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休息ファンクラブ  作者: ゆるうる


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5/8

5話 バレちゃった

次の日。いつも通り登校し、下駄箱で靴を履き替えて教室に向かったのだが。


「今日は3限に体育でその後数学だな」

「クソな時間割の日や...」

「俺絶対寝るわー」


クラスの陽キャ3人が僕の机の周りに立っており、幸いにも椅子には座っていないが僕の後ろの陽キャの席の周りにいるせいで座りづらく、「ごめん」の一言ですら言いづらい。どうしようか。


「......」

結局、無言で近くに行き椅子に座った。座ってスマホでもみてれば気にならないし。

嫌なやつかと思われたかもしれないが、どうせ朝礼が終われば体育館倉庫...じゃなかったあの空き教室に行くし関係ない。


「おいーっす」

担任である名前おもしろ先生が入ってきた。


「出席取るぞー」

クラスの名簿を読み上げていき、そのまま今日の時間割やら予定やらをすらすら言っていく。


「それと、朝川さんはこの後来てちょ」


「わかりました」

昨日の件で親交が出来てしまった朝川歌乃(あさかわ かの)の名前を呼んだ。何かやらかしたのだろうか?

いや委員長なんだからそんなわけなくて、おおよそ僕のことだろう。

高橋先生に頼まれたから、と言っていたしな。


朝礼が終わり、大体の生徒は授業の用意をしながら友達と駄弁ったり、用を足しておいたりするだろう。

ー限は古文らしいがそんなのをお構いなしに立ち上がる。


朝川さんの方を向くと、担任と会話している様子が見て取れた。

まぁ話の内容が僕のことでも僕は関係ないのでとっとと第二の絶対領域に向かおう(矛盾の極み)


◇


「それで、話ってなんですか?」

朝礼後、来いと言われ教員用の椅子に座る高橋先生に声をかけた。紛れもなく月咲くんのことだと思うけど。


「月咲の件だ」

でしょうね。


「月咲くんは体育館倉庫からいなくなりましたよ」


「言い方...お前結構毒舌?」


「そうかもしれませんね」

毒舌なのは自覚している。レッスンでも部活動でもたまに言われてしまう。


「それならこれからクラスに...!」


「......」


「いやいねえじゃねぇか!」

月咲くんが座る机に向かってツッコむ高橋先生。なんだかシュールで少し笑みがこぼれかけてしまう。


「おいおい、俺はできればクラスに戻って来させてって」

やれやれという表情で改めて椅子に深く腰掛ける先生。


「で(・)き(・)れ(・)ば(・)ですよね?月咲くんの性格からして無理でした」

体育館倉庫からいなくなった、という点はあっているんだけどな。拠点を変えただけで。


「......やっぱりか」

「月咲はどこ行った」

十中八九、昨日私がふざけてつけた休息ファンクラブの拠点に行ってるだろうが、ここで先生に言うとちょっと面倒になるかな。


「わからないですね。トイレで早弁でもしてるのでは?」


「......お前なかなかひどいこと言うな」

普段この口調じゃないし、先生には変な目を向けられているだろう。


「昼休みになったら探してみますよ」


「......わかった」

軽い嘘を吐き、私は休憩時間に休息ファンクラブの教室に行くことに決めた。


◇


今は4限の途中だが、隣の音楽室も含めてここ二つは空き教室のため、体育館倉庫の時と違い人が全く通らない。足音は聞こえてくるが、かなり遠くの方だ。


1年近く過ごしてきた場所と違う天井。体育館倉庫で感じたゴムボールの臭いも、体育館から響くバスケットボールの音もなくなり、外から微かに感じた光も今は日光浴ができるぐらいの光になっている。

クッションを枕代わりにして、目を瞑ればとても気持ちが良く、セロトニンが体中に分泌されているのを感じる。


──キンコーンカーンコーン。


4限終了のチャイムが鳴った。僕はチャイムが鳴り終わった後もしばらく目を瞑り、精神統一を行っていた。その時だった。


──バァァン。

勢いよくこの教室のドアが開く。やってきたのはもちろん。


「来ちゃった、お茶出して」

にぃーっと白い歯を見せて笑顔を見せる、2年2組委員長の朝川歌乃だった。


「誰も呼んでないし自分でやれ」


「ひど〜部長に逆らうのかー?」


「誰も朝川さんを部長なんて言ってない」


「今決めたからね」

なんやねんこいつ、と心の中でツッコんでおく。


「チッ、アールグレイとルイボスティーどっちが良い?」


「舌打ちすんな、てか紅茶好きなの?」


「好き、妹が好きだからちょっと影響を受けたところがある。嫌いだけど」


「ツンデレ?」

軽い嫌味を言う朝川さんから視線を外し、電気ポットの方に目をやる。


「じゃあアールグレイで」


「へい」

「......言っておくけど、パックの安物だからね」


「そんなの期待してないから大丈夫だよ」


「......」

いちいち言葉に棘があるやつだな。委員長ってこんな毒舌だったのかよ。


電気ポットが置いてある机の引き出しに紅茶を常備している。これは体育館倉庫から持ってきた余りで、他にも軽いお菓子や茶葉を置いている。もちろん、校内に持ち込むのは禁止である。


「なんかいけないことしてるみたいだね」

マグカップにアールグレイを入れる音ともに、朝川さんがそんなことを口にした。


「いけないことって...そんな」

不意に変なことを想像しかけてしまった。


「エロいことじゃないよ?」


「まだ何も言ってないんだが?」


「あ、月咲くん下ネタいける系?健全なDKだもんね」


「黙れ黙れ」

DKは男子高校生という意味なのは間違いないが、なぜかゲームのゴリラの方が出てきてしまうな...


「うお」

冷笑とも捉えられる言葉を受け取ったところでソファに座る朝川さんにアールグレイを出した。


「ん、普通に美味しい」

一口飲んで感想を口にした。


「でしょーね」


「庶民の味サイコーとか言った方がよかった?」


「結構です。もしそう言ったら二度と紅茶出さない」

嫌味属性の委員長はなかなかキツいのといける部分があり、なんというかやめてほしい。

健全なDKもとい男子高校生だからね。


「......そういえば先生にさっき──」


「......いや、何やっとんねん」


「「あ」」

ドアの方に目を向けると、担任である高橋敬が立ち尽くしていた。

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