仲良くなってもいいよね?
………グラリエルスさ…ん?
「ぐりゃりえりゅしゅしゃん、これは、どーしゅりゅの?」
「ん?あぁこれは、こうしてこうすればいい。」
「なりゅほどー。」
父、母、ついでに兄の不在の9日目、今日までの予定だった外出禁止令が解除され〈たぶん昨日グラリエルスさんが周囲を調べてくれたため〉今日はグラリエルスさんの農作業を手伝っているのだ。
ちなみに、初めに手伝いたいと言ったら、パメラさんとは違い心底嫌そうな顔をしたグラリエルスさんだったが、やっぱり根が良い人?なのだろう、ボクを指導しながら一緒に謎の野菜の苗をプランターから畑へと植え替る作業をやっている。
しかし今日は日差しが強い。
雨もめったに降らないため基本的に晴ればかりなんだけど、今日は特別に嫌がらせのような暑さだよ。
なんて考えていると。
「お嬢、少し休むぞ。」
「うん。」ふぅ…
ナイスなタイミングで休憩を入れるグラリエルスさん、さすがだぜぃ!
ボクは休憩のため木陰に移動して地面にぺたんと座ると、グラリエルスさんが飲み物を持って来てくれた。
「ほら。」
「ありがとーございましゅ。」
「ふん、お前に倒れられると後々厄介だからな。」てれり
そう言いながら、ぷいとそっぽを向くグラリエルスさんが、なんだか可笑しくてクスリと笑ってしまう。
ボクはそんな笑いをグッとこらえながら、飲み物が入ったコップを受け取り、渇いた喉を潤すため半分程、一気に飲んだ。
すると、スポーツ飲料にミントを合わせたような爽やかな味わいが火照った体を冷ましていき、そよ風も手伝って汗がだんだんと引いていく。
初めて飲む飲み物だけど、何が入っているんだろ?
「ぐりゃりえりゅしゅしゃん、これなにが、はいっていりゅの?」
「あぁ、それにはな---
そうやってグラリエルスさんはボクのそんな疑問に素直に応えてくれる。
基本的に農作業を主としているためか、グラリエルスさんは野草や薬草、更に毒草は勿論の事、益虫や害虫、おまけに毒を持つ生物等に非常に詳しく、こうした休憩の時だけでなく作業中の合間にも、ほんのわずかなきっかけさえあれば色んな話をしてくれる。
見た目から勝手に寡黙なイメージをしていたけれども、それは間違いだったようだね。
うーん、ここ最近ツンデレの事も含めてグラリエルスさんの以外な一面が発掘されていくな…。
はっ!もしかしたらパメラさんにもボクが知らない一面があるのでは!?
………なんだか知らない方が良いような気がするのは気のせいだろうか………?
てゆーか今考えると、何でパメラさんとグラリエルスさんの仲は不仲なんだろう?どっちも良い人、もとい良い悪魔なのに…。
「うーん。」
「お嬢?」
「!、なーに?」
おぉっと思考の波にのまれていたようだよ、危うく沈没するとこだったぜぃ!フヒヒ。
「さっきから唸ってたが、お嬢には、まだこういった話は難しいようだな。
さて、作業を再開するか。」
「う、うん。」
話を聞いてなかったとは言えなかったボクは、そういう事にして作業を再開した。
ごめんねグラリエルスさん。
…
……
…………
「そろそろやめるか。」
「うん。」ふぃー
太陽が傾きかけ、空が夕焼け色に染まろうかという時、グラリエルスさんの、その一言で今日の作業が終了する。
ぐぁぁ、つ、疲れた~、…こりゃ明日筋肉痛になってるかもしれないよ(泣)。
…悪魔が筋肉痛ってなんか笑えるな、なった本人は笑えないけどね。
だけど本当に疲れた…、ちょっとだけ休もう。
そう考えたボクは、その場に座り込み、軽い溜め息を吐いた後、知らない間に簡単に睡魔に負けた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「すー、すー、ふひひ、むにゃむにゃ…。」
「ん?さすがに疲れたようだな…、しかしこんな所で眠るなんぞ風邪ひくだろうに、まったく…。」
グラリエルスは、そう言いながらも、自分が仕えし主が愛娘の振りまく愛くるしい寝顔を微笑ましく見ていた
。
………が、急にその顔がくもりだす。
………そして---
「こんな娘を殺さなければならない、かもしれんとはな…。」
自分の中にある何とも言えない感情が少しだけ、ほんの少しだけ、微風と区別が付かないようなそんな言葉で表に出てくる。
しかし今こんな事を考えても意味がない、と思ったグラリエルスは、目の前にある小さな身体、小さな命を優しく抱き上げ帰路についた………。
暫く
ほのぼのなんてくそくらえ!
みたいな感じに?
なればいいな…。




