第41話『バナナ、甲羅、そしてキノコの謎』
炎天下のゴーカートサーキット。
遠く観客席からは観戦客たちの歓声が渦巻き、風に乗ってカードの耳にも届いてくる。
「まるであのゲームの世界そのものだな……」
カードは眉をひそめつつ、スピンから立て直した愛機のゴーカートを再加速させた。
エンジンが吠え、風が頬を切る。
(ふざけたレースだが……負けるわけにはいかない)
再びカーブを華麗に攻め抜きながら、前方のライバルたちに目を凝らす。
甲羅の亀人間、巨大ゴリラ、そして先頭を行く赤帽ちょび髭の中年男。
そのとき……
コースの先、黄色い矢印が地面に描かれているゾーンが現れた。
「何だあれは……! 」
中年男、ゴリラ、亀人間の3台が黄色い矢印の上を滑るように通過すると……
「ゴオオオォォ!! 」
突如、加速ブーストが発動し、3台のスピードが跳ね上がった。
「なるほど……あの矢印、加速装置か! 」
カードは直後、自らも矢印ゾーンに乗る。
「……ふん! 」
ゴーカートの車体がビリビリと震えた瞬間、カードの視界がブレるほどの加速が走った!
「これは……面白いな」
地面に描かれたギミックを最大限に活用し、カードは風のように再び先行する3台へと迫る。
甲羅の罠!
次なるカーブで、カードはついに甲羅の亀人間の真後ろに迫る。
亀人間は振り向くと、邪悪な笑みを浮かべ……
「カメカメ~~~!! 」
バシッ!!
手元から放ったのは、緑色の硬そうな甲羅だった!
「っ……!! 」
カードは即座にステアリングを切り、ゴーカートを右へスライド!
甲羅はカードのギリギリの位置をかすめて通過し、ガードレールに当たって砕け散った。
「遊びが過ぎるぞ」
そう吐き捨てたカードだったが、その瞬間……
「カメエエエェェ!! 」
今度は赤い甲羅を取り出して、亀人間が投げてきた!
「赤か……まずいな」
飛来するその甲羅は、自動追尾型。カードの動きに合わせて軌道を修正しながら迫ってくる。
(さすがにこれを避け続けるのは……)
すぐさま、前方に目を向けると、やや減速したゴリラの背中が見える。
「……借りるぞ!」
赤い甲羅がカードの真後ろに迫ったその刹那、カードはカートを右にスライドさせて横へ脱出!
「ブオオオォン!! 」
後ろから飛来した赤い甲羅は、カードの代わりに前方のゴリラの背中へ直撃!
「ウホアァァッ!! 」
ゴリラは雄叫びを上げながら、豪快にスピンして横転した。
土煙が舞い上がり、観客席からは驚きと興奮の混じった大歓声が沸き起こる!
最後のライバル、中年男との一騎打ち
「これで残るは――」
カードの視線が、先頭を独走する赤帽の中年男に向けられる。
そのとき、中年男は前方に設置された浮遊ブロックへ、明らかに狙いを定めて突進した。
ブロックの表面には……「?」のマーク。
「っ、まさか! 」
ブロックに触れた瞬間、男の頭上に光るカプセル状のアイテムが浮かび上がり、
パッと弾けるようにして、赤いキノコが中年男の手に収まった。
「ヘヘッ、マシマシだッ! 」
中年男はそう叫び、キノコを丸呑みする!
すると次の瞬間……
「ドオオオォォンッ!! 」
中年男のゴーカートが、爆発的なスピードで加速した!!
「っ、馬鹿なっ……!? 」
見る見るうちに引き離されていく中年男の背中。まさに異常な速度だった。
「なるほど……『?』の箱に触れれば特殊なアイテムが手に入るというわけか」
カードは静かに、しかし確実に戦況を分析する。
(ならば私も手に入れてやろう……勝つために)
観客席の歓声が最高潮に達し、決着の気配が漂う中……
カードは「?」マークのブロックへ向けてハンドルを切る。




