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某国大統領、異世界転生する。  作者: シンジ


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40/60

第40話『ゴーカートグランプリ開始!』

 澄み切った青空の下、観客席からは大歓声が響いていた。

 ゴーカート場の中央には、赤白のチェッカーラインが引かれたスタートライン。

 その脇に設置されたデジタルパネルが、カウントダウンの準備を始める。

 カードは指定されたゴーカートに乗り込み、ダック人間の誘導でスタート位置へと移動した。

 彼が乗るマシンは黒を基調としたシャープなデザイン。

 フロントにはセルフファーストのロゴマーク。ハンドルの握りも悪くない。

 エンジンは静かだが、整備は行き届いており、性能も申し分なかった。

「……意外と悪くない乗り心地だな」

 シートに背を預けながら、カードは周囲を見回した。

 そこには、他の参加者3人のゴーカートが並び始めていた。

 カードは目を細めて、その姿を確認する。

「……なっ……!? 」

 そこにいたのは……明らかに見覚えのある、異様な面々だった。


 あの世界からの刺客たち?

 1台目のカートに乗るのは……

 赤い帽子に青のオーバーオール、ちょび髭をたくわえた中年男。

 丸い鼻と笑顔の奥に、不気味な執念を感じさせるその目。

 2台目は……

 たくましい筋肉を誇る巨大なゴリラ。

 首にはネクタイを巻き、咆哮を上げながらタイヤを鳴らす。

 3台目のドライバーは……

 棘の生えた甲羅を背負う巨大な亀人間。

 怒気を孕んだ瞳と豪快な笑い声を響かせながら、地を踏み鳴らしていた。

「……おいおい、なんだこれは。まるで某国民的ゲームの世界じゃないか」

 元の世界で見覚えのあるキャラクターたちに、カードは一瞬あっけに取られる。

 だが、すぐに冷静さを取り戻し、ハンドルを握り直した。

(どんな見た目だろうと、所詮はレースだ。勝つのは私だ)


 レース開始!

 デジタルパネルが赤から黄色へと変わったその瞬間……

「ブロロロロロッ!!! 」

 カード以外の3台のカートが一斉にアクセルを吹かし始める!

 タイヤが唸り、ゴーカートが振動し、エンジン音が空気を切り裂く。

「おい……まだ青じゃないぞ? 」

 カードは一瞬戸惑うが、すぐにその行動の意味を読み取った。

(……黄色のうちに加速準備を終える仕組みか。反応が早い)

 そして……

 青のライトが点灯した瞬間!

「ドオォン!!! 」という轟音と共に、3台が猛烈なスピードでスタートを切った!

 まさにロケットのような加速。観客の歓声が爆発する。

「……ほう、なるほど。何か仕掛けがあるな」

 カードはエンジンを吹かし、やや遅れてスタートする。

 しかし冷静だ。彼の武器は圧倒的なコーナリング技術と状況把握力。

「慌てる必要はない。私は私の方法で勝つ」


   追い上げ開始!

 コースは上下の立体構造を持ち、ヘアピンカーブやジャンプ台もある複雑な設計。

 3台が先行する中、カードは一つ一つのコーナーを精密なライン取りで切り抜ける。

 タイヤは滑らかに地面を捉え、最小限のドリフトでスピードを維持したまま、次々とライバルに迫っていく。

 やがて、視界の先にゴリラの背中が見えてきた。

「追いついたぞ……! 」

 しかしその瞬間……

 ゴリラが振り向き、バナナの皮をカートから投げ捨てた!!

「なんだとっ!? 」

 前方に飛んできた黄色い物体に、カードの反射神経が反応する。

 しかし、すでに間に合わない。

 タイヤがバナナの皮を踏んだ瞬間……

「ギュルルルル!! 」

 ゴーカートがスピン!

 コース外まで吹き飛ばされるかと思われたが……

 カードはハンドルを逆に切り、足でブレーキをかけ、反動を利用して体勢を立て直した!

「ふん、くだらん妨害だ」

 ブレーキの煙を立ち上らせながら、コースに復帰するカード。

 その目には、かすかな笑みと共に炎のような闘志が宿っていた。

「面白くなってきたじゃないか・・・夢の国のキャラごっこども」

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