第67話「星と核の最終決戦」
赤と青のオーラが空を裂き、世界そのものが震えていた。
燃え落ちた大統領公園の中央で、カードとアバマは互いに距離を取り、荒い息を吐きながらも視線を逸らさなかった。
全米リカ中のモニターには、その姿が生中継されている。人々は祈り、息を潜め、二人の大統領の行方を見守っていた。
「……カード」
アバマが静かに言葉を紡いだ。
「どうやら次で決着がつくようだな」
「まったくだ……」
カードは口元を歪め、胸を張る。
「この戦いに勝った方こそ、真の大統領。負けた方は、ただの過去の人間だ」
アバマがゆっくりと両腕を前に出した。掌の間に青い光が生まれ、螺旋を描いて集まっていく。
「ブルー党にのみ伝わる必殺技を見せてやろう……この力の前ではすべてが塵だ」
光は次第に強くなり、空気が震え、周囲の瓦礫が浮き上がる。
アバマの声が低く響く。
「アトミック……フォース!! 」
轟音とともに、青白いエネルギー波が前方へ解き放たれた。
それはまるで小型のビッグバン。周囲の大地を抉り、爆風が木々を吹き飛ばす。
カードも動いた
「ならばこちらも、レッド党の誇りを見せてやる! 」
両腕を前に突き出し、掌の前に真紅の光を集める。背中の五十の星が次々と点滅し、鼓動するように輝いた。
「フォフティ・スター……バースト!!!」
真紅の光線が唸りを上げて放たれる。
赤と青の光が空中で激突した瞬間、天地が割れるような衝撃が走った。
轟音。
閃光。
地面が裂け、衝撃波が何キロにもわたって広がる。
エネルギーの奔流は互いを押し合い、中央で拮抗していた。
赤と青の境界線が揺れ、どちらが勝つとも言えぬ状態が続く。
…………
「ぬうっ……!」
カードの額に汗が滲む。
アバマも歯を食いしばり、両手を突き出して力を込めた。
だが次第に、青の光が優勢になり始める。
「HAHAHA! どうしたカード! 核の力は無限だ! 」
アバマの声が響く。
「お前の星など、ただの幻想! 国民の希望など、原子の力の前では無力だ! 」
青の波動が押し寄せ、カードの足元の地面が砕ける。
「ぐっ……! 」
カードは方膝を地面につけ必死に耐えながらも、少しずつ押されていく。
そして背中の星のマークが一つずつ消えていく……
星が最後の一つになった瞬間、
アバマの笑い声が響いた。
「終わりだ、カード! 貴様の時代はここで終わる! 」
その瞬間……
遠くで、モニターを見つめる米リカ国民たちが立ち上がった。
「カードさん! 負けないで! 」
「信じてます! 」
「星条旗の星は、私たちの誇りだ! 」
各地で、声が上がった。
祈り、叫び、拳を握る人々。
老若男女を問わず、国中が一つになり、空を見上げていた。
その声が、光となって流星のように、天からカードのへと降り注ぐ。
カードの背中に輝く五十の星が、次々に眩い光を放ち始めた。
「な、なんだと……? 」
アバマが目を見開く。
カードが顔を上げ、強く叫ぶ。
「私は一人で戦っているわけではない! 」
「私の背中には、国民の思いがある! 」
赤い光が再び燃え上がり、エネルギー波が盛り返す。
「この星々は、私を信じる者たちの象徴だ! 支持者がいる限り、私は負けない!! 」
その瞬間、赤いエネルギーが爆発的に膨れ上がった。
「フォフティ・スター・バースト・マキシマム!!! 」
光線が青の波動を押し返し、逆流のようにアバマへ迫っていく。
「な、なにっ!? そんな馬鹿な、私の核の力が……! 」
アバマの体が光に包まれ、爆風が彼を飲み込んだ。
衝撃が収まると、そこには地面に倒れ込んだアバマの姿があった。
衣服は焦げ、オーラは消え、彼は力尽きたように動かない。
カードはゆっくりと歩み寄る。
焦げたスーツを羽織り直し、静かにアバマの前に立った。
観衆の声が遠くで響く中、カードは冷たく言い放つ。
「アバマ……お前は、クビだ」
沈黙。
風が吹き、焦げた地面の上で二人の大統領の戦いは終わりを告げた。
アバマの能力で変身していた人たちも元の姿に戻る。
モニターの向こうでは、歓声と涙が入り混じっていた。
「勝った……! カードさんが勝った! 」
「星が、私たちを守ってくれたんだ! 」
カードはゆっくりと空を見上げた。
夜空には、彼の背中のように五十の星が輝いていた。
……そして、米リカの新たな夜明けが始まろうとしていた。




