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ファルトゥスの護衛官(仮)  作者: 北上輝月
Episode;03/The Descending ‘schbertflugel’(舞い降りる〈剣翼〉)
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§.04 Intercepting by Machinegan

「やっぱ切れるのかよ!」

 途中でマガジンを交換し、さらにばらまく。

「切れるも何も、弾がじゃまだからね。邪魔なものは切ってでも落とすものだろ?」

 さらっと怖いことをいう。何気にフィリアと同じことを言うな。この世界怖すぎ。

「あぁもう、らちが明かねえ!」

 狙いを変更、剣に照準を合わせた。同じ場所、同じ座標を目掛けて連射する。時折場所を移動しつつも、狙いはそのまま。

 一方のユーヴェインは相変わらず、消えない弾幕を切り落とし続けている。2本の剣を巧みに使い、脅威になるものだけを選りすぐっているようだ。だが、その選別はいつまで続くか。

「……なるほど、狙って撃ってるのか」

 もうバレたようだ。だがそれでいい。真の狙いは、銃弾だけで仕留めることじゃない。


 ――ぴし、と裂傷が走った。剣に、である。鋼鉄製のそれは容易く裂け、上下2本に破壊された。

 よし、と声の下でガッツポーズ。剣が1本に減れば、その分だけ弾幕が通りやすくなるはずだ。

「……さて、望み通りになるかな」

 ユーヴェインが、静かに言ったその言葉、俺は聞き逃さなかった。

「……なんだと?」

 よく見ると、剣が2本に戻っていた。折れたはずの剣が、復活しているのか。それとも、そもそも折れていなかった?

「……なんなんだ、一体」

 事前に用意した作戦はもう無い。剣が復活するなんて、考えるはずがない。

 だが、実際に起きている手前、あの剣を排除しなければ、人間CIWSの攻勢を削げないのは確実だ。

 20式のセレクターを単発モードに変更、撃ちながら至近距離に近づいた。

「無謀だね」

 容赦なく、剣を振り下ろす。――たかがそんなこと、予測できない俺じゃない。

「どうだか」

 小銃で剣を受け止めた。近代小銃は頑丈だ。剣を受けることぐらい、造作もない。問題は2本目である。それが来る前に、小銃を反転、ストックで手首を力強く殴りつけた。

 ごすっ、と鈍い音がする。ユーヴェインの顔が痛みに歪む。そして案の定、剣を手放した。それを奪い、一歩踏み込んで剣の柄で胸骨を突いた。

 かはっ、と息を捨てた。2歩3歩、後退する。もう、立っていられないほどの激痛のはずだ。

 手首を砕き、胸骨を突いた。これが生身の人間なら、呼吸は止まり、骨折しているほどの状態。つまり、戦闘の続行など、不可能なはずなのである。

 ――本来ならば。

「あははは。イリヤ、まさかそんな手を使うなんてね。……本気を出すしかなくなっちゃったじゃん」

 あろうことか、笑ってやがる。ここ1年で最恐クラスの恐怖に襲われた。

「……弾け飛べ、【剣の(シュベルト)翼】(フリューゲル)

 背後に形成された、剣の翼。切っ先を外側に向け、長短さまざまな剣が翼を構成している。

「嘘、だろ……。なんで」

 この魔術――【剣の(シュベルト)翼】(フリューゲル)は、ランクこそ中級――発動に原則、魔術師資格が必要とされるレベル――と、かなり低い。それ単体でも、あまり殺傷能力が無いからだ。

 ただ、それを維持するのがとんでもなく難しい。過去記録された情報だと、どんなに若くても20歳以上じゃないと発動できなかった代物だ。魔力が多ければいいとか、そんなものじゃなく、制御するかなり高度な技術が求められるものだ。それを、まだ16歳のユーヴェインができている。それも、ほぼ完璧に。

 恐怖以外の何物でもない。

「……撃ちぬけ」

 剣が射出された。はっとして、サイドステップで避ける。……剣が地面に深々と刺さり、白煙を上げていた。剣は見るからに、ただのバスタード・ソード。やや短めだから2キロぐらいか。

「マッハ出てるじゃん!」

 大急ぎでバックステップ、ただ直後に失策だったと自省した。これは距離をとればとるほど不利で、2度と詰められない。ミニマムレンジよりも内側に入らないと勝負できないものだ。さらに剣は撃ち出される。

 だがやってしまったものは仕方ない。20式を消し、代わりにMINIMIを出した。それも2丁。本来なら据え付けて使うものを、無理やり手持ちにした。魔術的なマウントアームを使ってまでやることじゃないが、こうでもしないと迎撃すらできない。

「くそっ、たれがぁぁぁ!」

 重いMINIMIの遠心力に耐えながら、2丁拳銃で剣を迎撃する。20式の時とは違う、ダダダダと振動が骨を通してダメージを入れてくる。

 剣を撃ち抜く。破壊しても、破壊しても、まだまだ出てくる。

「何だこいつ。――どこにこんな剣があるんだ」

 思わず毒づく。ただ、誰も答えを教えてくれないし、仮に答えがあったところで何の役にも立たないだろう。今はそれどころじゃないから。

「教えてあげようか。……僕に勝てたら」

「やなこった。自分で見抜いてやらぁ」

 ただ、その声からはあざける様子は見て取れなかった。単純に、模擬戦を楽しんでいる様子。

 マガジンが尽きた。MINIMIを振ってそれを落とし、新たに【投影】して膝で蹴り上げ、寸分たがわずはめ込む。初弾装填完了、再度迎撃開始。

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