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第六層 episode.2

はい、めちゃめちゃ遅くなりました。すみません……。あと今回ちょっと短いので後書きでキャラの設定とか少し書こうかなと思います。

episode.33

「隊長!血塗れじゃ無いですか!大丈夫なんですか!?早く治療しないと…」


「…………」


 別に怪我はしてないのだが……と鈍った頭で考える。

 まるで知り合いの様な話のかけ方をするのでもしかしたら知り合いだったかもしれないと思い必死に思い出してみるが記憶どころかその片鱗すら掴むことができなかった。

 それに失血により深い思考をすることが出来なかった。


「悪い……少し…待っ……て」


 不意に見えている世界がぐるりとまわって真っ暗になった。

 エルとその二人が何か言っている気がするが水の中で声を聞いた時の様のくぐもっていてよく聞こえない。

 結局俺はまたも意識を失ってしまった。




「………」


 目を開けるとそこは真っ白な天井だった。

 どうやら俺は倒れた後、どこかへ運ばれてしまった様だ。

 全く知らない場所であり、なんだか2層と同じ様な薬臭い匂いがした。

 腕に違和感がある。その違和感のある腕の方向を見ると血液パックから赤い血の通る管が自分の腕に続いていた。

 それからゆっくりと自分の身体の方を向くと俺の胸板の上で寝ているおもちとエルが椅子に座りながら本を読んでいるのが見えた。

 おもちが俺が起きたことに気づいて「きゅっ!」と鳴くとエルの方へと走っていった。

 エルがその鳴き声でこちらを向いたので視線が合わさる。


「もう体は痛くないですか?具合が悪いとかは…?」


「……特に痛いところもないし、具合も悪くない。……それどころか前よりずっといい。それより…どれくらい寝てた?」


「そうですね…2時間ちょっとぐらいでしょうか」


「…そうか」


「そういえばショウマさんが起きたらこれを食べさせておいてと言われたんでした」


 そう言って取り出したのは色とりどりなフルーツの絵が書いてある缶詰だった。


「……なにそれ?」


「フルーツ缶です。中にパイナップルとかみかんとかのフルーツが入ってて美味しいんですよ」


「それを俺に……?」


「はい、今開けますからね」


 エルはタブをくいっと外側に動かし、蓋を開ける。

 それから中身を器の中へとスプーンで掻き出した。

 みかんやパイナップル。あとマンゴーといったフルーツが透明の液体とゴロゴロと出てくる。

 器とスプーンをこちらに差し出してくる。


「どうぞ」


「ありが……あれ…腕が動かない」


 お礼を言い、器とスプーンを貰おうと動かそうとすると身体が痺れた様に動かない。

 

「あ、伝え忘れてました。麻酔がまだ消えてないので体は動きません」


「……麻酔?どうして?」


 どうして怪我もしていないのに麻酔をされないといけなかったのであろうか。今回については貧血が問題であったのにもかかわらずだ。

 するとエルは申し訳なさそうな顔で理由について話し始めた。


「ショウマさんが気を失ってる間にパーカーの血を見たおふたりが大急ぎでこの病院に運んで…それでお医者様が麻酔をかけて……」


「……どうして傷を確認しなかったんだ…」


「……すみません。私が言いそびれてしまって」


「エルのせいじゃないよ」


 そう言って手をひらひらとする。

 すると申し訳なさが増大してしまったか俯いてしまった。


「あぁ……その…なんだ…それ食べれないから冷蔵庫入れててくれ」


「あ…あの……」


「ん?」


「私が……私が食べさせてあげます」


「いや……別にいいよ。あとで自分で…」


 そう言ってどうせ動けないのならともうひと眠りしようと目を瞑ると「……はいどうぞ」と聞こえたので目を開けると、そこにはみかんが一粒乗っていた。


「……あ…あーん」


 目を伏せながら恥ずかしそうにこちらにスプーンを差し出してくるエルに「いい、自分で食べる」とは言い出せずに結局食べさせてもらう事になった。

 実は、結構。いや、だいぶ恥ずかしい。歳下の少女に物を食べさせてもらうというのは男として、歳上として何か大事なものが失われている気がする。

 気の所為にして次々と口元に運ばれてくるフルーツを小鳥が親鳥に餌を与えられるが如く口に入れてもらう。


「……ごちそうさまでした」


「お粗末様でした」


 なんだか機嫌が良さげなエルがいつもの無表情に淡い微笑を浮かべていた。

 

「お。起きたんすね隊長」


「おはようございます隊長。気分はどうですか?麻酔勝手にやってすみませんでした…」


 恥ずかしくなって手で顔を隠しているとあの2人が部屋の扉からひょこっと顔を出していた。

 茶髪の少女は俺の怪我も確認もせずに麻酔を打ったことを反省しているみたいだった。

 その二人は俺とエルを一瞥すると俺のベットの横の椅子に座った。


「少しボーッとするが大丈夫だ。ありがとう」


「そうですか……あ、自己紹介してませんでしたね。俺はタクミです。んでこっちの茶髪がスミカです」


 一瞬少年の方が笑ったがすぐに痛みを我慢するかのような表情を顔に浮かべた。

 スミカと呼ばれた少女ががニコニコしながらこちらに手を振るがそのあとやはりタクミと同じ様な表情をした。


「……どうしたんだ?」


「いや…その……本当に私たちのこと覚えてないんですよね…?」


 エルに俺が記憶が消えたことを聞いたらしい。

 何かに縋るような目で2人は俺の顔を覗き込んでくる。

 でも、言われてみれば何処かで見た事があるような……ないような。

 だがなかなか思い出せない。でも…何か引っかかる。


「悪いが……まずなんで隊長と呼ばれているのかから教えてくれ」


「……隊長…じゃなくてその…」


「ショウマでいい」


「じゃあショウマさん。なんだこれめちゃめちゃ変な感じしますね…やっぱり隊長で」


「好きにしてくれ……で、どうして隊長なんだ?」


 別にどっちでもいいのだがいい慣れているのかタクミは隊長と言い直した。

 一体俺はなんだったんだろうか。

 正直な話をすると過去のことを思い出すのは怖い。

 もしかしたら自分は何か良くないことをやっていた人間かもしれない。人を殺した事があるかもしれない。

 だが、それでも、それゆえに。知らないわけにはいかない。自分のあるかもしれない罪を忘れて生きるのは嫌だ。


「それは……隊長が俺たちの隊の隊長だったからです」


「……それは俺が忘れている過去の話か」


「……そうです」


「聞かせてくれ。俺が一体誰で、何をしていた人間か」


「…長くなりますよ」


「構わない」


「じゃあ俺が…いや俺たちが始めて隊長と出会った頃からお話しします」


 


 


 


 


ショウマ

性別 男

身長 168cm

体重 58kg

血液型 B

誕生日 8/21

特技 中距離射撃 接近戦

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