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「登録できるけど、他の神々も利用できるようになるにゃ」
《・・・そうでした。『アカシックレコード』とはそもそも共有システムでしたね。別に使ってもらってもよいのですが、直感プログラムが警告を鳴らしていますね。
ふむ・・・ではこうします。全回復法の要となるユニークスキル『魔素増幅』『魔素活性化』を偽装して『身体強化亜種1』『身体強化亜種2』で登録しましょう》
「まてまて、神々を騙すのか?そんなことできるのか?」
《できるもできないも、すでに偽装データを読み込ませてミューズを産み出しているではないですか。それに騙すのは神々ではなくシステムです》
「・・・そういうことになる?のか?」
《大丈夫保障します。システム的には問題ないですし、星の数ほど登録され続けている金型の一つ一つをチェックしている神などいません。話を戻しますがルル、名とその他の要望は?白ネコでオス以外に》
「名前は・・・まかすにゃ。他の希望もないにゃ」
《それともう一つ。自我の在り方です》
「あぁそうだな。自我を得ないと境界を出られないんだった。ミューズの時はどうだったっけ」
《魔獣の意識の根底に刻み込まれている『人と敵を襲え』という行動基準を『リクを主人とし尽くせ』に書き換えました。今回は『ルルを主人とし寄り添え』でしょうか》
「まつにゃ。僕はいらにゃい。友だちがいいにゃ」
《わかりました。『親友のルルと共に生きる』でいきましょう。ではルル、『身体強化亜種1』『身体強化亜種2』を登録しましょう》
「時間めちゃかかりそうだけど。1ケ月とか1年とかじゃないだろうな?」
《すぐです。アカシックレコードのリソースを集中させますので》
「なんでそんなことできるんだよっ」
《登録を申請して作業開始したらリソースが割り当てられます。そうしたらリソースが未だ割り当てられていないという偽装を施します。そしてまたリソースが割り当てられたら同じことを繰り返します。神のシステムの中でも最高峰のアカシックレコードのリソースが集中するのです。早いに決まってます。ドッペルゲンガーシステムとは格が違いますね》
「なぁルルよ、アイさん大丈夫かな。天罰でももらうんじゃないかな」
「平気にゃ。しらんけど~」
「まて。その言い方誰に教わった?」
「ミューズにゃ」
「こらーーミューズ、変な事おしえるなよ」
「最後に付け足すだけで、全ての責任から逃げにゃれる魔法の言葉にゃ」
それからオレ達は転移を使って最下層から1層、1層から10層へ飛んだ。ミューズが誕生した時と同じ手順を進めていく。オレはまた寝かされたよ、ハハッ。起こされた時にはすでに白いネコが部屋の中央にいた。
《今はわたしの完全制御下にあります。解放して自我を芽生えさせますよ》
「おぅ!」「はやくはやくぅ~」「にゃ~ん」
《では目覚めなさい。あなたの名前はロロです》
アイが宣言した瞬間。意志が感じられなかった白ネコの目に、まるで光が灯ったかのように生気が走る。その白ネコは一回大きく伸びをした後、自分と周りの状況を確認しているようだ。
「・・・吾輩は猫であるか」
「なんか微妙なセリフきたーーー」
「おとこの子というよりおじさまの声ですねぇ~」
白ネコ・・・ロロはゆっくりとルルに近づいて傍で止まる。オレ達はそれを黙って見守る。
「ルル殿、ご機嫌いかかであるか。わたしはロロ、これからよろしくお願いする」
「ルルにゃ。こちらこそにゃ」
「ルル殿の毛並みは大変美しい。深い闇を纏ったベルベットのようですな。それはともかくあそこの人族どもは何者でしょうか」
「ロロを産み出してくれた人にゃ」
「・・・素性は知らぬが礼を言わねばならないようだ。ロロだ。そちらは?」
「紳士と武士を足して2で割った感じ?あ、オレはリクね、よろしこっ!」
「さいしょに毛並みをほめてましたょ。すてきすてき~じぇんとるまんにはくしゅ~」
《その女性型の人族はミューズといいます。幼女はアルル。見えてないかもしれませんがわたしはアイ。色々お話がしたいのですが取り急ぎ最下層へ飛びましょう。ルルよいですか?》
最下層へルルの力で飛んで話しを再開する。
