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ファルトゥスの護衛官(仮)  作者: 北上輝月
Episode;04/ At the Highest of Self-promotion.(自己顕示の極みに。)
33/43

§.05 A swordsman who crossed the sea.

「次は僕の番か。……行ってくるね」

 Bブロックで8回目の試合が終わったため、ユーヴェインの端末に試合場に来るよう通知が入った。なかなかに便利なシステムだ。

 収納魔術から剣を2振り、鞘ごと取り出して腰に佩いた。無駄にかっこいいなこのやろう。羨ましいぞ。


 そして十数分が経過し、いよいよユーヴェインの初戦となる。

〈Bブロック第10試合、――vs.ユーヴェイン・アルバック。……試合、開始〉


 相対する女子生徒は大楯使い。どうも銃使いといい、槍使いといい、盾使いといい、この学年は珍獣がちょっとばかり多いようだ。剣ばかりだと、ビジュアル的につまらないけどね。

 ユーヴェインが駆け出し、相手に斬りかかった。目測でもかなり重そうな大楯を高速で動かし、真正面から剣筋を受け止めた。そして、続く2撃目も、盾を持ち上げて受け止める。そして、盾を横に大きく薙いだ。盾の先、やや尖った部分がユーヴェインの横っ腹を襲う。

 すかさず、初撃の剣を動かし、剣の側面で受け止めた。その勢いを殺さず、逆袈裟に斬り上げる。盾の縁がそれを弾いた。


「2人とも、攻撃に無駄が無いわね。……全ての機会を狙えてる」

 フィリアはそう評した。

「そりゃすげえな。俺とは全然違う」

「お前の場合は、隙を見せずにトラップを張るタイプだろ。そもそも同じ土俵じゃねえ」

 核心を突くような、ティアの発言。さすが〈神殺しの大悪魔(テアマート)〉、見る目も知識も違うってわけか。

「これ、先に動いたほうが負けるかもしれないわ」

 どうやら、フィリアはそう見通したらしい。


 そして見通し通り、一進一退の攻防を繰り広げていたユーヴェインと相手に、動きが現れた。

 相手の生徒が、ユーヴェインの剣戟をいなすのではなく、押しつぶしに来た。

 肩を入れ、盾に体重をかけて突撃する。まさにシールドバッシュ。不意を打たれたユーヴェインが直に食らい、軽く吹き飛ばされた。

 地面に剣を突き刺し、ストッパーにして止まる。剣を引き抜き、再度立ち上がった瞬間、眼前にいたのは……案の定、盾使いの女子生徒だ。

 また打倒される。だれもがそう思った瞬間、

「お見事」――確かに、そう言ったような、口の動きだった。

 片方の剣で盾を打ち、盾から手を離させた。遅れて、盾を遠くに飛ばす。

 がら空きになった首元へ剣先を向けた。――そこで、試合終了を審判が告げる。

〈勝者、ユーヴェイン・アルバック〉


 会場がわあっと湧いた。さすがユーヴェイン様!と黄色い声を上げる女子生徒が、割と近くで聞こえる。ミーハーなことだ。

 なお、フィリアではない。


 暫くすると、ユーヴェインが観覧席に戻ってきた。爽やかスマイルのままで、だ。

「お前……すごいな」

 あの様を見ると、そうとしか言えない俺のゴミ雑魚なボキャブラリーに献花しなければ。

「いやぁ、とても大変だった。盾使いとは初めて対戦したし、そもそも大楯を使う人っているんだね」

「あれ、初対面だったのかよ……!?」

 どれだけ驚かせれば気が済むんだ。

 そういえば、と1つ気になったので、近くに座ったユーヴェインに、そっと耳打ちする。

【剣の(シュベルト)翼】(フリューゲル)、使わないのか?」

 そのように問うと、彼が少し笑って応じることには。

「あれはとっておきだからね。そうやすやすと、手の内を明かすことはしないよ」

 だそうだ。まあそうなるわな。とっておきを最初から使うやつはいないよな。実際、俺にだって禁忌中の禁忌、とっておきのアイテムがあるにはあるし。

 核兵器っていうんだけど。それだけは絶対に使わないし、使う必要性を生まないようにしなきゃいけない。それを使った時点で、俺が戦略的に負けたのも当然だ。

 そろそろCブロックで2回戦が始まるかな、と思って端末を開いた。見計らっていたように、ジャストタイミングで試合場に来るよう命じる通知が来た。

「次、俺だわ。じゃあ行ってくる」

 これ以上勝つ理由もないので、八百長で負けに。



〈Bブロック2回戦、イリューシャ・ガッシュトフィルトvs.ええと……ハヤテ・スルガノミヤ……〉

「ハヤテ・アカギで結構です」

〈vs.ハヤテ・アカギ〉

 対戦相手が訂正を入れた。たしかこいつ、Hayate Suruganomiya-AKAGI、とか言ってたっけ。日本人っぽい名前だ。それにアカギ、ねえ。赤城山かな。ハヤテは疾風だろうか。いい名前だ。実に風流だ。


 試合開始が告げられた。相手が誰であってもいい、とりあえずは弾幕を張る!そのために銃を構えようとして。

 あれ。なんでハヤテ君がもう目の前にいるんだ。ついさっき、向こうで剣……というか刀?を抜いたばかりじゃ……。

 まさか縮地でも使ったのか?


 まともに銃剣やCQCで対応する前に、逆袈裟斬りを食らった俺だった。

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