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逆行(2段階 技能教習2と3)

 2017年11月29日。技能教習2。

 2段階に入ってからは、ずっと利用していなかった『指名』をすると決めていた。わざわざ嫌な思いをしてまで1段階で指名を利用しなかったのは、色んな教官の意見を聞いておきたかったから。

 路上に出ると今まで以上に神経を使うことになる。これまでのように運転中、嫌味を吐かれまくったらどうなるか。答えは自分でもわからない。ただはっきりとしているのは、そのような状況に陥れば確実に悪い方向へと進むということだけだ。そんな最悪な事態を避ける為にも、指名は利用していくべきだ。とはいえ、1段階で一緒になった教官は嫌味な教官ばかりの印象で、指名したいと思える人を見つけられないでいた。

 今日も嫌味な人と一緒なのかなぁ。

 教習開始前、憂鬱な気持でロビーで待機していると、この日担当の教官Aさん(以降『Aさん』と記載)に名前を呼ばれる。

 Aさんは物腰の柔らかい男性の教官で、初めに挨拶を交わしただけで僕の緊張は幾分かほぐれた。

 この人なら落ち着いて運転できるかもしれない。

 良い予感は的中。前回は初めての路上ということもあり、焦りと恐怖に圧され、曲がる時以外は後方まで見ている余裕がほとんどなかったが、今回は多少冷静になり、後ろの状況に目を向けられるだけの余裕も生まれてくる。しかし、相変わらず発進してすぐの加速は苦手で、新たに『逆行』という問題が出てきてしまう。

 マニュアル車の場合、少しでも道路が傾いていると、ブレーキを離した時に車体が後ろに下がってしまう。平坦な道路に見えても意外と斜めっているので油断はできない。

 先に学科をほぼ全て終わらせていたので知っていたが、どれだけ後ろの車が車間距離を詰めていようと、後退してぶつけた車のほうが罪に問われるらしい。なので、これだけは避けなければと思うのだが、逆行してしまう。『なんで下がるんだ?』とか『下がる場所はどうやって判断すれば良いんだ?』とか運転しながら思うのだが、とにかく周りに迷惑かけないように運転するのに必死で、教習中に浮かんだ疑問も終わる頃には忘れてしまい、結局Aさんに訊けないまま教習所から離れ、家に着いてから思い出す。

 あぁ、なんで今頃思い出してんだよ。訊けばすぐにわかることじゃないか。でもまあ良いか。教本かネットで調べれば分かるだろ。

 確かに調べればわかるのだろう。しかし、嫌いな車のことを積極的に調べる気は一向に湧かない。故に陥る後回しに次ぐ後回し。結果、あくる日に次の教習を受ける時にはすっかり昨日の疑問を忘れて同じミスを繰り返す。

 この日も担当の教官はAさんで、走ったコースも1だったのだが、前回から進歩したことといえば加速チェンジがスムーズに行えるようになったくらいのもの。再び逆行を繰り返し、教習終了後に訊き忘れるところまで再現。他に進展があったことを強いて挙げるなら、『Aさんなら指名したい』と思えたことだろうか。

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