《続けますね。リクに接触すると私であるアイと高速でやり取りできます。ここまでの経緯と自己紹介を兼ねてやってみましょう。マスター、ロロに触れてください》
「お~、ルルに劣らずかわいいぜ~、よーしよしよし。なでなでだ」
「むぉっ、いきなり何をするっあぁなんだこの人族の感触はあわわわ」
「さっそくリクの洗礼をうけたにゃ」
「アルルもやって欲しいにゃ」
「オレをベースにしてるのに、魔素視で見るとロロはルルそっくりだな」
《・・・マスター、本当によく視えるようになりましたね。たしかに偽装データはルルの物を多用してます。これはもはや鑑定レベルといっても過言ではないのでは》
「えっマジ?うおおーーやったぜ!スキル欄に載る?ってゆうか載せて?」
《まだ駄目です。練度が足りませんしもう少し他のパラメーターも見えるようになってください。ですが将来的に載せる事はほぼ確定でしょう》
むふぉぉぉーーー!ついに、ついに鑑定まで手に入れてしまったか。いやわかってる、まだ全然だって言うんだろ?練度が~とかさ。でもキッカケは手に入れた。最初の一歩は踏み出したんだ。あとはレベル上げと同じでひたすらスキル上げすればいい。
ゲームでやったことない?ある程度の時間キープできる敵を用意して、ひたすら対象スキルを無駄に使い続けるみたいな事。製作系のスキルなら素材を山ほど用意してさ~。
何十回に一回XXスキルが上がった!的な表示みて一喜一憂するのよ。たま~に2回連続でスキルがあがって脳汁ブシャーーってさ。
とにかく今後もスキあらば魔素視を使って観察していこうかなって思う。あれ?これなんかアイっぽくない?似てきたのかな。いや違うか。
アイとロロの接触通信は終わったらしいな。すこしロロと話して見るか。
「ハァハァハァ・・・リク殿、貴殿はなんなのだ。本当に人なのか?その身に纏っているオーラは尋常ではない。悪い影響はないようだが某には刺激が強すぎるのだ」
アイと通信している間ずっとオレに抱かれてナデナデされていたロロは、今は解放され床に倒れて青色吐息だ。ネコが疲労困憊で倒れてるこの姿、ちょーかわいいな。ぐでぇーって感じの。
さっそくミューズが忍び寄って捕獲しようとしてるな。
「アイが甘露でマタタビって言ってたことあるなぁ。なんかオレの魔素がそれぐらいウマイらしいよ」
「そのとおりにゃ。リクに抱っこしてもらえば完全にキメられるにゃ」
「某には無理だ。それならそこの人族のメス、ミューズ殿と言ったか。貴殿の方が落ち着くよいオーラだ。リク殿と似たオーラだがもっとあっさりしている」
「わっわっ、わぁ~~。初めてもとめられましたぁ~。いつもミューズはいらない子だったのにぃ。ロロちゃんいいこ~なのです」
「そ、そうか。喜んでもらえたなら幸いだ。話は変わるがルル殿と皆はここで何をしておるのかな?ルル殿はここに留まっているというような説明も受けたが、ここには何もないように見える。
ここはひどく殺風景である。いやダンジョンの知識はあるのでそういう物だということはわかっている。それにしてもひどい有様だ」
《そんなロロに良い提案があります》
「そなたはアイ殿?であったかな。うかがおう」
《確かにロロの言う通りここには通路以外なにもありません。しかし変更することができます。森が欲しければ森を。川が欲しければ川を。自然や風景だけではなく様々な物品も用意できます。例えばちゅるちゅるなどいかがですか》
「ちゅるちゅるについては寡聞にして存じ上げないが、景色など変えた方が良いであろう。逆に問おう。なぜ変えておらぬのかと」
《ソコですっ!変更にはコストが必要なのです。しかもそのコストがとても高いのです》
「それは致し方あるまい。自分の手の届く範囲の物を自分の気持ちに従って無理なく手にいれるのが筋であろう」
《至言です。そこでロロの出番なのですよ》
「・・・説明いただけるかな?」
《簡単です。そのコストをロロは産み出せるのです。この殺風景な場所を変えるため協力してほしいと考えています》
「ロロ、ボクからもお願いするにゃ」
「ルル殿に言われては否もない。某はどうすれば?」
《マスター、全回復法を指導してください》
「ちょっ、むちゃぶりだろ~。魔素は視えないんだろ?どうすんだよ~」




