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休息ファンクラブ  作者: ゆるうる


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4/8

4話 妹アンチ

普段、アニメや漫画における妹はどんな役割をしているだろうか。

主人公である兄にゾッコン&ブラコンみたいなパターンが多いんじゃないだろうか。

もちろん血のつながりがある以上、ライク以上の関係には慣れないしそんなの僕は許さないけど。


例に漏れず、僕の妹も何故か懐いているのである。これを、僕は血縁殺し(ブレッド・ブレイク)と呼んでいる。

だが、僕は妹が嫌いだ。


◇


あの後正門で別れるかと思っていたのだが、朝川さんとは同じ総武快速線で同じ東京方面という偶然だった。朝川さんが稲毛で先に降りて、僕は3個先の船橋が最寄りである。トムとは別方向で駅からは別れるので、ちょっと不思議な気持ちだった。


「ただいま」

駅から15分ほど歩き、自宅に到着する。


「にいたんおかえりー」

リビングからドアを開け、ひょこっと顔を出すのは妹である月咲奈菜(つきさき なな)。

僕の一個下で、レモンイエローの髪が特徴的である。

私立の頭が良い高校に通っていて、いつからか「にいたん」とかいうふざけた呼び方をされている。


「......ママもパパもまだ帰ってないのか」


「うん。今日はざんぎょーみたい」

椅子で足をバタバタしている奈菜。


「てかにいたん今日バイトないの?」


「今日はない。明日はある」

そう言い、床に寝っ転がる。

バイトがある日は学校が終わり次第、そのままスーパーに向かっているが今日はなかった。

あ、というかバイトあるって嘘つけば体育館倉庫から出なくても良かったのでは?


少し昼寝をして起きると、リビングの壁時計は20時を指しており日もすっかり夜に更けていた。


「今日はやけに遅いな。野菜炒めでも作るか」


「にいたんが作るのー?」


「あぁ、食べなくてもいいぞ」


「なんでそう言うこと言うのー食べますー」


普段はふわふわしている妹だが、実は芸術性が高くて、絵画やら演劇やら工芸やら多彩な才能を持っている。それ故、兄である僕は家族に少し疎かにされていると感じることが多々あった。


まぁ、今はそんなことよりも野菜炒めを作ろう。野菜は冷蔵庫にあったはず。

一応それなりに料理はできる。カレーくらいなら一人で作れるのだ。


フライパンに油をひき、馴染ませていく。

玉ねぎやらにんじんやら、ニラなんかも入れて塩胡椒でも振っておけば良い感じになる。

炒めてフタをしている間に味噌汁を作る。使わなかったじゃがいもと余った玉ねぎでも入れておこう。


「ほらできたぞ」

少し大きめの皿に野菜炒めを盛り、味噌汁と米をよそい食卓に置く。


「わーい」


「ただいまー」

妹がスマホを閉じ、机に座ったところで親が帰ってきた。


「ママパパおかえりー」

「いやー遅くなったから居華(いつか)に迎えきてもらっちった」

居華は、僕らの母親の名前である。父親は六多と言う。

父母の職場は同じではないが、比較的近くなので送り迎えが可能というわけだ。


「おっ、遅かったから英途が野菜炒め作ったのか?」

「うん」


「なんだ、肉じゃが冷蔵庫にあったのに」

「なかったんだけど」


「奥だよ奥、どこに目付けてる?」

「ごめんごめん気づかなかった」

目の前にあるものが見えなくなるのはよくあること。バイトでもたまにやらかす。


「麦茶入れるよ」

無理やり母親の気分を変えるためにコップを持ってくる。


「聞いてくれよー今日職場の若者がさ〜」


「うちもいるわよそういうの」

何やら職場の話をし始めた。父親の職場に、若い僕みたいな性格の人が入ってきたらしい。

そんな他愛もない会話を食べながらうっすら聞いていた。


◇


「にいたんいるー?」

部屋で横になってスマホを見ていたところ、奈菜が入ってきた。


「漫画貸してー」


「ん」

二つ返事で返す。


「そういえば、もう5月だけど校外学習あるんじゃない?」


「そうだっけかな」


「雑だなーそんなにいたんも良いよ」


「黙れ」


「ひどいーうわー」

そう言い、僕の部屋の壁を叩いている。無駄に女子の中では握力あって迷惑だからやめてほしい。


ちなみに、家族にも僕が体育館倉庫で引き篭ってる話はされている。なんなら去年の三者面談の時にしたような気がしないでもないがその時に僕の改善が見られなかったため放置されたというわけだ。


まあでも校外学習か。去年のこの時期は自堕落なスクールライフを送っていたな。

ゴールデンウィークが終わって、虚無が訪れている今の世界では校外学習というイベント自体が賞賛されているだろう。

今年はどこ行くんだろうか。明日朝川さんに聞いてみるか。別に話したくもないが。


◇


夜22時すぎ。妹が自分の部屋へ戻ったのを確認して、配信アプリであるDevyを開く。

僕の日課だが、火曜と金曜、たまに日曜にコトダマ・ライトという配信者が話をしているのである。


なぜ見ているのかというと、コトダマ・ライトが幼稚園から小学生の頃に仲良くしていた子に似ているから。その子はもう引っ越して離れ離れになってしまって、未だ心残りが若干ある。

とはいえ、髪も染めてるし、アプリの効果で重加工しているし、耳のピアスやら腕と首のホクロやらがあるので全然本人じゃないのかもしれないが。


『今日は肉じゃが食べたよ』


基本、配信者にリスナーが何か数秒で返しやすい簡単な質問をして、それを返すのが定番だ。

今は今日の晩御飯の話をしているらしい。

彼女の声をラジオ代わりにして寝る日もあるのだが、今日はそうなりそうだな。

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