラバラになって地面に散乱している。その棚の下には片腕の骨が見えた。下敷きになってしまったのであろう。


「………なんだこれ…?カ、カロリー…?汚れててよく見えない」


黄色い四角い箱だ。中には……金色の袋が二つ入っていた。中には棒状のものが入っているらしい。


「ギザギザだ……縦に裂けば開けられそうだな……取り敢えず持っていけるだけ持って行っておこう」


黒い文字で書かれていたやつと白い字で書かれているやつを選んでバッグに放り込んだ。



エルside………


「何かありませんかね……」


特にこれといったものが見つからない。何も入ってないペットボトル。中身に黒いぐちゃぐちゃしたものが入っている袋。あとは……


「ここにも死体がありますね……」


そこには紙を握っている死体があった。紙には1000という数字が書いてある。一体何の数字かはわからないが大きさからして紙幣だろう。

だが、この世界で持っていても無意味なので捨てた。


「……他には……」


今度は軍人らしき死体を発見した。すでに白骨化していて背中の方に小さな死体もあった。どうやら子供を庇って死んでしまったらしい。


「………」


その光景が目に入り私は少し眉をひそめた。その手にはライフルが握られている。もしかしたら弾薬を持っているかもしれない。そう思った私はライフルを調べてみた。


「全部残ってる……」


5発とも弾倉に残っていて胸ポケットには弾が10発程度入っていた。計15発のライフル弾をポケットにしまう。

腰のホルスターには拳銃も入っていた。だが、トリガーの部分が破壊されており使い物にはならなそうだ。弾は……入ってる。7発入ってる。マガジンも弾が全部入っているのを1つ見つけた。


「………全部もらっていきます。すみません」


両手を合わせてその死体を後にする。来た道を戻る。すると先ほどの壁に入り込んでいる部屋があるところまで戻ってきた。


「何かあったか?」


「弾薬を見つけました」


「お!弾薬は無くなりかけだったから助かった!」


「そうですね、あとは……特にないですね」


「大戦果だな」


「そうですか。弾薬は預けておきますね……でそちらは何を?」


「あーなんか黄色い箱みっけた。なんとなく食べ物っぽい」


「それカロリーブロックじゃないですか」


「カロリーブロックか。箱が汚れてて読めなかったんだ」


「それ食べ物です。よく見つけましたね」


「食べ物が見つかってよかった……腹も減ってるし食べようか」


「そうですねでも少しは残しておかないと……二人で一箱食べましょう」


「おっけ。じゃあ」


それから黒い方の箱に入ってあった金色の袋を開けた。中にはクッキーの細長いバージョンみたいなものが入っていた。


「チーズの匂いがする……チーズ味か」


「そうみたいですね…おいしい……」


「そうだなー………」


そう言って残ったかけらを口に放り込んだ。

それからかなり暗くなってきたのでそのままここで野宿することになった。


「………先に寝てください。見張りは私がします」


「いや、お前が寝とけ。お前、俺よりも年下だろう?」


「ショウマさん何歳なんですか?」


「………多分17」


記憶が消えているせいかあまり自信がない。まあ、仕方のない事なんだが……


「そうですか……でも」


「でもじゃない。エル。お前、足だって今は痛くないだけで怪我はしてるんだ。あと包帯巻き直しとけよ。まだ血が出るようなら止血剤塗っとけ」


そう言って俺はバッグから止血剤と包帯を投げ渡す。

取りこぼしそうになりつつエルはそれらをキャッチした。


「……わかりました………では眠くなったら言ってください。見張り交代しますので……」


「おー」


それからしばらくしてエルの静かな寝息が聞こえ始めた。どうやら眠ってしまったようだ。いつも無表情だが寝ている時の顔は年相応の幼げな寝顔をしている。


「寒そうだな……なんか毛布みたいなの持ってくるか……」


立ち上がりそこら辺を探す。流石にここら辺には無いようだ……


「………仕方がない」


そう呟くとベッドから起きた時からずっと着ている灰色のパーカーを脱ぎ、壁にもたれかかって寝ているエルに掛けてやる。それから白い無地のTシャツになる。


「寒い……」


なんか毛布探そう。外にないかな……家具が売ってるところでもあったらいいんだが……

それから外に出て近くをウロウロしていたらボロボロだがまだ使えそうな布切れ落ちていた。どうやらカーテンのようなものらしい。


「まあこれでいいか……デカすぎるような気がするが……」


「グルルル……」


「っ!?」


とっさに振り向くと2匹の狼……?に退路を塞がれていた。闇の中でも光るその目は恐怖を煽ってくる。


「ぐっ………どうする……?」


まずい。もしかしたらエルのところにもこいつら以外の仲間が行ったかもしれない……だけど取り敢えずこいつらをやらないと……持っているのはさっき拾ったカーテンだけ……どうする?どうする……!



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