はじめての魔法でもいいよね?
はじめて~の、まほ~♪
「まほーが、つかえないなんて…。」
魔法が有る世界で、ボク1人魔法が使えないなんて………。
あれからボクは、藁にもすがる思いで《初級魔法~基礎編》を読んでみたが解った事は3つ。
1、自分の魔力を初めて感じ取ると、魔力の蓋が取れ周囲の魔力も感じ取る事、つまり魔力探知ができるようになり、これは特殊性のある場所や、魔法による阻害が無ければ滞りなく使える。
そして、この魔力探知の距離や形は持って生まれた才能に依存するため、訓練等で魔法技術が上がっても変化する事はない。
それから魔力の蓋を取ると、逆に探知され易くなってしまい、これを緩和するには魔力の蓋を再度閉めるのが1番だが、魔力の蓋を完全に閉めるには、かなり高等な魔力操作の技術が必要となってしまう。
2、全ての魔法はやはり魔力の放出が必要で、放出した魔力に術式を刻んだり、既に刻まれた術式に吸い込ませたりして発動する形のため呪文という概念が無いとの事。
だが例外として、歌により契約者を使役する声術師と言う一部の契約魔法は、呪文が必要とも言える。
そして意外な事に肉体強化形魔法ですらも例外なく、放出した魔力の術式変換が必要となるらしい。
3、1人が内蔵する魔法の種類は、2~3種類で多くても5種類程だが、多くの人が複数の魔法を覚えるのでは無く、1~2種類の魔法を特化させる傾向にある。
しかし7種類全ての魔法を持ち、それら全てを特化させた人物が1人だけ居るようで、その人物が一度暴れると災害レベルだと畏怖されているって話だ。
ちなみに魔法を7種類全て持っている人物は今までに十数名いるらしいが、そのほとんどがやはり1~2種類しか特化させていないらしい。
これらの情報を知って、ボクが1番ギョッとしたのは魔力探知の事だ。
一瞬パメラさんにバレたかもしれないと思ったけど、どうやら、ここが特殊な場所らしく、こちらからもパメラさんの気配は感じ取れない。
ただ単に、ボクの魔力探知能力が低いだけなのかもしれないのでは?とも考えたけれど、パメラさんが来る様子もないので、ここは特殊な場所で間違いないようだ。
そして肝心な魔力の蓋は、きっちり閉める事が出来た事から、どうやらボクは魔力操作が得意なようだ、やったね。
それから調べた結果、ボクも7種類の魔法を持っていて、かなり喜んだけれども、ぶっちゃけ魔力放出すら出来ないから意味がない。
…くそう。
そしてこの3つの情報以外は、簡単な術式が書いてあり今のボクには無縁な内容だったが、一応全部に目を通した。
…
……
……
ボクは《初級魔法~基礎編》を読み終えた所で、ある疑問が浮かび上がった。
それは肉体強化形魔法の事だ、この魔法も他の魔法と変わらないと書いてあったけど、ハッキリ言って効率が悪すぎるんじゃあないだろうか?
他人を強化するならまだしも、自分自身を強化する場合ですら。
魔力放出→放出した魔力に術式を施す→術式変換された魔力を自分の中に戻す。
と言った行程なのだ。
ボクは、わざわざ放出せずに、自分の中で術式を組んでしまえばいいのでは?と考え。
これがボクが魔法を使える希望ではないのかな?と思った。
な・の・で・♪
「ちょっと、やってみりゅかな!」
という訳で早速ボクは、本に書いてある肉体強化形魔法の1つである筋力強化の術式を、体の中の魔力に組み込む。
そして、さぁ発動だ!と言いたかったけれども、使った魔力が全体の4分の1だった事から、全身を強化しても違いが分らないのでは?
とのことで、右手だけに術式変換した魔力を込めるが。
「みために、へんかなし…。」
パッと見て、あまりにも変化が無いから、若干不安になるね…。
なんかこう、ぽわわ~っと光ったりするかなと思ったけど、期待外れだよ…。
ボクは、あまりにも不安だったため、その辺に落ちている石ころを拾い、それを左手で硬さの確認をしてから、右手に握り替えて力を入れる。
「てい!」
“ばきゃ!”
と音を立て、石ころは、いとも簡単に砕け散った。
………のはいいのだけれども。
「いっ…!」
砕けた石片が手の平のあちこちに突き刺さり、右手が血みどろになってしまったのだ…。
本来なら魔法の成功に「やった!」と、喜びの言葉が出てくる所なのに。
今は血みどろの右手に「いたい…」と、痛みの涙が出てくる。
しかし頭は冷静に、「筋力強化だけじゃなく、防御力強化もやればよかったよ(泣)。」なんて考える余裕もあったりして(笑)。
…………くそう、…ふざけてみたがやっぱり痛い、痛すぎる事この上ないって感じ。
ボクはあまりの痛さに、パメラさんに治療して貰おうかとも考えたけれど、また外出出来なくなるのを防ぐために、自力で何とかする事に。
とりあえず、青魔法の特性である沈静で痛みをしずめ、白魔法の拒絶で突き刺さった石片を取り除いてから、赤魔法の活性で回復力を上げてみる。
“シュウウゥゥ…”
「おぉー!」
すると、少しづつではあるが傷が塞がっていく。
なんか感動するね!
“シュウウゥゥゥゥゥ……”
「……いがいと、じかんが、かかりゅな…。」
そこでボクは、回復力を活性している魔力を活性してみる。
まぁ思いつきだから成功したら良しとするか、とあまり期待してはいなかったが…。
“シュゥン!”
「おお!」
あっという間に傷が無くなる。
すげぇ、魔法すげぇ、まじすげぇ。
手を握ったり開いたりしても、全然違和感が無い、これが魔法なのか!
と、なんだか斜め右な魔法で喜んだボクだった。
ちなみに、これで魔力が空になったボクは、お腹がすいたついでに外を見ると、ちょうどお昼ぐらいだったため、ご飯を食べに家に帰った。
今日のお昼は何かな?
叱咤激励ください…。




