§.07 Somewhere, Someday
DETA LOG…
Where: A room somewhere in the Kingdom of Stary.
When: Probably a few days after.
日の入らない、地下室と思わしき空間に、総勢30名以上の人間が集まっていた。背丈、体格こそ違えど、共通点はただ1つ、黒いローブを被っていたこと。足元まで覆われた彼らは、もはや男女の区別すらつかない。目元も隠れているので、人相すら区別がつかない。
こち、こちと今時少なくなったアナログ時計の針が静かに時を刻んでいる。誰一人として言葉を発しないため、より一層際立っていた。今に、時計も緊張で動きを鈍くするかもしれない。
しばらくして、扉が開いた。大柄の人物――歩幅や足音からして男だろう――が、彼よりは小柄な、だが世間的には平均的な背丈のやせぎすな人物(一方、こちらは男女の区別がつかない)を引き連れて入ってくる。
彼らが、他の人物と異なる点がたった1つ。――大柄な男は、ローブからのぞく両腕が。
小柄な人物は、ローブで隠しきれない首が。
それぞれ、白い布が巻かれていた。
やがて大柄な男は、部屋の奥、30名以上のその他大勢を見渡す位置についた。小柄な人物が、その隣に立つ。だれも反応しないあたり、彼らがこの中枢に位置するものなのか。
そして、大柄な男が口を開いた。
「――皆の者、よくぞ集まってくれた。我々の目的はただ1つ。アイオーンの心臓、それの回収だ」
部屋がしん、と静まる。これは新規情報を知らされたからではない。すでに知っているからこその無反応。
「これより、聖体遺物回収作戦改めオペレーション・アルファの最終説明を行う。全体指揮はこの私、〈暴走〉の[収束]師 ――いや、この名前は奪われたのだったか。グレイヴェール・アゼックライトが務める」
一瞬、空気が重くなった。それは見知った人の葬儀に出席するよう。次の瞬間、すぐに和すら去られる。
「聖体遺物の回収班、この指揮は彼にさせる」
そばに控えていた人物へ視線を向ける。
「ファルシオス・サヴァンディだ。以前は〈音声〉の[束縛]師とも名乗っていたが、僕も奪われた」
「今から読み上げる者は、ファルシオスの指揮下に入る。まず、――」
順に名前を読み上げた。総勢10人の精鋭だ。全員が前に出て、他と区別される。
「名前を呼ばれていない者は、情報の錯乱と反乱勢力の制圧を行う。指揮は――に一任する」
名前を呼ばれた人物が、傍にはけた10人の代わりに前に出た。狭い部屋を1:2に分割する形で、2グループに構成された。
そのうち、回収班にグレイヴェール、と名乗った男が近づく。
「最終確認だ。私たちが回収するのは彼だ。他人を間違って誘拐しないよう、厳重に警戒せよ。――アイオーンの心臓ではない心臓に、価値はないのだから」
その言葉を聞いて、メンバーは緊張度を高めた。そして、グレイヴェールに見せられた顔写真を記憶に叩きこむ。
写真の下に併記された人名は……、Yuvwain Arlback.つまり、ユーヴェイン・アルバック。
「皆の者、決行は5日後――王立魔術学院が文化祭を開催するタイミングだ。それでは、
――〈虚ろなる暁〉に栄光あれ」




